1.ネタバレ ミステリー要素ありの作品です。ネタバレしていますのでご注意ください。
「丁寧な暮らし」をする女の実は乱暴な愛のかたち。ダライ・ラマであろうが、マザー・テレサであろうが、不倫をしたら即アウト。さらにでき婚で略奪婚のトリプルコンボとくれば、そりゃ一生「後ろ指を差される人生」となっても仕方ないが世間の常識です。それでも愛する人との間に出来た子どもが居れば耐えられたでしょう。我が子はこれまでの不幸や過ちを帳消しにしてしまう最強の免罪符ですから。しかし彼女はそれさえ失った。残されたのは、熱の冷めた夫と、決して快く思っていない姑との半同居。夫の不倫発覚を待つまでもなく、彼女は地獄の中に居ました。「丁寧な暮らし」は辛い現実を紛らわし自分自身を騙す演出だったのでは。そもそも不倫する男が、二度目の不倫をしないなんて考える方がどうかしているのに何故自分だけは例外と考えてしまうのでしょうか。それが「愛」の魔法ですか?知らんけど。主人公の行き着いた先は「因果応報」の「自業自得」であり同情の余地はありません。が、全てを失っていく様は憐れではあります。いや住まいだけは残りましたか。でもあの家でそのまま暮らすのなら無限地獄から抜けられない気がしますけど。「丁寧な暮らし」から、二郎系ラーメン&ガリガリ君へ。もう自分を騙す必要はなくなりました。ただ食は心と身体をつくる基本中の基本です。姿かたちが別人となってしまう未来が来ませんように(注:二郎にもガリガリ君にも罪はありませんのでお間違いなく)。さて「業」のバトンは次の女性に渡されました。魅力的に思えた優良物件が、じつは欠陥住宅だと女教師が気付くのは何時なのでしょう。主人公にとっての救いは「感謝の言葉」を言ってもらえるようになったことかもしれません。 最後に床下の謎について。「子の亡き骸を隠した」では無さそうなので「後ろめたさ」が陽の当たらぬ地を求めたと見て取れます。いわば「日陰者」のメンタル。また女教師への言動や床下の残留物をみるに主人公の妊娠及び流産は狂言だった可能性高し。ただ狂言であろうとなかろうと、この一件で女は心に傷を負いました。狂うに足る深い傷です。それでも夫との間に強い絆があれば乗り越えられたかもしれませんが、不倫男にそれを望むのは無理な話です。結局のところ略奪婚を選んだ時点で主人公は詰んでいたということ。もっとも妻帯者が最初から素性を明かして浮気するとは考え辛いので、おそらく一番の悪人は男と思われます。当初素性を隠され「もう戻れない」状況に追いやられた後の略奪婚であれば、主人公や女教師もまた被害者と言えます。放火が不倫の暗示と捉えるなら、この見立てが成り立ちそう。一番「愛に乱暴」だったのは男だったかもしれません。いや、これは「愛」ではないですね。「欲望」です。 【目隠シスト】さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-10 18:23:40) 《新規》 |