4.《ネタバレ》 雄一の心情に絞ってレビューします。言及されている方はほとんどいないのだが、青猫が星野でフィリアが雄一という解釈で良いのだろうか。雄一は現実世界の自我を心の棚にしまい込み、あのイジメに耐えていた。心を開くのはリリィ・シュシュの音楽とサイトの書き込みだけ。彼にとってのリアルはリリィ・シュシュとサイトの中にあった。しかし、コンサート会場の青りんごの一件で青猫は星野だったことが判明する。その瞬間に、彼のリアルは現実に侵食された。サイト上では分かり合っていた青猫とフィリア。その関係が現実と重なると、イジメる側もイジメられる側も心の渇望や痛みは違わないことになる。そんなこと、納得できる訳が無い。だから雄一は星野を刺した。青りんごの件が無ければ、チケット廃棄もイジメのひとつで終わっていたと思う。私が中学生の頃はネット環境は無かったが、日記のようなものに自分勝手な独白をぶつけ始めていた。その行為自体はネットの書き込みと大差ない。それを分かち合う人物はいなかったが、もし私をイジメていた上級生や近所の悪ガキ(といっても、かわいいイジメでした)が同じようなことを綴っていても、分り合えた訳がないし、憎しみが倍増したような気さえする。だから、自分の内側の世界を守ろうとした雄一の心理には共感できる。でも、エーテルという言葉に象徴される現実逃避的な虚無感は自分に酔っているようにしか思えなかったし、現実との接触を避けながら概念だけで構築された内的世界は、どこまでも肥大するが同時に脆弱だ。本作は様々な見方ができると思うが、人生で初めて浮上した自我を自分の内側に囲い込むことの危うさを描いた作品というのもひとつの視点だと思う。それと、私はドビュッシーが好きなので、あの旋律を気分が悪くなる描写の間に散りばめていることが嫌だった。悲惨さを相殺させるつもりだったとしたら、安直でズルイ。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-06-09 23:23:54) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 とにかくイタイ映画。劇中のイジメやレイプなどのシーンそのものに対しては「リアル」をあまり感じなかったが、中学時代に感じる様々な問題・悩みに対する独特の心の痛みという意味では非常に「リアル」を感じた。当時は些細な事でも自分にとっては事件であり、傷つき悩んでいたと思う。この映画を時々もう一度観たいと思うが、いざレンタル屋に行くとなかなか手が出ない…不思議な映画。ちなみに当時、映画を観た帰りの車の中の雰囲気の悪さを今でもよく覚えています。普通、映画を観た帰りというのは色々話したり楽しいものですが、この時はさすがに無言でした。気が滅入ってしまいあれこれ話す気にもなれなかった。 【N.Y.L.L】さん [試写会(邦画)] 7点(2008-09-25 01:21:27) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 私は素晴らしい作品だと思う。確かに賛否両論あるのも分かるし、リアルかリアルじゃないという議論がなされるのも分かる。 しかし、岩井俊二に多少なりとも似通った感性をもった人ならば、完全に物語の世界に引き込まれて、いつしか、見ている自分もクラスメイトの一員のような感覚で見れる。津田しおりや久野ようこの事件はとてつもない衝撃だった。そして実際にこういう事件は起きていると思う。 岩井俊二が「遺作」と言ったのも理解が出来る。この物語の登場人物はほとんど彼の分身だからだと思う。いじめられっこ、いじめっこ、それを見逃すこ、便乗していじめるこ、自殺するこ、強いこ… とにかく好きな人は映画うんぬんより、この世界の存在がいてもたってもいられなくなった 【elly】さん [映画館(字幕)] 7点(2004-07-13 01:35:22) (良:1票) |
1.イヂメ・非行・援助交際・レイプ・暴行・・・ 少年少女達の様々な陰の部分がすべて含まれている。 見ていて途中何度か静視していられなくなる。 胸に詰まるような内容が、リリイの独特の音楽・ドンヨリした映像と 共に見ている俺の心にダイレクトに入りこんできた。確かに後味悪い、 妙に心にひっかかる作品だ・・ 【アキト】さん 7点(2004-06-27 04:44:26) |