4.モンチョ少年が、先生や級友との交流から少しずつ自分の世界の枠を広げていきます。枠の外には、こんな世界が広がっているのかー、そこは甘酸っぱく、驚きに満ち、虚実が交錯する世界。そんな世界を美しい美術、衣装、そして光の濃淡が丁寧に投影された照明、光こぼれる自然のロケーション、そしてじっくりとした静的なカメラワークが表現していきます。そのあたりは堪能できるのですが、しかしなにかもの足りない。全編にわたる映像がどこか牧歌的である分、スペイン内戦勃発前夜の不穏な空気、思想的政治的危機感、そしてラストの罵倒・・・、それらがあまり伝わってこないのです。臓腑を鷲づかみにしてくるというより、肌を撫でてくるというような印象です。いい意味で、もう少し雑であればなー、という気がいたしました。 【彦馬】さん 7点(2004-09-05 19:59:28) (良:1票) |
3.小学生の頃に夏休みの宿題として「自分の好きなもの」を作ってくるという課題があった。私は当時昆虫が好きだったので”標本セット”を購入していろんな種類の昆虫を捕まえ「昆虫の標本」を作り9月の登校日に持っていったのでした。その「自分の好きなもの」をクラスで展示することになって最初はいろんな種類の昆虫の物珍しさに私の作品へみんな集まってくれたのですが、とある一人の同級生が「ねぇこれってどうやって標本にしたの?」と質問してきたので正直に標本セット(説明させて頂くと標本セットとは中に薬と注射が入っており、それを昆虫へ注入するとたちまち”死んでしまう+腐らない”という当時小学生の私にはかなり画期的な代物でした。)を使ってこれを作ったと説明するとそいつが「○○君は残酷だな~」とおもむろに私を批判し始めたのだ。またそいつに扇動された周りの奴らもそれに置いてかれまいと「そうだよ!そうだよ!」と批判側にまわる始末。結局私には誰一人味方がいなくなってついには1週間ほど展示する予定だったのを先生に頼んで初日に持って帰ってしまったのだった(先生は「それぐらいのことがどうした。堂々と見せておきなさい」と言ってたけど私には耐えられなかった・・・)。当然私は家に帰って大泣きしながら裏山でそれを燃やしてしまった。それから数ヶ月間は人間不信になって教室でも一人の時間が多かったような記憶がある。でもそうやって少しづつ”人間”という生き物を知り、集団社会の厳しさを学んでいったのだなということをなんとなく思い出した。モンチョ少年もああいう現実を目の当たりにして大人へと成長していったのでしょうね。 【tetsu78】さん 8点(2004-06-05 19:34:45) (良:1票) |
2.衝撃的かつ感動のラストです。そう、確かに感動のラストなのですが「映画の製作者がこのラストに盛り込んだ『感動』程、今、自分は感動していないんだなあ」とか訳ワカラン事を、観ながら考えてしまったのでした。全編のエピソードが些か作為的に思える部分があったので、このラストにも少し作為的なものを感じずにはいられなかったのです。途中、例えば、唐突に「中国人娘っていいよなあ」とかいうセリフがあったと思ったら、本当に東洋人の若い女性に出会ってしまう偶然。こんな偶然無いよね(無いのは僕だけだったりして)、これは余計じゃないの、と、ちょっと醒めてしまいます。エピソードの一つ一つがちと弱い。弱い代わりにエピソード同士が連関を持っている。悪くは無いけどこれが時に作為的に思えてしまう。しかもそのくせ、なんとなく未消化のままうやむやになってしまう。というわけで、中盤の弱さが最後まで尾を引いてしまったかな、と。しかしグレゴリオ先生の人物像、こればかりはとてつもなく魅力的に描かれていて、肩入れせずにはおれません。あと、私のスペイン市民戦争に関する知識と言えば、オーウェルの「カタロニア讃歌」のみというヒジョーに片寄った状態だったので、その意味からも興味深く観ることができました。現在のスペインの人はこの戦争をどう捉えているんですかね。 【鱗歌】さん 7点(2003-11-30 16:17:51) (良:1票) |
1.これはラストのシーンが全てですね。それまでの平和で暖かい淡々とした展開も、このラストのために用意されたもの。反作用で一層心にグサッとくるんですね。あの可愛いあどけない少年が発する言葉なのでなおさらです。少年に罪はない、罪は大人が始めた戦争に・・・やさしい先生の疲れ切った顔が無言でそういっているようでした。 【キリコ】さん 7点(2003-06-20 15:00:09) (良:1票) |