1.ネタバレ 一見、娘だけが生き甲斐で必死に暮らしているように見える母親。その実、娘のために疲れた体に鞭打って働き続ける暮らしには辟易している。そこに現れた見ず知らずの老女二人。娘に関わろうとする二人が鼻持ちならない。けれども、よく考えてみればあの二人に預けてしまえば娘は自分と居るより幸せに違いない。そっと覗き見ると娘は幸せそうだ。訳アリ風な老女たちも幸せそうだ。自分だって幸せだ。これでいいんじゃない?
追い詰められたシングルマザー。料金が支払えず電気を止められてしまうほどの生活困窮。ついには風俗で働くことに。夫が居た頃、それはそれで心理的DVで自分が何者か判らないような暮らしだった。一体私は何者なのか?そして突然訪れた救いの手。老女が娘を救ってくれる。そして、娘のいなくなったアパートは自分だけの空間。ろくに出来なかった掃除だって楽しい家事。風俗も指名してもらえるようになった。これで今までの暮らしからは脱出出来たんだ。
でも、世の中甘くはないですね。騙されてAVの道へ。アパートの隣人はいつの間にやら自分のストーカー。今や楽しみは老女と暮らす愛娘の幸せな姿を覗き見ることだけ。
しかし伏兵ストーカーも追い詰められていた。仕事をする気も起きず、実家に帰ることも出来ず、自分だって幸せな家族の暮らしをしたいのに恋しい靖子は彼女を食い物にする男に奪われ、可愛い綾ちゃんは老女に奪われ。そして決断してしまう。
オープニングに現実の出来事とは関係ないとのメッセージが表示されますが、老女たちによる誘拐容認とそれに続く娘の奪還シーンはともかくとして、他は如何にもありそうなお話。都会の片隅に生きる追い詰められた孤独な人間のお話。幸せになりたいのに追えば追う程幸せは逃げて行ってしまう。ある種淡々とした語り口に惹き込まれました。
ただ、ラストはどうなんでしょう?娘を取り戻すこと自体は実行犯も含めて概ね予想通りだったのですが、ちょっともみ合ってあっけなくお亡くなりとは…。そこの演出ってどうにかならないもんだったか?カメラアングルとか時折「お!」と思わせてくれるカットはあったのですが、ラストの頓死的な死に様はどうにも安直に思えて只管残念でした。最後の最後に興覚めしてしまった。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-14 00:32:35) ★《更新》★ |