7.この映画が公開された当初、本が出版されて「ガンピズム」なる言葉が流行ったことがある。それがどういう意味だったかは知らないけれど、私にとっての「ガンピズム」、フォレスト・ガンプ主義の意味とは、ひとつのテーマしか考えられない。奇しくもこれと同じ時期に公開され、この映画の影に隠れてアカデミー受賞を逃した映画「ショーシャンクの空に」とこの「フォレスト・ガンプ」。この二つの映画に同じ強烈なテーマを強く通じるものを感じるのは私だけだろうか。……そのテーマとは「人間の本当の強さ」である。私にとっての「ガンピズム」とは、「強さ」の理想的なあり方に他ならないのだ。……人生に背を向けず、全てを受け入れて宿命に愚痴をこぼさずヒステリックに嘆くこともなく、自分の信念に忠実に強い意志を持続し、出会う人々から目の前の困難まで、全ての人生の出来事を「一期一会」として熱意を持って淡々と行動を重ね、ひとつ、またひとつ、人生を歩んで行く。なすがままに、あるがままに、ビートルズの「Let it be」という歌の歌詞も、このふたつの映画に描かれている「人間の本当の強さ」というものを表現しているように思えてならない。……何回観てもジェイミーだけは単に身勝手な女としか思えないのだけれど、それすらも一途に受け入れて人生を歩むガンプ。彼にとっては、幸福も不幸も、出会いも別れも、楽も苦難も、人生に起こるあらゆる物事が、大切に向かい合うべき「一期一会=人生で一度限りの大切な出会い」であり、それ以上でもそれ以下でもない。全ての人生を終える時、彼は胸を張って言えることだろう、「僕の人生は幸せだった」と。……ショーシャンク刑務所にブチ込まれ不幸の中を歩むアンディ、全ての人に愛され幸せの中を歩むガンプ。自分もこんなに強く生きることができたらいいのに!、この映画を観たり語ったりする時、いつもそう思わずには居られないのだ。 【six-coin】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-06 03:41:42) (良:2票) |
6.画面を舞う白い鳥の羽とかわいい音楽のオープニングでもうわかってしまいました。これは「おとぎ話」。こんな出だしのホラーやスペクタルは絶対にないのです。この映画を「おとぎ話」として見てくださいよ、という製作者の合図みたいなもんです。そしてアメリカでは「おとぎ話」はサクセス・ストーリーと相場が決まっています。主人公が母子家庭に生まれてIQが特殊学級すれすれの75というのも、「こいつは何かの才能(たとえば数学や音楽の)や環境に恵まれてラッキーだった。」なんて言わせないようにするため、主人公がひたすら走ったり卓球の球を追ったりする才能(?)に恵まれたのは知能が低くて要領が悪いせいだし、誰かが大金をくれたり、嵐の時に自分の船だけが助かったりするのは・・・あまり目くじら立てないでおきましょう。「フィラデルフィア」や「アポロ13号」で知的な役を演じたトム・ハンクスがIQ75の主人公を演じている様は「レインマン」で自閉症の男を演じたダスティン・ホフマンを彷彿とさせます。主人公のセリフに耳をよくすませると私たちが中学校で習うレベルの英文法の間違いがたくさんあります。ご苦労さまでした。 【かわまり】さん 8点(2004-01-29 12:09:11) (良:2票) |
5.この作品はアメリカ人にとってはたまらない面白さがあるんだろうなあと思う。私としてはフォレストと近代アメリカの歴史との関わり方が面白かったです。その発想がいいんですよね。エルヴィスとのエピソード、ウォーターゲート事件が気に入ってます。歴史に残る大スター、事件に実は名もない知的障害者の打算のない自然な行為、行動が深く関わっているなんてドラマチックじゃないですか。スマイリーはちと無理があったかな?トム・ハンクスはハマり役でしょう。でもね、ロビン・ライト・ペン演じるジェニーはちょっとねえ、放浪癖があるのかしら?言い方は悪いけど、知恵遅れのフォレストをなんとなくうまく利用してるような感じを受けました。都合のいい時だけ戻ってきては去っていく。最後は突然呼び寄せて「あなたの子よ」って、いくらあのウィルスに感染したからってちょっとあんた、それはないでしょって感じ。フォレストの純粋さがうれしくもあり、不憫でもありました。自分の子と知らされ「頭はいいの?」と聞いた時はたまらなかったわ。登場人物はそれぞれ重いものをしょって生きているけれど、さらっとテンポよくコメディタッチで描いたところがよいですね。 でも「一期一会」ってサブタイトルはいらないよね。 【envy】さん 8点(2004-01-02 22:23:03) (良:2票) |
4.フォレストはアメリカの理想であり憧れだ。 純粋で無欲で、努力を努力と認識せず、知らぬ間に富と名声を手に入れる。 ただ、一緒になりたいジェニーだけを除いて──
彼が駆け抜けた戦後アメリカ現代史をマジックリアリズムで織り込んだ本作。 どこが良いのかと聞かれると返答に困る。 でも、スッと入ってくるくらい印象に残るエピソードばかりで、 同じくマジックリアリズムの手法を用いた『アンダーグラウンド』に近い気持ち良さがあると思う。
自分がしたきたことは自分に返ってくる。 フォレストは誰かの幸せを願い、ジェニーは社会に反抗する勝手気ままの人生を送った。 もちろん、中身が分からないチョコレートの箱と同じで、必ずしも良い方向に働くとも限らない。 混迷化する現在、フィクション以上に現実は物事を二極化しすぎている。 「これが良いから」と扇動して、「これはダメだ」と断罪するくらいに。 ただ、「身近な誰かを一人でも幸せにしたのか」と本作は幸福論の真理を突いていて、 歳を経ることに分かるようになった。 【Cinecdocke】さん [地上波(吹替)] 8点(2022-09-11 10:47:14) (良:1票) |
3.マウイ島に行ったら、「ババ・ガンプの店」があった。店内には、お母さんやジェニーやダン中尉の写真が飾ってあった。シュリンプ天国という海老料理を注文した(美味しかった)。お店の外にはバス停のベンチが再現されており(チョコレートの箱とスニーカーまである)、そこで記念撮影。久し振りにこの映画を観たくなった。 【フライボーイ】さん [DVD(吹替)] 8点(2008-02-08 22:43:52) (良:1票) |
2.一種のおとぎ話といえばそれまでなんだが、なかなか製作者はこだわりまくっている。アメリカの現代史を通じて描かれるのは、第1に、正直者がばかを見てはいけないという良心的な訴えのようだ。自己顕示欲や富と名声へのこだわりだけでは、決して成功はしない。無欲と相手へのいたわりが大事であり、それが成功の秘訣にもなる。しかし、だからといって本人が幸せかというと、そこはどうかなと疑問も示している。第2に、人生とは筋書きのないドラマのようなものというもの。自分の意思とは関係なく色んなものに影響や制約を受けるし、それを予想はできない。人との出会いと別れも同じだ。結局、人間とは偶然と社会に翻弄されるものだと、風にまう羽が示している。誰にでも思い当たる節はあるはずだ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-07 23:32:12) (良:1票) |
1.「人生はチョコレートの箱」。このセリフの意味を全く理解していない人が多い。コメントに、ストーリーがつまらない、荒唐無稽、アメリカの冗談映画にすぎない等の的はずれな見解が目立つ。この映画はアメリカンドリームなどなんの関係もない。ましてや感動して泣くようなものでもない。ただたんに、人生は開けてみるまでわからないチョコレートの箱のようなものだと伝えているのである。ふつう人は行動するまえに慎重に考える、二度も三度も。しかしまずはジャンプすることだ、何を迷うことがある?、人生は(神様の)贈り物なのに。迷うことだけが不幸なのである。大事なのは結果ではない、一瞬一瞬にすべてをかけて生きるかどうか、フォレスト・ガンプはそのことだけをつたえている。 【中村浩二】さん 8点(2003-07-18 22:16:53) (良:1票) |