5.このころ、北野監督は行詰まりを感じていたのではないかと思います。「ヤクザやめたくなっちゃったな。疲れちゃったよ。」というセリフは監督自身の本音が表れているようです。中盤から別の映画のようにのんびり大らかになりますが、これも序盤が監督の”現実”を象徴し、中盤はそこから逃避したい願望の表れではないでしょうか。劇中ビートたけしが見せる寂しげな笑顔は、演技であって演技でないように思えますし、そう思うと拳銃をこめかみに当てるシーンは実に恐いものがあります。 【S.A.G.A】さん 8点(2003-09-26 17:19:12) (良:3票) |
4.《ネタバレ》 都会バイオレンス⇒沖縄バカンス⇒沖縄バイオレンス。この流れで印象的なのはたけしが演ずる村川の表情。ヤクザ稼業をやっているときは全くの無表情。人を殺すときも、仲間が殺されても、命を突然狙われてもまったく動じず、むしろ退屈そう。 しかし、沖縄に派遣され、やることがないからと、ゆきずりの女や子分とグダグダと遊んでると次第に本当に楽しそうな子供のような表情になる。だって沖縄だもん。沖縄の美しい景色と、ゆるやかな音楽と、寺島進いじりのコメディで一時は彼らがヤクザということも忘れてこちらも微笑んでしまう。 そして忘れたころに戻ってくる血の匂い。あっという間に元の表情に戻ってしまう。そして、全てが終わり、全てがなくなったときの放心とした空っぽの表情に浮かぶ切なさ。たぶん、観ている僕と村川の表情はシンクロしていたような気がする。 程度の差はあれ、弱っちいのに強がっている人や、希望のない毎日に退屈している人には、その心持ちが伝わるのではないでしょうか。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-11 12:57:31) (良:1票) |
3.北野武監督の映画には常に死が付きまとう。これにしてもそうで、少ない台詞と映像の力で見せる。この辺が他の日本のタレントや芸人が撮るどうしようもない作品とは明らかに違う。多くを語らない。しかし、映像だけで迫る力強さがある。この映画が凄いのは、暴力映画によく見かける。付きまとう暴力的な描写が少ないこと。そして、主演の北野武にしてもやたら感情を剥き出しにするわけでもなければ、何か凄い爆発を見せるわけでもなく、ただただ静かに、不気味に笑っているようなあの顔付き、人間の心の中には常に暴力があるんだよ!それを感情的にしないことで、返って不気味さを増す。そんな静けさこそこの映画の恐ろしいところです。好みで言うならば「キッズ・リターン」が北野武監督映画では断然だが、恐ろしさという意味ではこれこそ北野武監督の中でも一番だと思うぐらい本当に見ていて恐いそんな雰囲気を最後まで感じたし、間違いなくこれも監督北野武の代表作として挙げられる作品だと思います。 【青観】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-09-13 19:32:03) (良:1票) |
2.最高の作品なのに、音楽が邪魔です。 【藤村】さん 8点(2004-03-07 17:19:29) (良:1票) |
1.ビートたけし作品ではベストだと思う。静かなる描写。暴力。だれもいない海。なんだろうなあ、この空気は。 【村木】さん 8点(2002-11-10 23:24:49) (良:1票) |