6.犯罪ものの映画というのは全編に非日常の世界観が漂っているものですが、この映画は二人組みの犯人のシーンはまさにその世界観で描かれていますが、フランシス・マクドーマンド扮する婦人警官のシーン等日常のシーンではヒューマンドラマでも見ているかの如くまったく違う映像となっている。映画でしか知らないダークな世界が映画や本だけではなく、日常の中に実際に存在するんだということをこの映画は実に巧く見せている。うまい! 【R&A】さん 8点(2003-05-10 14:51:21) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 些末な動機で始まった犯罪があれよあれよという間に大惨劇に。これは仕事がうまくいってないときに見てはいけないヤツだったかもしれない(笑)。状況の悪化は底なしなのだ。ウィリアム・H・メイシーが演じきってみせるつまらない男の「器」の小ささ、プロっぽいのにいつも最悪の方向に向かってしまう悪人2人組+同僚、そんな狂った歯車を一人で飄々と解いてみせるフランシス・マクドーマンド、みんな素晴らしい。コーエン兄弟の作風は好みが分かれるとは思うが、90分という時間に悲劇と喜劇を圧縮して見せたという点ではやっぱり最高傑作だと思う。ラストにマクドーマンドがどうやって「あいつ」をパトカーに乗せたのか、ってことだけは謎だったのだけれど、案外マクドーマンドのあのペースには悪人たちもかなわないということなのかもしれない。あと、今年見た『ブレードランナー2049』を思わせるロジャー・ディーキンスの雪の遠景や、同じくド田舎を舞台にした『スリー・ビルボード』でマクドーマンドが見せた本作とは全く違ったアプローチなど、20年後の現代映画につながるあれこれを再発見できるのも楽しい。 【ころりさん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-05-18 17:20:27) (良:1票) |
《改行表示》 4.ウイリアムに、どうしても感情移入してしまって、見ていてとても怖かった。。ウソは、ウソでしか固めていくしかなく、そうすると胃の方がせりあがってきて、とても気分が悪くなる、あの感じが始終していた。「殺す気はなかった」とゆうセリフを聞くたびに、「そっちのほうがよっぽど怖いしっ!」て思ってたけど、ウソをつき続けていくと、自分もいつか殺人を犯しそうで、とてもとても怖くなりました。俳優さんたち素晴らしいネ。フランシスが、だんなさんにキスされてソースがつくのを嫌がった所がとてもよかった。 【小星】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-11-23 03:01:20) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 昔、母から「ひとつ嘘をつけばその嘘を隠すためにまた嘘をつく必要がある。 嘘の上塗りは自分も苦しめ、他人をも傷つける」と教わった。 この映画はまさに、嘘の上塗りによって訪れた悲劇の数々。 深い理由も無く、各々の私利私欲や自己防衛本能が引き起こした悪夢。 そんな人間の汚れなど知りもせず、壮大な地を覆う純真無垢な雪景色。 純粋さの象徴である自然でさえ人の手により汚される様は、 その生々しさに思わず息を止めたものの、 皮肉なことに美しさに魅せられてしまったこともまた事実だった。 淡々としたストーリーなのになぜか最後まで飽きず食い入るように観てしまうのは、 映像の見せ方の巧さと、人間の本質を突いた心理描写よる貢献が大きいと思う。 まさにコーエン兄弟ならではと言ったところか。 登場人物の誰も幸福そうに見えないのが、何ともいたたまれない気持ちにさせた。 そして、人を殺す事に何ら躊躇いの無い人間は狂気だが、 私利私欲のために動く人間の業の深さ・欲深さには恐怖と哀れみを感じざるを得なかった。 【港のリョーコ横浜横須賀】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-04-11 16:24:51) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 これって実話だったのか・・・初めは楽に金が入る計画だったのに、結末には何故あれ程の血が流れてしまったんだろう?全ては計画を立てた時点で起こるべくして起こってしまったものなのだろうか?偶然にも、ナンバープレートが付いてないと呼び止められ警官を殺害してしまった時点で事の全ては傾き始めた。そして最後にはどうだろう?計画とは180度違った形で幕を閉じてしまったんだ。全ては主人公の平穏から逸脱し対と言う思い、そして逸脱した考えに辿り着いた事によって引き起こされた逸脱した事件。 ストーリーでは、主人公の私利私欲が絡んだ汚い場面と女性警官の夫との暖かい場面が、コントラストの様に映し出される。この辺りが監督の最も伝えたい所なのだろう。 ラストでは何でもない切手の話をしながらお腹にいる赤ん坊を気にして、自分たちは平穏で幸せだと会話する女性警官夫婦。ファーゴという雪国で起こった赤い惨劇。数年後、いつもと変わらぬ平和な町並み。人間が平穏に暮らしてゆけるという事、が、どれだけ幸せなものなのか。しみじみと納得できるではないか。 【ホーラン℃】さん 8点(2004-11-02 17:54:10) (良:1票) |
1.コーエン兄弟初体験。率直な感想は、何て悪趣味な兄弟だ、と。袋の中のミミズやさらわれる奥さんの大股開きなど、いちいち見せなくていいよ、と言いたくなるシーンが多い。しかし主題として力を入れるべき犯罪や殺人シーンへの執着を手放し、淡々と突き放して撮り続ける妙なセンスは他の作品も見たいと思わせるのに十分な魅力があった。 【ラーション】さん 8点(2004-04-14 01:31:13) (良:1票) |