9.《ネタバレ》 私にとってインディジョーンズは特別な存在です。たとえスピルバーグが監督を降板し、ハリソンがおじいちゃんすぎることがわかっていたとしても、 インディアナジョーンズを幼少時代から見て育った自分にとって、シリーズ最終作は観ないわけにはいきませんでした。 このシリーズは冒頭、パラマウントのロゴから別の何かにかぶさって始まるのですが、本作にはそれがなく、 「あぁ、D社のものになってしまったんだな」と大人のシグナルを見せられた感じがしました。 そして列車のシーンへと展開するのですが、若きインディへとデジタル処理されていて、この冒頭20分のアクションは比較的良かったなと思います。 その後も馬、トゥクトゥク、飛行機などありますが、ハリソンの走りの老体感を見る限り、一連のアクションを作り上げるのは相当大変だったんだろうなと。 もっと印象的なショットが欲しいなというのが正直な気持ちですが、現実的制約の中でここまで仕上げたんだということも伝わりました。 タイムトラベルものであることはある程度予想していたし、前作クリスタルスカルがあまりにぶっ飛んでいて耐性?がついてたせいか、 終盤30分の展開はそれほど違和感なく受け入れることができました。 ただ明確に不満な点が2つあって、1つは全体としてユーモアが少ないという点。このシリーズは、アクションとユーモアの融合による化学反応が醍醐味なのに、 本作は笑えるシーンがほとんどなかったように思います。2つ目は、死ななくてもいい人が度々殺されるという点。 ファミリーで楽しめる冒険活劇に、その死は必要なのか?と。多分この2つは、インディが「息子を亡くしマリオンと別居中」から始まり 古代ローマから帰りたくないという動機づけを強化するためにそうしたのだと思うのですが、終始「不機嫌な老人」というだけでなく インディシリーズの持つコアの要素としてここは引き継いで欲しかったなと思います。 私にとってのピークはやはりラストです。マリオンが登場した時点でウルウルしてしまったのですが、レイダースの例のシーンを 再現した下りに私の涙腺は崩壊してしまいました。製作陣による狙いが見え見えなのは頭ではわかっているのですが、 40年あまり経ってのこの2人による再現の懐かしさと甘美さ、自分の映画ファンとしての人生と重なり打ちのめされてしまいました。 最後にD社に一言。何年後とかに、キャラ変した人物で新シリーズ始動!みたいなことはやらないでください。 楽しいこともそうでないことも、終わってしまえば全ては良き思い出。それは人生も映画も同じなのです。 【あろえりーな】さん [映画館(吹替)] 7点(2023-07-03 09:32:16) (良:4票) |
8.《ネタバレ》 手元に当時のパンフがないので正確さに欠けるけれど、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」のスタッフ(監督だったかプロデューサーだったか)がシリーズ完結の理由を聞かれて「そろそろマクフライ一族にプライベートを与えるべきだと思ったんだよ」と答えていて、なんてウィットに富んだ答えだろうと感動したのをよく覚えている。 シリーズ第5作目の今作を完結編としたのはハリソン・フォードの年齢を考えれば当然だが、作らなくても、というのが正直な気持ちだった。「クリスタル・スカルの王国」で登場したインディの息子マットにシリーズを引き継がせようという皮算用が映画会社にあったのは見え見えだったが諸般の事情でそれは叶わず(シャイア・ラブーフも公開後作品を批判してハリソンにたしなめられていたのは有名な話)、それでも懲りずにシリーズ続行を模索する映画会社に引導を渡すために完結編を作ったのではと邪推したくなるほどにインディが不憫だったからだ。関係各位に打ち止めを納得させるためには戦後のインディの不遇(軍隊に入隊しおそらく戦死したマット、それが原因で別居状態まで冷え込んだマリオンとの関係、大学での講義を真面目に聞く学生は一人もおらず、定年退職当日の大袈裟なお祝いに精一杯の愛想で応えるも鬱屈を溜め込み続けるインディの苦悩)をこれでもかと描写することが一番だったろうが、インディのそんな姿は見ていてつらかった。 感傷と言われればそれまでだが、第1作「レイダース」のラストシーン近く、聖櫃を政府に取り上げられ「真価を知らん」と毒づくインディに「一杯奢るわ」と微笑むマリオン姐さんの格好良さを思い出すにつけ、インディにもプライベートは必要だったよなあ、とつくづく思った。思い出は思い出のまましまっておくのが良い、こともある。そう考えればスピルバーグが監督をマンゴールドに委ねたこともなんとなく腑に落ちる。マンゴールド作品は「ナイト&デイ」が楽しかったが、今回は無辜の市民が巻き添えのように次々殺されるのでどうにも後味が悪い。色んな葛藤を経て劇場に足を運んだのは、シリーズ掉尾の今作を「見届けに」行こうと思ったからだが、うーんうーんと思いながら劇場を出た。 【rinzou】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-08-15 04:52:18) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 “Dial of Destiny”邦題ままだけど、どうして今さら『と』を付けたのか?それならいっそ『インディアナ…』にしちゃっても。なんて思う今日この頃。 満を持して創られた前作でコテンコテンにされたから、本作に新たな何かを期待する層も少ないだろうと思う。もうただ、私達を熱狂させた往年のシリーズがここで終わる。その時に一緒に立ち会う。どんな出来であっても暖かく見守ろう。そんな決意で劇場に足を運んだ人が多かったんじゃないかな?
パラマウント山からの~…無いんだ。それでもOPの若いインディに期待が高まる。あのクオリティで表情豊かに動けるなんて、スゴい時代になったものだわ。ナチスとの追い駆けっ子が懐かしい。役者の顔を貼り付けた実写アニメとも言えなくもないけど、CGって良くも悪くも安心感があるね。 現代パートに戻って、老いたインディのパンツ姿。あぁ、これからこの御老体が、体を張って冒険するのかと思うと、興奮よりいたわりの気持ちの方が強く湧いてくる。だってハリソンってウチのママンと同じ年なんだもの。 徐々に明かされるインディの現状。なんか、低評価だった前作の存在を否定するような、そんな今の生活なのね。 老いたインディ。家庭環境の変化。アンティキティラが時空と関連するオーパーツと来たから、インディの環境が変わるのかなぁ?なんて想像は立ちました。 懐かしいサラー登場。そのうちショート・ラウンドやウィリーも出てくるんだっけ?(※出ません。この映画の情報を極力シャットダウンしてたので、無関係な雑音をキャッチしてました。) 実際に走る姿は痛々しいけど、アクションはそれなりに自然に観えました。これもCG技術の賜物なんでしょうけど。トゥクトゥク走らせたり崖を登ったり。老体に鞭打つインディの活躍を、興奮するでも冷めるでもない、不思議な気持ちで見守っていました。
私がまだ若かった頃、映画は映像娯楽の中でもかなり共通認識の高い方に分類されていたと思います。新作が出る度に熱狂したスクリーンの中のスーパーヒーロー。新作が公開されると即劇場に足を運び、ビデオが出るとレンタルして何度も観る。もちろんインディ・ジョーンズは誰もが知るスーパーヒーローの一人で、演じるハリソン・フォードもまた、誰もが知るハリウッドの大スターでしたね。 今では映画は、数ある映像コンテンツの一つでしか無くなり、ハリウッドの大スターといえば、'90年代から活躍していた人ばかりです。 何年も前にヒットした作品を、当時の設定、当時の俳優のまま、リブートすること無く創って、終わらせる。シリーズを終わらせるために眠りから起こされるスクリーンの中のヒーローたち。 本作を観て、良し悪しは別にして、今のスタイルの映画という文化が、いよいよ変わる時が近づいているのかなって、そんな気持ちになりました。 【K&K】さん [映画館(字幕)] 6点(2023-07-10 23:13:20) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 半分は純粋に期待を込めて、一方で義務感で見た。冒頭CGで作られた若インディの列車アクション場面は満足。ヘレナの心情変化が不可解で、なおかつ最後にインディを殴る始末で終始納得できないまま終わった。チェイスシーンが回数が多く尺も長すぎる。ハリソンフォードは顔のアップはまだ見られるが全身が映るともう残念でしかない。最後、干してある帽子を取る行為はどう考え受け止めるべきか。村井インディが大好きなので吹き替えで鑑賞。 【リン】さん [映画館(吹替)] 5点(2023-11-21 16:51:38) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 映画がはじまって、パラマウントの山ではなくディズニーの城で始まったときに嫌〜な予感を感じたものの、娯楽映画としては思った以上に楽しめた。とくに第1幕。CGの若返りインディは不気味ではあるけれど、アイデアとユーモアに満ちたアクションの連続。そう、これこれ、これがインディアナ・ジョーンズという展開で期待は高まる。そして、1969年のインディアナ・ジョーンズ。実は今作で一番期待していたのは、「1960年代を生きるインディ」をどんなふうに描くのか、という点でした。何しろ、時代は公民権運動の熱気が冷めかけたニクソン政権のころ。人種平等の夢は小さくしぼみ、それどころかベトナム戦争でアメリカの正義や理想がどんどん陰りを見せた時代。そして、第三世界からは欧米の植民地主義への反発が高まった時代。インディたち考古学者が各地の「お宝」を発掘し、ロンドンやらワシントンやらの博物館に収める行為も、文化の収奪として批判されはじめた時代。こんな時代にインディアナ・ジョーンズが過去の自分の行いを振り返り、どう折り合いをつけていくのか。そんなことを期待していた・・・・。もちろん、そんな難題に本作がまともに挑むとは考えていなかったけど、『ウエスト・サイド・ストーリー』で独自の21世紀版を作り上げたスピルバーグの製作であれば、何かそういうスパイスが効いた一作になってるのではないか、と微かな思いを胸に劇場へ。
残念ながら、そうした関心は本作の製作者には共有されていなかったようです。それは、せいぜい60年代の若者文化についていけない、さえない老人としてのインディの描写に反映される程度であり、むしろインディはそんな「新時代」には背を向けて「元ナチの科学者」との秘宝争奪戦にのめり込んでいく。インディは物語中、何度も何度もフォラーを「ナチ」と呼び、そう呼ぶたびに彼の中にエネルギーが満ちていき、どんどん生き生きとしていく。結局、彼は「アメリカが正しいと信じられた」過去の世界へと向かっているよう。1969年の変わりゆく世界を背に、そこだけが30年前の世界であるかのような冒険が続き、最後には考古学者が夢にまでみた世界へ・・・。いっそのこと、そのまま帰ってこない、という手もあったかもしれないけれど、NYに戻ったインディの前にはもうひとつの「過去」との再会があり、物語は大団円で幕を閉じました。結局、本作のなかのインディは最初から最後まで「過去にとらわれた人」でした。その姿は、かつて夢中になった作品の十数年ぶりの新作を観にせっせと映画館に通う、私のような観客にも重なっていたようで、胸に苦いものが残ったまま劇場を後にしました。
というわけで、たぶんスピルバーグが製作から降りたのも、本作のあからさまな過去への固執ゆえでしょう。同じものをもうひとつ作るんだったら自分が作る意味がない。『クリスタルスカルの王国』は難点は多々あれ、新しいものを作ろうとする意思は感じましたが、今作に新たに彼がメガホンを取る理由はなかったのでしょう。まあ、ちゃんと終わらせるだけでも大変なことだし、過去を愛したままそっと幕を閉じるための一作としては、よくできていたのではないかと思います。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 5点(2023-07-21 22:08:32) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 インディ・ジョーンズと共に青春時代を過ごしてきた私としては、この最終作をとりあえず劇場で見届ける使命を感じ今回観賞に至りました。 冒頭、若き日のインディが現れるがAIの特殊撮影で作成されたものと思われ、これが非常に違和感なく良くできている。 只、ナチスと対戦するアクションは激しいが、画面が暗く大写しが多いので分かりづらい。 時代は現代(といっても60年代後半)に移って現在のインディが現れるが、80歳にはみえない若々しさにとりあえず安心。 此処から元ナチス科学者との暗闘が始まるが、カーアクションをはじめ以前観たようなシーンが多く今一盛り上がれない。 共演の女優、少年にも、「魔宮の伝説」の二人の様な魅力が感じられず・・。 今回のテーマはアルキメデスを絡めたタイムスリップになっているが、このシリーズは不老不死の様なオカルトの方が合っていると思う。 最後にマリオンが登場するが、月日の流れが感じられ、少しジーンと来るものがあった。ここで1作目の回想シーンなど流して貰えばもっと感慨深かったのですが・・。 取り敢えず、長い年月をかけて完結させた、ルーカス、スピルバーグに感謝。 最後に、この作品も気が付けばスターウォーズ同様ディズニーになっていた。 【とれびやん】さん [映画館(吹替)] 6点(2023-07-16 21:48:27) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 思ったホドにはインディ本人の(締め括りの)物語というワケでもなくて、結構全編ひたっすらに(年甲斐も無く)冒険しまくっているのですし、だったらそもそもこんなに長尺にする必要ある?とだって少しダケ思ったりもするのですね(⇒折角、アクションシーンが意外にもドレも降板したスピルバーグばりの良テンポで纏まってるのに)。でも、その辺り+終わり方とかも含めて最終作はコレで好かったのではないか…と(素直に)思いましたよね。重ね重ね、アクションは総じて素晴らしいテンポ&疾走感で分量も豊富、かつ細部まで非常に丁寧につくり込まれていてもう一回スローでじっくり観たい…という様な惚れ惚れする出来だと思いました。クライマックスも、1~3作目と比べりゃあだいぶん「派手」「荒唐無稽」だとは思うのですケド、コレも今風と言えば今風(の味付け)だと思います。オーラスだって、年経た二人の様子も含めて個人的にはかなり気に入ったのですよね(人生という冒険は、生きてる限り終わらないのだ!と)。一点加点しておきます。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 8点(2023-07-03 23:50:48) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 なんだか観ている間中、妙に自分が冷静であることに驚いてしまいました。 一応アクションに次ぐアクションではあるんですけど、2023年公開の映画にしてはセンスが古い感じがしてね・・・ あと、これはインディシリーズに共通して言えることだと思うんですけど、物語の肝となる場所(本作だとアルキメデスの墓所)に来ると途端に画面が安っぽくなるのはなぜでしょう。とても大昔の遺跡のようには見えないんですよ。とりあえず蜘蛛の巣張っときゃいいだろ、みたいな。 ヘレナ役のフィービー・ウォーラー=ブリッジはとてもよかったです。彼女が最初に出てきたとき「あ、この女優さん見たことある!」と思いましたが、出演作を調べたらどれも観てませんでした。不思議です。 |
1.シアタス心斎橋 グランシアター 初体験。「エ~イ! 買っちゃえ!」大枚はたいた価値ある迫力の音響をリクライニングシートで席まで運んで下さったドリンクとおつまみをいただきながらゆ~ったりと鑑賞。 ダイヤル争奪戦は序盤の間延び感や魅力を感じられないヘレナ、そして今作お目当ての一つマッツ・ミケルセンのぬるい悪党ぶり。 終盤の攻防には目が点に。ラストシーンもハリソンさん年相応の感慨深さがあるにはあるのですが・・・ 楽しめはしましたが、期待超特大で満を持しての鑑賞だったので物足りなさがあったところです。 |