12.久しぶりに観る大林ムービー史上に残るであろう駄作であることこのうえない映画である。はっきり言ってどこから見ても駄作間違いなしであるが、好きか嫌いかと言われたら嫌いではない。むしろ愛すべき駄作である。冒頭のセピア色の映像、そして、作品全体に漂う不思議なまでの怪しい感じ、怪しいと言えば出てくる人物も怪しい人ばかり、その中にあっても後の大林映画の常連となる今は亡き、昨年亡くなった峰岸徹の怪しさ、こんなぶっ飛んだ役までも監督の期待に応えて演じている姿を観て、この映画の主題歌「守ってあげたい」となるような守ってあげたくなる映画俳優としての人生、しかし、そんな峰岸徹というこの俳優の存在無くして語れないこの映画と後の大林映画、やはりどんな失敗作であれ、私は大林宣彦映画を見捨てることなど出来ない。駄作であることを受け入れて愛してこそ本物の大林映画ファンであるのではないかと思います。それにしても峰岸徹の腹の変な絵には笑いが止まらない。今の日本映画には無い遊び心満点、下手にクソ真面目でお堅い映画なんかより例え出来は悪かろうが、私はこの映画のような遊び心を感じられる映画の方が好きである。但し、人に薦める映画ではない。同じ大林映画なら断然「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」をはじめとする尾道三部作を観ることを薦める。それだけは間違いありません。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-12 22:25:26) (良:3票) |
11.特撮があんまりの出来なのだがこれは時代のせいではなく大林監督のせいです。なんてったって『スター・ウォーズ』よりも『エイリアン』よりも後の作品ですよこれ。こういうのは手作り感覚とは言わない。しょぼいと言うんです。それ以上に、他の大林作品のちょっとでも特撮が入ったものを見れば一目瞭然なんだけど、とにかくセンスなさすぎなんです。これが大林ワールドなのだ。いやほんと。この人にしか作り得ない独特の世界観というのがあって、それはどこかメルヘンチックであって、私個人としては微妙に距離を置きたい世界なんだけど、その大林ワールドが大林マジックによってより強固な大林ワールドを作り上げてしまっているのがこの『ねらわれた学園』。炸裂しちゃってるわけです。炸裂しちゃってるからこその変な吸引力がこの作品にはあってそれが厄介なんだ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-07-29 15:48:27) (良:1票)(笑:1票) |
10.学校中を洗脳する超能力集団。良く考えたら、そんなにスゴイ力が有るなら学校なんて狙わずに、いっそ防衛庁とか…。思いきってUSA・ペンタゴンまで操れば簡単に世界征服出来ると思うのだが…。自分には違和感があって、この設定とストーリーはどうも馴染めない。 【_】さん 3点(2003-09-28 17:06:22) (笑:2票) |
9.2020年4月10日、大林宣彦監督が亡くなった。 遺作となるのであろう最新作の公開予定日(感染症拡大の影響で延期)に合わせるようにこの世を去った巨匠を偲びつつ、本作を初鑑賞。
数多くの彼の監督作品をつぶさに観ているわけではないけれど、この監督の映画ほど作品に対する表面的なパブリックイメージと、実際の映画世界の中に孕む“異常性”とのギャップに戸惑うものはない。
大林宣彦監督自身の風貌や人間性から、ノスタルジックでファンタジックなファミリームービーを多く手掛けている印象を持っている人も多いと思う。 無論、そういう側面を持った作品も多いのだけれど、それはあくまでも個々の作品における一側面であり、彼が生み出す映画世界の本質は、もっとアバンギャルドであった。 もっと端的な言い方をすれば、ずばり“イカれている”と言ってもいいくらいに、その映画世界は変質的だった。
本作「ねらわれた学園」も、言い切ってしまえば、完全にトンデモ映画であり、イカれている。 決して大袈裟ではなく、最初から最後までクラクラしっぱなしの映画世界に唖然とし、呆然とする。
1981年当時の映像技術やエフェクト技術が実際どの程度で、この映画の頭が痛くなるほどのチープさが、どれほど許容されるレベルのものだったのかは、同じく1981年生まれの自分には判別つかない。 しかし、狙い通りかどうかはともかくとして、この確信犯的な“歪さ”は、この映画世界に相応しい。
多感で未熟な高校生たちの心模様と、1981年という時代性、そして超能力という題材。 それらが持つアンバランスさと稚拙さが、チープを通り越して“困惑”せざるを得ない映像表現と相まって、グワングワンと押し寄せてくるようだった。
そして、その中で唯一無二の存在として可憐に輝く「薬師丸ひろ子」というアイドル性が、イカれた映画世界を問答無用に成立させている。 角川春樹(製作)の「薬師丸ひろ子の“アイドル映画”を撮ってくれ」というオーダーに対して、破天荒な映画世界を支配するまさに“偶像”として主演のアイドル女優を存在させ、見紛うことなき「アイドル映画」として成立させた大林監督の感性は凄まじい。
更には、未成熟な高校生たちの“畏怖”の象徴として登場する峰岸徹演じるヴィラン“星の魔王子”の存在感も物凄い。 変質者的に主人公に目線を送る初登場シーンから、クライマックスの直接対決(+「私は宇宙!」のキメ台詞)、そして最後の“宵の明星ウィンク”……いやあ、まさにトラウマレベルの存在感だった。(クライマックスシーンの撮影現場を想像すればするほどそのカオスさにクラクラする)
と、どう言い繕っても“トンデモ”で“ヘンテコ”なカオスな作品であることは間違いなく、この映画を観た大多数の人は「何だこりゃ…」と一笑に付したことだろうとは思う。 だがしかし、公開から40年近くの年月が経ち、時代が移り、創造主である映画監督も亡くなってしまった今、一周まわって「何だこりゃ!」と目が離せなくなる作品になっていることも間違いないと思える。
ともあれ、日本が誇るイカれた巨匠のご冥福を祈りたい。彼が残したフィルムは決して色褪せない。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 5点(2020-04-11 23:34:22) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 大林宣彦監督の映画は、これまで「ハウス」「金田一耕助の冒険」と観て、今作の「ねらわれた学園」で三作目。こんな偏った大林作品ばかり観ている私が、本作についてどうこう言うのは、おかしいと、自分でも思う。黒澤作品を「悪いやつほどよく眠る」と「生きものの記録」しか観ていない、というような偏り、だと思う。せめて「七人の侍」クラスの作品観てから語れよ!と。
そんな私の信憑性薄めのレビューで恐縮ですが、敢えて書かせていただこうと、思う。「大林、クソか!?」と。
鑑賞後、確実にアタマが悪くなっているような、厳しい目の電波系映画でした。そんな電波系映画に、薬師丸ひろ子や、腹部にラクガキを施された峰岸徹が出演しているという無駄遣いが、なんともはや。
「永遠の未完成、これ完成なり。おじいちゃんの言葉よ」とのヒロイン父演じる山本耕一の台詞だが、「永遠の未完成~」は、宮沢賢治の残した名言だろいい加減にしろ。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 2点(2017-07-19 06:20:43) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 当時はこの主演女優が好きだと思っていなかったが、改めて見ると冒頭からPV風の映像になごまされる。以降も全編にわたり清純で邪気がなく愛くるしい様子に心を奪われてしまい、この人がいるなら劇中に出る全てのことをそのまま大らかに受け入れたいという気にさせられる。初見時から30年を経て、やっとこの映画の本来の見方が感得できた気がした(要はアイドル映画だということだが)。
内容に関しては、まず少なくとも前半はまぎれもない青春コメディであり、ギャグとおちゃらけの連続のように感じられて真剣な顔で見るべきところはほとんどない。また後半は表面的には深刻になるものの、さりげなく“頭痛が痛い”というような台詞が挟まっていたり、クラシックまがいの大仰な背景音楽も苦笑を誘うので、とりあえず今だけ真顔を装っていると思わせるものがある。それでこそクライマックスでの羽目を外した展開にも、待ってましたとばかりに違和感なく同調できるのだった。
一方で全編を通じて特に印象的だったのがヒロインの母性的な愛で、ちょっと情けない幼馴染みの彼に向けた思いやりは見る者の心をくすぐる。これも父母が彼女に寄せていたあふれるほどの愛情を分け与えていたということだろう。終盤の展開も、彼女の超能力というよりは愛の力が全てを解決に導いたのであり、結果として高見沢みちるが八王子の自宅へ無事に戻れたのは泣かせるものがあった。 ラストでは星の王子が新宿の空から笑顔でヒロインを見守っていたが、どうやら彼もまた彼女の「広い大きな心」に打たれたらしい。そうすると冒頭に出ていた映画の趣旨説明も、実はこの王子が語った言葉そのままだったのかと思わせるものがある。結果的には劇中世界も見た人も、全てを暖かく大きな愛で包み込もうとする映画と感じられたのだった。
そういうわけで感動的だったので、記念に「時をかける少女」(1983)と同点をつけておく。 それにしても原作者(校長役で出演)は、真面目な作品をこんな映画にされて何とも思わなかったのか。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-09-30 18:59:57) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 セリフと口の動きとタイミングとがまるで合っていないアフレコには呆れてしまってもう何と言っていいのやら。 明らかに邦画なのに、洋画の吹替え版を見せられているかのようなそんな違和感に対抗するには、もう投げやりに観てあげるしか手はないんですってば、まあ、ひどいったらありゃしない‥ブツブツブツ。 しかし、そんな問題をも一気に吹き飛ばしてしまった峰岸徹の腹芸に至ってはもう口あんぐり。。。後半だれてしまってヒゲ剃りしながら鏡と画面を交互に見てたんだが、思わず二度してしまった 画面中央には まさかまさかの光景が・・・(というか、峰岸徹の腹の中央にはまさかまさかの落書きが・・)。 まあ、しかし見て見ぬふりをしてあげたほうがよかったのでしょうか ホント頭が痛い。ついでに薄ら笑いのせいで少し腹も痛い・・ これがホントに1981の作品なのか 悲しくなってきましたばい いや、ホント。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-10-22 21:20:08) (笑:1票) |
5.もう30年も前の作品だけど、よくこんなものを映画館で見せたものだ。劇場に足を運んだ人たちはどんな感想を持ったのだろう。公開当時、街中では至るところで「守ってあげたい」が流れていて、このメロディを耳にするだけで当時の情景が浮かぶほど記憶にシンクロしている歌だけど、映画とシンクロしていなくてホントに良かった。本作を観た記念に(笑)、改めて総括したい。大林宣彦の作品のバラつきについて。本作の翌年には尾道三部作の初作となる「転校生」を撮っているが、このギャップはどこから来るのだろう。度を越えていい加減に見える本作のCGや台詞や芝居が、条件さえ整えば大ホームランに転化するのだろうか? その見方はあながち間違っていないと思う。そもそも、映画を愛しておられることは常に作品から感じられる。だから、ご本人がタイトルによって手を抜いているとは思わない。映画監督は2時間前後を要する作品をバランス良く「まとめる」という技量が求められるはずだけど、大林氏はシーンの作り込みや個別の表現に対する思い入れが強すぎて全体が見渡せていないのではないだろうか。氏独特の「こだわり」が先行して、全体のバランスなどは気にならなくなるタイプ、ということだ。本作では峰岸徹のアレなどがその例。監督が志向するベクトルと鑑賞者のベクトルが合致すると、「こだわり」はオリジナリティに転化し、愛情に溢れた作品が出現する。合致しないと変な作品が出来上がり、観客は悲惨な目に遭う。私はそのように解釈している。色々と書いたけど、本作のような作品を見せられても私は大林監督を高く評価しています。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 1点(2010-09-30 21:05:38) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 名作映画は何処を切り取っても名作だ。1秒間24コマのどこの1コマをつまんでもその俳優の何気ない顔、建物や木々の光と影全てが素晴らしい絵になっている。それはそこに録音されている効果音・風や虫鳥・人々の話声・雑音・音楽なども同じだ。 それと反対にダメ映画は何処を切り取ってもダメダメなんだ。いくら、昔のSFアイドル映画と言っても、一体どこを褒めたらいいの。とても劇場の大きなスクリーンに映すと思えない特撮、もちろん音楽もダザイ。あのお腹に目がある金星人?誰も止めなかったのか。素人の方がもっといいものが撮れそうだよね。 良い映画は職人が作った金太郎飴のようにどこを折ってもきれいな金太郎が顔を出す。でも、才能がない人間が作ればどこを折っても歪んだ顔になってしまう。 この作品もそんなダメダメ映画の代表作だけど、監督がよく言っている「映画は愛」のおかげか、なぜか愛しくなってしまう。嫌イヤも好きなうちと言うが、映画の魅力て不思議だね。 【こねこねこ】さん [地上波(邦画)] 1点(2010-05-02 17:09:10) (笑:1票) |
3.この作品といえば、ユーミンの曲「守ってあげたい」と薬師丸ひろ子のポッチャリ顔、それと当時新人で売り出し中だった高柳良一(現・ニッポン放送デジタルコンテンツ部副部長らしい)が竹刀担いでいる所。その他にも細かくは覚えていたが 公開当時見た作品とは言え、あまりにも思い出せるシーンが少ない気がした。まあ、20年以上前になると思うので、わたしにとっては、その程度の印象しか残せなかった凡作だと思っていた。しかし、今回改めてDVDで再見した結果、その考えは間違いであることが判明した。あまりにも強烈な大林ワールド!ありえないトンデモ学園。そして他の大林作品でも気になると言うか大林監督の味でもある、その合成表現のセンスが炸裂、炸裂、大炸裂!しすぎで恥ずかしいんです。まあ、恥ずかしくなるような作品と言うのも大林監督の味と言えば味なのだが、コレはあまりにも強烈すぎて、当時の記憶は引き出しの奥の奥のもう期限が切れて空になった防虫剤の袋の下の方へと追いやられていたのです。今回再見したことにより当時の恥ずかしい思いを蘇らせたわけですが、今回もまた記憶の奥へと封印されるのでしょうか。あの峰岸徹のセンス溢れる格好、男子学生B(仮)の名セリフ「頭痛が痛い・・・」をまた忘れられるのだろうか・・・もう無理なような気がするなァ。 【カズゥー柔術】さん 4点(2004-11-25 12:39:48) (笑:1票) |
2.「青春のメモワール」とかいう、今となっては書くのもちょい気が引けてしまうようなひろ子のLPを当時持ってた。その中には本作品の思いっきり気恥ずかしいモノローグ台詞とかが入ってて。覚えたくなくても耳にスッーっと入ってきてしまったんだよおー!!「確かに誰かがこの学園を狙っている・・・私は、自分のチカラを信じてみようと思う・・・きっと神様が、そんな私にチカラを与えて下さったのだから・・・あなたは、やっぱり人間じゃないんですね!」って、やばい、・・・未だにそらんじるように言える俺って。(追記)ホント、ヘンテコでチャチな映画なんですよ、これ。81年製作当時でも充分チャチでした(←キッパリ断言!)全編に流れまくる松任谷正隆氏作曲のやたら荘厳華麗な音楽、意味不明に壮大なヒロインひろ子と魔王子峰岸の台詞の応酬。クライマックス対決シーンの花火ドッカーン!指先ビーム炸裂!!って一体・・・。でも何故か一年に一回くらいは年中行事のように必ず観返してしまう・・・。数多くの大林映画中でも、駄作最右翼に確実に位置する作品かと思うんですが、なんで何遍も観返してしまうんだろ、俺ってば・・・。その複雑な心理状況のナゾは、大槻ケンヂ氏著「オーケンの私はヘンな映画を観た!」で明らかに。ナルホド、日本中で俺だけじゃなかったんだ~、この映画のヘンテコさにはまって偏愛している人間は!と読んで妙に納得。いや、無論当時中学生の私は、大槻氏のように、この映画のひろ子の相手役オーディションを受けようなんて夢にも思ってませんでしたが(笑)(←本当かっ?) 【放浪紳士チャーリー】さん [地上波(邦画)] 9点(2004-01-26 00:40:20) (笑:1票) |
1.大林監督作品なのに誰も脱いでない!と思っていると峰岸徹さんが腹に目玉ペインティングをした半裸で大写し。この映画で一番悲しいのは県道部主将役の高柳くんがどうしようもなく剣道が下手ということです。学芸会演技はまだ我慢しますが、武道をなめていることは許せません。けれども薬師丸ひろ子の存在感は素晴らしいので6点。 【ぶくぶく】さん 6点(2003-05-30 11:19:12) (笑:1票) |