2.ネタバレ 見終わって思った一言は、タイトル詐欺。 「怪獣ヤロウ」と言われれば、怪獣大好き怪獣野郎かな、怪獣映画をやろうなのかな、怪獣そのものをやろうなのかな、それらの重ねミーニングなのかな、ポスターも怪獣懐古風だしな、とか考えられて、結局、それらは全部含んでいたらしいんですが、まあ全部が中途半端以下。 怪獣大好き怪獣野郎にしては、主人公の怪獣に対する思い入れが全然感じられません。怪獣愛が全く感じられない。パンフレットに本物の怪獣映画の金子修一監督との対談が載っていて、ほぼ私と同じ感想なんですが、怪獣に愛があれば中学生でも役所の職員の緊急事態でも、あんなダンボールの箱の顔のいい加減な怪獣なんて作りません。なんでしょうね、あれ。 ご当地映画を怪獣でやろうというのは良くても、結局怪獣出てきません。能力もなく生活態度もだらしない主人公が、怪獣は怒りだ!と言う割には、全然怒りが伝わってこない、そもそも何に怒っているのかもわからない、ただ、ぶよぶよした裸でなにか汚らしくごそごそ動いているだけ。全然面白くない。 リアリティも全くない。 夜中のあんな時間に勝手に面識のない人の家に侵入する公務員、不法侵入です、普通に捕まります。 市の施設の上で許可なく大量の火薬使って大爆発、激発物破裂罪、逮捕です。雷原因ではありますが、許可なく爆発させる気で火薬蒔いてます、アウト。というか、あの量の火薬なら普通人死に出てます。致傷か致死です。施設の被害も7桁で収まれば御の字です。怪獣映画大好き設定の主人公なのに、実際の撮影の火薬の使い方とかまるっきり知らなかったのでしょうか。それ以前に、怪獣の着ぐるみをあんな雑に扱う怪獣ファンっているのかな。 バックアップ用の機材の予算がなくたって、フィルムじゃなくデータにしてるならオリジナルは触らずコピーをイジるのが普通です。勝手にいじって珈琲こぼして全データ消失って、見てる方を馬鹿にしてるのかな、それとも本作の監督はそんないい加減なやり方でやってるんですか。 監督によると、自身が子どもの頃馬鹿にされた、そのリベンジ的作品だそうです。日芸出て映画業界に入れず、太田光代の芸能プロに入って、芸人の付き人やってて、太田光代から「やってみる?」と言われて撮ったそうです。パンフに書いてあります。ああ、そうなんですかという感じ。できの悪い自主製作映画を見たような感覚です。いや、自主製作でも「侍タイムスリッパー」は、ずっと時代劇愛にあふれています。脚本もよく練られています。比べるのもおこがましいですが。 演技、清水ミチコ、ちょっとキツいなあ。吉田秘書役の女優はすごく頑張ってました。関市のエキストラの人はわざとあからさまな感じに撮っているのか、微笑ましかったです。ただ、決定的に主人公がダメ。近場にいたら、ちょっとキモくてすこうし嫌悪感が沸くタイプに見えます。芸人さんなんですね、なんだかわからない内輪ネタで、この芸人さんのファンだけがネットで盛り上がって評価を上げてます。逆に言えば、関市の人や関係者、この芸人さんのファン以外は面白く感じられないんじゃないんでしょうか。 変な想念のCG入れ込んだり、youtubeの内輪受けネタでアピールしたり、芸人とエキストラばかりで作るものだから、たまに出てくるちゃんとした役者の演技との乖離がすごかったのも酷い。特定の関係劇場を除き、殆どの劇場は全国公開からたった2週間で終映だったそうです。むべなるかな。 あと、パンフレットの役者紹介で、役者からコメントが全く寄せられていません。邦画のパンフでこういうのは初めて見ました。金子修一監督との対談が載っていますが、金子監督は全然褒めず、ダメだしばかり。義理でも褒めあげるのが普通のパンフレットで、これも初めて見ました。いろいろな事情はお察ししますが、このパンフレットはある意味貴重ですね。 ボロボロになって吊されていた着ぐるみの怪獣。怪獣愛があれば、ワンカットでいいんですよ、元気にスクリーンで暴れていた頃を回想で出す、それくらいもできなかったのかな。怪獣愛が感じられない、ちゃんとした怪獣がひとっつも出てこないモドキ映画としか思えませんでした。 【えんでばー】さん [映画館(邦画)] 1点(2025-05-14 06:24:49) 《新規》 |