6.《ネタバレ》 もう待ちきれなくて仕事帰りに、最速公開日のレイトショーにて鑑賞。 本来、早々にレビューをアップして、お祭り騒ぎに便乗しようと目論んでいた。「シン・ウルトラマン」の時と同様に。 しかし、今回は手強かった。今自分が観たものをどう判断していいのか困惑していた。 果たして傑作だったのか、キワモノ映画だったのか、脳内整理が瞬時で付かなかった。
冒頭にいきなり結構エグい暴力描写が続き、その上池松ライダーの暗い表情がモチベーションを下げてくれる。 緑川博士や、ルリ子の説明も唐突で、言葉が頭に入らない。何が何だか。 クモオーグの乗った逃走車両が昭和ナンバーの古い国産車だったりして、時代設定も分からなくなり、混乱度は更に高まる。
しかし、その後に、政府機関の2人の強烈な登場で、今回の映画の世界観がぼんやりと浮かび上がる。 その先、パート構成で物語はテンポ良く進み、こちらも画面に集中して楽しめる。そう、楽しめたのだ。 思いがけないキャストの登場や、チープさを敢えて払拭しないコマ落としの様な特撮での演出など、 放映当初の「仮面ライダー」、あるいは原作漫画へのリスペクト、愛情、こだわり等がいきなり溢れ出てくる。 柄本ライダーの登場で雰囲気にも明るさが加わり、怒涛の展開が「スッキリ」させてくれる。 政府機関の二人が名乗るシーンは、「そう来たか!」と膝を叩いてしまう昭和的反応。 うん、確かに楽しめた。
ただ、一緒に観た作品背景を知らない妻は腑に落ちていない表情であったし、分かる人には分かるというストーリー構成、 またPG12である事は「仮面ライダー」としてどうなんだろうか。 「シン・ウルトラマン」は全ての世代が楽しめる明るい作風であり、観賞後の爽快感があった。 「シン・仮面ライダー」は観終わった後、劇場を埋めていた親父達は、帰りがけに連れにどう感想を述べようか悩んでいる様な、 そんなモヤモヤ感が漂っていた。
でも鑑賞後二日経った週明けの朝に思う。 やはり心に刺さっていた。そしてもう一度確かめに劇場に行きたい衝動。自分は決してこの映画が嫌いではないと。 【こた】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-03-20 08:21:44) (良:3票) |
5.《ネタバレ》 惜しい。もったいない。 観終わって真っ先に感じた感想がそれでした。
「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」は巨大怪獣や巨大外星人が人間を脅かす”状況”を描けばよかったのに対し、「シン・仮面ライダー」は人ならざるものになってしまったコミュ障男が、人知れぬ闘いを通じて愛や友情をつかみ取っていく「人間ドラマ」も大きなテーマのひとつになるだろうと思っていました。
確かにその材料となるドラマ要素はいくつもありました。本郷とルリ子の絆、ルリ子とハチオーグ(ヒロミ)の友情、強大な敵から最高の相棒へとなっていく一文字との友情…。 しかしいかんせん、それらを十全に生かすだけの尺が足りない。
たとえば、ルリ子はよくキャラクター的に庵野作品の先達綾波レイになぞらえられますが、綾波がヤシマ作戦というまさに「ともに命を賭けた闘い」を経てシンジとの絆を深め合ったのに対して、(そのポジションに位置するコウモリオーグ戦が本郷とルリ子の「共闘」と言えるほどの濃厚なバトルでもなくあまりにあっけなく片付いたせいで)その後のルリ子の信頼構築や態度軟化はなんだか唐突で、ルリ子が死ぬシーンでもいまいち涙腺が緩むほどのことも無く…といった次第でした。
もっとテレビシリーズとかでじっくりエピソードを描く余裕があれば―――
コウモリオーグVS本郷&ルリ子の激戦がちゃんと描かれれば、深まる本郷とルリ子の絆に感情移入できて、ルリ子との別れにも素直に涙できたんじゃないだろうか。 ヒロミとルリ子との物語がちゃんと描かれていれば、ハチオーグ戦でのルリ子の苦悩にも、その悲しみを目の当たりにした本郷が彼女の心に寄り添おうとする心情にももっと共感できたんじゃないだろうか。 そして、一文字との敵対関係がもっと時間をかけて描かれていれば、その後の彼の転向、本郷と最高のバディになってからの物語がより一層熱く盛り上がったんじゃないだろうか。 上映後はそんな事ばかり考えていました
以前宇宙戦艦ヤマトがキムタク主演で実写化された時、庵野監督にもオファーがあったそうで、その時監督が考えた案が 「あの長大な物語を一本の映画に詰め込むと無理が生じるので、ヤマトが改造され宇宙に飛び立つまでをじっくり描く」というものだったそうです。 描くべき要素を取捨選択し、じっくり掘り下げる―――昔自身が考えていたその方法論を今回採ってくれなかったのが残念でなりません。 (しかしそもそも、このビッグネームの監督作品で三部作、せめて二部作にする程度の構想はなかったのでしょうか…そうなっていたらこの作品の出来もかなり変わっていたのではないかと思います)
材料は上級ですが、調理時間が足りずにやや生煮えのままの料理を小さなお皿に無理やり山盛りにして出された感じ。 材料の評価(9点)と出来上がった料理の評価(6点)を足しで二で割って、今いちショボいVFX(あれは単に予算不足なのか、それとも昔風のチープな特撮風味を大事にする庵野美学なんでしょうか…)を減点して、7点献上します。
決してマズくはないんです。やや物足りないだけで。 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-04-19 10:02:04) (良:2票) |
4.予想とは違いましたが、緑川兄妹の争いは面白かった。 浜辺美波さんの決意と説得力に惹きつけられた。 用意周到でバリバリ進むさまには圧倒された。 小気味よく感じられた。
期待した特撮部分は今一つでした。 私は仮面ライダー1号盛り上がった世代なのだが、残念ながら習字塾に行き見なかったので、思い入れが無いのが大きい。 同い年の主人は劇場で観て、とても気に入っている本作。 見ていた人は凄く面白いらしい。
本作とは関係ないが、仮面ライダーカード欲しくてスナック買い過ぎて先生に怒られている男子いたな~。 懐かしい。 【たんぽぽ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-02-06 16:12:29) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 事前に情報を遮断して観に行きました。個人的にとても面白かったのでほっとしています。 今回アクションが主になる作品になるだろうと思っていましたし、アニメーターとして狂気の動画を描き続けてきた庵野氏の実績から見て、役者やスタッフへの要求は厳しくなるだろうと想像していました。その試練を乗り越えた逸品と思います。 また登場するキャラも濃く、それを演じる役者たちも皆よかったです。特にヒロインの浜辺美波さんには驚かされました。 今作では謎の政府機関の二人組が出てきますが、政治過程やら煩雑なネゴシエーションやらを付加しなかった点が好印象もてました。 ただ、無い物ねだりですが、主要人物達をゆったりとした流れで描くとどう見えただろう、と妄想したりもします。 BD発売の段階で毎度修正バージョンを作ってきた庵野氏のことですから、追加撮影や再編集があるかも知れませんね。 【みみ】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-04-15 22:50:24) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 悪くはない。鑑賞後調べたところ漫画版に準拠したストーリーだったようでなるほどな、って感じ。 不満はありますよ。無論ね。サイクロン号から出される排気、ノスタルジックにモクモクしてましたが、今日では性能の悪さを表しているようでやめてほしかった。それともっと大事なのは変身している状態とそうでない状態の違いがなんか曖昧。ここがしっかりしていて、「変身!」ってやるのが自分にとっての仮面ライダーなので頼みます。あと、銃の扱いですね。日本の子供映画では銃と爆発物は殺傷能力がないのが不文律ですからサソリオーグが撃たれて死んじゃうのはそれが特別な銃である必要があります。一応ハチオーグにはそれがありましたのにどうしたのでしょう。群生相の仮面ライダーが発射する機関銃は威力ゼロでこれはお約束通りでした。また、サソリオーグが登場した際ハサミの爪が擦れて実に作り物っぽい音がするんですけど何考えてるのかしら。頭の上で尻尾がうねうねするのは良かったですが。役者はおおむね良かったですけどルリ子さんがちょっとぬるいかな。もっと強い口調でやってほしかったです。 よかったところは最初の戦闘シーンでの強さ表現、ライダーキックの必殺性ですね。例のタカタカターン、タカタカターンの音楽が響き渡るシーンは痺れました。あれが仮面ライダーですよね。一号、二号の関係性も良かった。いろんなところでロケして様々なシーンがありましたが、良かったですよ。
とにかく、タカタカターン、タカタカターンのライダーマーチが頭から離れない。あのシーンを見ただけでもう満足です。ありがとうございました。
追伸:上記投稿の後はドキュメンタリーを見たり、youtube見たりもうどっぷりライダー世界に沼ってます。それで分かりました。ライダーは孤独なんです。そして途轍もない能力を持っていて、一人で戦っていて、そして、二号という友と巡り合うんです。あのコートを着てさすらう存在なんです。それは私の若いころでもありました。孤独で能力があると思い込んでいて何かと戦っていました。何十年も忘れていた感覚を思い出しました。あの若き日。でも、今一言いいたいです。一人で戦ってはいけません。それは自己満足です。本当に戦う価値があるのならば必ず仲間はがいるはずです。もう様々なことが思われて映画として評価できません。私にとっての庵野監督はきっとノスタルジーなんです。 【たこのす】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-04-08 00:27:50) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 仮面ライダーについてはにわかです。過去作について何一つ見ていません。ウルトラマンより何もわからん。ゴジラ派ですんで。
ネットの評判があまりよろしくなく、非常に身構えていきましたが、思ったより大分面白かったです。どんだけゲテモノが出てくると身構えていたのやら。 特撮がチープ、CGがチープ、効果音等が昔のものを使っているのでチープと感じるのは、庵野の異常な過去作オマージュ愛があるからそうなんだろうなぁとフィルターを通してみてたのもあり、 そこまで減点対象ではないかなという印象でした。 ただ、過去作オマージュとはいえ、寄りすぎなカメラ、暗すぎるトンネル内バトル等はやはり減点対象かな。 個人的につらかったのはバトル中ではなく、会話シーンで手振れがひどいカメラ(iPhoneで撮ってるんだっけ?)が一部あり、ボーンシリーズの手振れにも平気だった僕が「うえぇえ、辛い~」ってなった場面があり。
まあしかし、シンゴジラのような「現代に合わせた脚本・演出」とはなっておらず、「過去作オマージュ脚本(ただし庵野チックな中二的小難しさが含まれる)」という脚本だったので、見ていて小恥ずかしい感じはありました。 シンウルトラマン同様、海外受けは絶対しないだろうなぁという印象(一部の異様なジャパニーズ特撮ファンを除く)
個人的にはもうちょいハリウッド的なアクションの動きやカメラワークになればよかったんだろうなぁという不満はありますが(それこそMCUをお手本にして)、その辺は庵野の変なこだわりと、邦画のレベルとの兼ね合いでまあここが妥協点なんだなと半ば諦めた?感じで見れば、問題なく見れる作品でした。 なんか不満たらたらのような書きっぷりですが、楽しかったですね。 バイクで疾走するシーンと、ライダーキックを決めるシーンはとても良い。 あとラストバトルで力を使いすぎて、泥試合になるあたりも、総合格闘技のヘビー級の試合で最初に全力出しすぎて後半バテバテになった試合を見ているようで、微笑ましく、個人的には面白かったかな。 【みーちゃん】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-03-28 14:40:28) (良:1票) |