1.ネタバレ 脚本を担当した小山薫堂が実際に提唱するという湯道をテーマにしたオリジナルストーリー。あまり期待していなかったのだが、普通にお風呂をテーマとした群像人情喜劇として楽しめた。メインの話からしてすでにありがちなのだが、そこが安心して見ていられるのはいかにも日本映画らしいし、見ていてなにか幸せな気持ちになれる。泣くまでもいかないが、ほろっとさせられるシーンもいくつかあり、中でも、息子の出所を待つ歌好きの常連客(天童よしみ)とその息子(クリス・ハート)が銭湯でお互いを認識し、「上を向いて歩こう」を二人で歌うシーンがとても良い。(「いい湯だな」じゃないのもベタ過ぎない感じがする。)同じ脚本家の「おくりびと」で銭湯の主人役と常連客役として共演していた吉行和子と笹野高史が本作では銭湯の常連客の夫婦を演じているのも面白かった。(吉行和子が亡くなってしまうのは「おくりびと」と同じ。)テーマになっている湯道についてはもう少し成り立ちや所作などを踏み込んで描いても良かった気がして、最後に新しい家元(柄本明)が響き桶を湯道の新しい作法とすると言っているが、なんかピンとこない。湯アマイサンシャインとか「湯」とかけたダジャレも寒いギャグでしかないのだが、この映画だとなんだか許せてしまう。エンディングテーマは登場人物たちが「You Are My Sunshine」を歌うというのも(ちょっと「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」のエンディングを彷彿させているが。)最後まで観客に幸せな気持ちのまま劇場を後にしてほしいというスタッフの思いのようなものが感じられた。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2025-05-04 13:02:20) (良:1票)★《更新》★ |