《改行表示》 5.《ネタバレ》 2回見に行ったのだけれど初回と2回目とで見終わった後の気持ちが全然違っちゃったのよね。 初めて見た時には痛快なコメディだと思ったわ。バービー達の暮らす作り物で固められた世界、目覚めてしまったバービーの揺らぐ自我、散りばめられた映画ネタや自虐的なマテル社いじり、そして明快なフェミニズムとホモソーシャル批判。それはそれは楽しい映画だったハズなのよ。 だけどDJ SODAさんに対する性加害と大量の(本当に大量の)二次加害があった後に2回目を見た時、そこに感じたのは切なさ、辛さだったわ。 この映画に描かれたフェミニズムは単純な基本中の基本、何を今更そんなところを、みたいな感想があるわ。 わざわざ男と女とを分断するかのような描き方をするのは間違ってるって感想があるわ。 だけど今現在のこの世界のこの現実、その基本だって全く尊重できてないワケじゃない。莫迦な男達が平然と莫迦を繰り返して反省もしやしないのが実情でしょ? ホモソーシャルに捉われた、あるいはミソジニー丸出しの、アタマの弱い男達には単純にストレートに批判をぶつけるのが正解じゃないかしら? そしてそれでも判らないであろう現実が切なく、辛いのよね。この映画って実は監督の怒りの発露だわよ。 ついでに言うとホモソーシャルに属さないアランは映画において必ずしも良い存在であると肯定されてるワケじゃないので(逃げようとするでしょ?)自分はどちらかというとケンじゃなくてアラン、って思ってるタイプもちゃんと自分のアタマで考えないとダメよね。 『2001年宇宙の旅』のパロディから始まって監督の差かしら『バビロン』に比べたらマーゴット・ロビーが格段に良かったとかケイト・マッキノン相変わらずステキとか美術デザイン最高とかマテル社の幹部連中が女性活躍社会!とか言ってる日本政府の男どもみたいとか色々と楽しめもしたのだけれど、この現実の中での映画の位置を考えた時にこれは重い重い映画なのではない?ってズーンと来ちゃったわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2023-09-05 15:45:55) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 全世界で根強い人気を誇る老舗玩具バービー人形。もし彼女らが意識を持ち、彼女たちだけが暮らす夢のような世界があったら?本作は、そんな特異なアイデアを独創的な映像で描いた異世界ファンタジー。監督は、僕とはあまり相性の良くないグレタ・ガーウィグ。この人の映画を観るのはこれで三作目なのだけど、やっぱり今回も見事に嵌まりませんでした。この人のあからさまなフェミニズム思想ってなんかすんごく偏ってません?自分は男ですが、この社会に当然のようにはびこる男たちの傲慢さに昔から違和感を覚えていたタイプ。「男は社会に出て積極的にバリバリ働き、女は家庭を守り子供を育てる。それこそが人類共通の真の幸せな姿だ」なんて平気で信じ込んでる男たちに心底うんざりしてきました。そんな「女は頑張った自分へのご褒美だ」と本気で考えてるような男には絶対にならないでおこうと決めた僕でも、本作の根底に貫かれる極端なフェミニズム思想にはかなり拒絶反応が……。この映画のテーマって結局、「今まで男が女を支配してきたからこれからは女が男を支配してやりましょう、それができなければもう女たちだけで生きていこうよ」ってことですよね?それってどーなんですか。なんかすごい違和感を感じたのは僕だけなのかな。この社会の分断を招き男女間の対立をいたずらに煽っているだけのような。まぁそんな極端な考えに走るほど、女性がこれまで不当に虐げられてきたというのも分かるんですけどね。とはいえそーゆーのを抜きにしても、単純にファンタジー映画としてどうなんと思える部分も残念に感じました。バービーランドと人間社会の関係がかなり曖昧過ぎて物語の世界に全く入り込めなかったんですけど。どうしてバービーランドが出来たのか?この世界が最初にあってマテル社がその模倣としてバービー人形を作ったのか?あるいはその逆なのか?現実社会の持ち主の暗い思いがこの世界に悪影響を及ぼすならとっくにこのバービーランドは崩壊しているのではないか?そこら辺の設定の詰めが甘く、自分はもはや物語として破綻しているようにすら感じてしまいました。「マーゴット・ロビーが言っても説得力がない」なんて楽屋オチみたいなネタを突然出してきたときなんて完全にすべってたし。そんなわけで、自分はこの監督の感性&思想とはまったく合わないことを再確認してしまいました。マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングの豪華共演と、ピンクを基調とした映像の創り込みがさすがに半端なかったので、+1点!! 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2024-04-26 11:30:37) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 ジェンダー問題提起作として意義深いだろうが、ステレオタイプ的展開で、映画としてはどうかな。駄作ではないけど。映画界は続編だらけだから、次回作では一般論から抜け出す何かがあるんだろうとか思ったり。 KENに好かれるかどうかという価値観の執着からなかなか離脱できない様子が、意外にもだいぶ後部でも出てきて、そういうものなのかなーと思った。バービーの顔がずっとしわくちゃだなー。KENの歌う歌が何気にいいじゃん。 【ほとはら】さん [DVD(吹替)] 5点(2024-03-07 11:22:52) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 まず、グレタ・ガーウィグの映画は好きだけど、これだけエンタメに振れた作品って初めてでは。その点ちょっと不安だったのだけれど、名作映画オマージュやら時事ネタも散りばめながら、まず楽しかったのが何より。冒頭の「2001年」オープニングはいいのだけれど、その後のバービーランドの描写が個人的にはなかなかキツく、この調子で2時間は辛い、と思い始めたあたりからグングン面白くなりました。まさに「現代フェミニズム入門」的な内容で、近年の「男社会」批判(有毒な男性性、ホモソーシャル、マンズプレイニングなど)がうまくエンタメに組み込まれていて、とくに「フォトショップの使い方を聞く」「ゴッドファーザーを語らせる」あたりは本当にツボでした。ただ、ケンがたくさんいるわりには人種以外のバリエーションにとぼしく(アランという別人格がいるから、というのもあるだろうけど)、ここに弱者男性キャラみたいなのが話に絡んでくると、ますます現代フェミニズム入門映画としてふさわしかったかもしれない。 残念だったのはマテル社のほうの描き方。幹部が全員男性なのは皮肉なのでしょうが、あまりそれが物語上活かされていない。ウィル・フェレルのコメディセンスは本作と相性よさそうなのに、どうにも空振り気味。結局最後までイマイチ何がやりたかったのかわかりにくく、テーマ的にもちょっとノイズでした。あと、もうひとつ。「家父長制が・・・」とか「女性の現実を知って目覚める」みたいな部分を解説調の台詞で説明しちゃった箇所もちょっと残念。第二波フェミニズム時代のコンシャスネス・ライジングであり、今風に言えば「Woke」なんだろうけど、見てればわかるから、あの解説台詞はちょっと観客を冷ましちゃったのではないかな。あそこだけ「フェミニズム入門」講義のようでした。 そして、ラストのラスト。バービーが行った場所があそこだったというのは、ちょっと深すぎて考え込んでしまったよ。一人の人間として生きればいい風だったラストで、やっぱり「女性であること」がそこでズシリと重く響く。スッキリというよりも、「え・・」っとしばらく困惑しながらエンドクレジットを見ることに。そのあとジワジワとその意味みたいなものが浮かんできたけど、まだ腑に落ちたわけではない。 【ころりさん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-10 15:30:53) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 バービーにしろ、ケンにしろあらかじめ社会的に期待された役割ではなく、自分の意思で決めて生きろというような映画だと解釈しましたが、でもそんなことより奥深い何かがあったのかなあ。誰もが役割を自分で見つけて、世間の期待に応えたり、応えなかったりすればいいとは思うので、それはその通りだとは思うが、当方、YouTubeの「現実を生きるリカちゃん」がわりに好きな方なので、「鬱のバービー」とかが出てきた時が、一番血圧上がったかなあ。なんか、浅い観客ですみません。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-12-10 13:46:37) (良:1票) |