4.《ネタバレ》 やっぱり映画館で見たかった。飛行物体の浮遊感とチラチラ写りこんでくる表現が秀逸で、視線を巧みに入れ替えながらその「恐怖」を増幅させる演出はやっぱり劇場でこそ、だったように思う。「西部劇」「怪物映画」という伝統的な映画のフレームを、主人公の味方とされる「動物」視線で再構築するモチーフはとても面白いし、映像として撮ること=映画そのものについての映画である、というのも最後まで見ればよくわかる。そう考えれば、チンパンジーにせよ馬たちにせよ、映画産業のなかの「動物」の扱いには、ジョーダン・ピール監督らしい「人種」への問題意識も反映されているのだろう。
ただ、自分としては『アス』の哀しくも恐ろしいラストが大好きだったので、「西部劇」+「怪物映画」として最後スッキリ格好よく終わってしまったのはちょっと物足りなかったか。また、そのスッキリ感が、監督のシネフィルっぽい原初的問題意識とかみ合っていないような気もして、せっかくの「怪物映画」としての終盤のスペクタクルをどっぷりと楽しめないのも残念。それも、映画館など没入感がある環境で見ていたらまた違ったのかもしれない。いずれにせよ、新作が待ち遠しく、そして必ずこちらの期待を超えてくる一作を持ってくる監督であることは間違いない。次も楽しみ。 【ころりさん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-06-10 17:40:55) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ホラー仕立てで始まり、社会派サスペンスの様相を呈しつつ、SFスリラー風味を匂わせた上でモンスターパニックへと雪崩れ込む。一粒で一体何種類の味わいを楽しませようというのだろうか?よくぞ破綻することなく纏め上げた監督の手腕は称賛に値すると思います。
ただ、あまりに風呂敷を拡げ過ぎたと言うか、蒔いた種は一通り育て上げ収穫しているとは思いますが、長尺の割にはテーマが十分に伝わって来ないような気がします。ヘイウッド家のエピソードとリッキーのエピソードが牧場を接点として交錯しているようでいて、いや実際交錯しているのですが、どうも無理やり感があると言うかしっくり来ないものがあります。
リッキーの子役時代の惨劇が象徴するもの。チンパンジーの求めたグータッチの意味は何であったのか?「望みを叶えてあげたよ」という風に解釈するのが自然とも思われますが、それでは何故リッキーは空に潜むアレとの密約を交わす必要があるのか?もっともアレの方は密約とは思っていなかったようですが…。
一方、社会的障壁を乗り越えハリウッドでの立ち位置を守り、必死の思いで馬たちを育てていた父親の不慮の死の意味するものは何だったのか?OJの始終塞ぎ込んでいるかのような表情。彼の感情を圧し潰しているものは何なのか?それはエメラルドの破天荒さにも通じるものと思えますが。
気になる点は他にも多々ありますが、何せ基本的には全編通じて緊張感が途切れることなく惹きつけてくれる作品だけに、単純に「あぁ面白かった」と言わざるを得ません。
何とも不思議なテイストの作品。監督の次回作を早く観てみたいところです。
(追記)アマプラで流れる予告編。本編には同一カットがないような気がしてなりません… 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-05-24 23:16:55) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 なるほど。我々の知っている物理法則では理解できない、(生物だと想定して)全く心情を想像できない新しい恐怖の対象を作り出そうとしたのだと思ってます。いいじゃないですか。志が高い。しかも、ミッションのゴールを、それをカメラに残すというところに置いたところも好きでした。しかし。結果として、結構正体をあらわにしてしまっているのですね。また、最後には退治までしちゃったようにも見える。まあ、観客に対して親切と言えば親切ですが、もっと乱暴にしてくれてもよかったのにと思っています。【追記】猿のシーンは、どう扱ったらいいのかよくわからない。ただ、とてつもなく忌まわしいシーンだなあと。このイメージでもう一本短編映画が撮れそう。Gジャン同様、対処のしようのない恐怖として、親切でサービス精神の旺盛な監督がぶち込んできた、おまけのショートドラマだったのかもしれないと考えています。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-03-22 20:57:25) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 最後まで観ると、まず予想よりはかな~りシンプルな映画だったと思いましたし、とは言えど含まれるその「予想外」だって決してソコまで「驚愕の&鮮やかな」という代物ではなかったかと思うのですね。一方で、中盤までは(後から考えると)ま~ミスリードだらけだったとも思いますし、だから結局「ココまで思わせぶりにやっといてそ~んなオチ⁉」てのが(むしろ)最大の驚愕だったとも思いますよね。個人的に一番モヤっとする点としては(コレは『アス』でも書いた感想になりますケドも)やっぱ内容≒オチの衝撃度に比してとにかく尺が長すぎるよ!(+フリが大きすぎるよ・建付けが大袈裟すぎるよ)てコトだとはも~言わざるを得ないのですよね。なんとなく、少~し自縄自縛と言っても好いよーな状況に監督が陥ってるという気もします。
ただコレも結局、なんで私がそんなコト言いたいかとゆーと、本作も(或いは前作『アス』も含めて)映画としてまた映像の出来自体はシンプルに実に良好だと感心してるからなのですよね。結果的にはホラーとは言えないよーな作品ではありましたケド、本作でも例えば中盤の「血の雨」のシーンとかは個人的には実にホラー的で斬新な好いシーンだったと思ってますし。ぶっちゃけ、もっと全っ然単純な映画を(ソレこそフツーのホラーとかアクションとかヒーローもんとか怪獣映画とか)且つは「90分で」そしてもっとショートスパンで(毎年の様に)撮ってくれたりしねーかな…とか思ったりなんかして、ですね。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 7点(2022-09-10 16:47:42) (笑:1票) |