4.世界の中にも、さらに様々な世界がある。それは主人公たちのすむ世界とフランクの世界だ。駒鳥と虫。その世界と世界の媒介がベルベットなのだろう。フランクはそれを使って主人公とひとつになろうとする。フランクと主人公は同一人物といってもいい。しかし主人公は、フランクを殺してしまう。薬をやる警官。ツイン・ピークス。 |
《改行表示》 3.リンチの映画には独特の違和があります。「ブルーベルベット」では、非日常的で妖しい、暴力的な世界を主人公が覗き見ますよね。僕らは主人公の覗き見を通して映画を見るわけで、主人公が覗き見ることによって惹かれてしまう世界に僕らも惹かれる。僕ら自身の心に揺蕩(たゆた)う異様さへの希求と恐怖感の微妙な捩れ。そのことに気づかされるリンチの映画は、はっきり言って、とても「快感」なのであーる。ちょっと自分自身が怖くなるなぁ。リンチ映画の観すぎ注意! (追記)引き千切られた耳から始まる映画である。表層の世界から裏の世界へ。無邪気な好奇心が深遠な暗闇に引き込まれる感覚。暴力と官能が入り乱れ、そこには何処までも深く閉じた欲望が横たわっている。映像だけみれば、それはある種の二面性として、その境界ははっきりとした形で明示されているように思える。スプリンクラーが回り続ける何処までも明るい日常的世界と引き千切られた耳の非日常的世界。 しかし、日常と非日常の境界線というもの自体が幻想であり、表裏一体であることの表明こそがこの映画の映像的な核心である、と僕は思う。それは僕らの中に潜行し、偏在した狂気という形をとって、出現の機会を常に狙っている。彼の人の耳がいつ、いとも簡単に引き千切れるかもしれない。その時が始まりとなる。そういう恐怖なのである。 【onomichi】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2002-03-10 10:39:44) |
2.所謂日常や常識と言われるものに何とは無しに安住していた主人公がイザベラ・ロッセリーニが羽織るブルーのベルベットを一枚は剥がしてしまったゆえに、かつて体験したことも無いようなドス黒い裏世界に足を踏み入れることになってしまう・・・という話だが、(ワイルド・アット・ハートほどではないにしろ)ラストシーンが何とも場違いなくらい甘く感じてしまうのは、デビッド・リンチがそのアンダーグラウンドな世界をあまりに喜々として描いているからなのか。特にオカマのオッサンがロイ・オービソンを熱唱する様をみてデニス・ホッパーが涙を流しつつも口ずさむシーンなどこの世のものとは思えぬグロテスクさで!しかし、本作以降、アメリカ映画でも似たようなテーマを扱うような作品が数多く出てきており、歴史的にも重要な一作でしょう。 【ダイ】さん 10点(2001-07-23 22:40:16) |
1.BEST OF BEST 【ランス】さん 10点(2001-02-17 21:47:08) |