仕立て屋の恋の投票された口コミです。

仕立て屋の恋

[シタテヤノコイ]
Monsieur Hire
1989年上映時間:80分
平均点:7.43 / 10(Review 77人) (点数分布表示)
公開開始日(1992-07-17)
ドラマサスペンスラブストーリー小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2022-01-05)【Olias】さん
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監督パトリス・ルコント
キャストミシェル・ブラン(男優)仕立て屋 イール氏
サンドリーヌ・ボネール(女優)向いの娘 アリス
アンドレ・ウィルム(男優)刑事
リュック・テュイリエ(男優)エミール
原作ジョルジュ・シムノン「イール氏の婚約」
音楽マイケル・ナイマン〔音楽〕
作曲ヨハネス・ブラームスピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 op.25
撮影ドニ・ルノワール
あらすじ
近所から陰湿ないじめをされている仕立て屋のルーイ(ミシェル・ブラン)。そんな嫌われ者の彼にもささやかな楽しみはある。それは向かいの家の女性を覗き見することだった。毎日、彼女を覗き見ることによって、彼は彼女を生活のことをほとんど知り尽くすのだった。 そんな折殺人事件がおきるのだが・・・
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【口コミ・感想】

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1
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10.《ネタバレ》 演劇はどうしても人間と人間のドラマという要素が強く、言葉の構築物なので、孤独を描くにも不自然なモノローグに頼るしかない。だが映画は人間と世界の関係を描くことができる。縄跳びをしていた少女とのかすかな接触や、飼っていたネズミをレールのそばに放す行為だけで、男の孤独が描ける。映画の利点だ。しかもこの主人公イールそのものが、映画を見るように向かいの娘アリスを見ているのである。スクリーンの中のヒロインへの観客の愛のように、四角い窓枠というスクリーン越しに、自分でBGMを流しながら、ロマンチックなメロドラマを演出する。現実との暖かな交流を断念したイールには、こういう傷のつかない関係しか考えつけなかったのだろう。この造形が見事。しかし覗かれる女が覗かせる女に変わり、スクリーンの境が溶け出して、話は悲痛さを帯びてくるのだが、この作品で面白いのは、静かな映画であるにもかかわらず、スポーツが多く登場することだ。まず競技者が横一列に並ぶボーリング、ランダムに交錯するスケート、そして向かい合うボクシング、と二人が向かい合っていくのにあわせるように、登場するスポーツも変化する。恋とスポーツが相似形を成していく。アリスの態度は最初はフェイントだった。しかしフェイントのつもりだったものが、正確に相手に向けられた強打になっていく。もしかすると彼女は違う相手とするべきではないゲームをしてしまったのかも知れない。決勝の自殺点を入れて途方に暮れている競技者。イールは、ゲームのルールを是認することが出来ないまま、映画を見る観客のつもりで競技場に入ってしまった競技者だ。望んでもいなかったのにいつのまにか走らされ、誰の声援も受けずに死のゴールへ一直線に導かれていった不運な競技者。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2009-08-18 12:06:43)(良:2票)
9.とにかく視る。次に嗅ぐ。そして優しく触れる。対象を決して傷つけず、所有しようとしない仕立て屋の愛情表現は、どんな熱烈な愛の言葉や激しいセックスよりもエロティック。仕立て屋の決して見返りを求めない愛情は、どんな恋愛感情よりも深く純粋。そして彼にとっては、女がどういう人間でも構わない。ただ彼が愛した女というだけで充分。だから仕立て屋は、後悔せずに愛に殉ずることが出来た。余りにも切ないけれど、これは幸せな幕切れ。これだけ高尚な愛に生きた男を変態と呼ぶなかれ。勃起したペニスを突っ込むことしか考えていない輩こそ、本当の変態です、7点献上。
sayzinさん 7点(2004-12-24 00:10:47)(良:2票)
8.もう一度見たくなりました。で、再鑑賞。迷わず10点。そう言えば私ってあまり恋愛物って見てない。かれこれ10年以上前にシネマスクエアでこれを見たけど、これが無意識にインプリントされちゃったのか、ハリウッド製恋愛ドラマなんて本当に軽くてチープに思えて見る気がしない。今さらいうまでもないでしょう、ラストでのイール氏のセリフ。煮ようが焼かれようが、何をされても構わないただひたすら君を愛しているだけだ、その純粋な愛の真実をこれほど完璧にまとめた言葉があったでしょうか?その伏線としてイール氏独特の愛し方があるわけですが、アリスを部屋から追い出した後彼女が座ったベッドの匂いを嗅ぐシーンは、何を求める訳ではない、ただアリスがいることが幸せだという存在そのものを愛する純粋な愛がそこにあった。考えてみれば、覗き見(にしては堂々としてるけど)も含めて、彼女の実害になるようなことは何一つしていないんですよねえ・・・そこにかぶさる毎度のような音楽。時にゆったりと流れるそれこそが、イール氏の何があっても変わらぬ想いに重なり、イール氏の人となりを演出していると私は思います。要は演出の一環だと。
見終わって時計見たら、「え?まだこんな時間なの??」って思ってDVDの収録時間見たら、何と76分!何この短さ?!丸々2時間見てるような気分だった。それだけ濃密な世界を、一分の無駄もなくここまで完璧に仕上げたルコントにとれびあ~んと、思い切り日本語なまり(ってゆーか日本語口調)だが最大の賛辞を送ります。
合言葉は埜波と軍曹/埜波(のなみ)さん 10点(2004-07-06 12:34:46)(良:2票)
7.《ネタバレ》 ルコントは「イヴォンヌの香り」という作品があるように女性の香りにこだわる。 イールが息絶えるまで握っていたハンカチにも女がつけていたのと同じ香水を染(し)ませてあった。 いってみれば彼は愛した女の一部と共に逝ったのであるが、このイメージは原作にはない付加されたもの。 まだ若いサンドリーヌ・ボネールは孤独な男の心を捉えるアリスを演じるに十分な魅力を放ち、部屋を覗いていた男を最初は畏れながら、いつしか眼差しが快感となり心を赦し、戯れに接吻までしてみせる。 それが純粋な好意からだけではないのをイール自身が熟知しているのがまた哀しくもあり。 アリスが失意の彼が駅から戻る時間を見計らってした行為には慄然とするが、映画では彼女の態度に曖昧さを残しているせいで生じる劇的な効果でもあろうと思う。 「君を恨んではいないよ。 喜びをくれたから」 この感傷的で痛切な台詞も本にはない。 イールが自分を捧げた女の裏切りにそれほど永く苦しまずにすんだのは温情といえるかもしれないが、これは本当に心に痛い。 ルコントがジョルジュ・シムノンの短編小説「イール氏の婚約」から儚い恋を掬い上げ昇華した逸品。
レインさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-29 23:59:58)(良:1票)
6.究極の片思い映画。ボクシング会場での、彼女の胸元のシャツから2本の指を入れるところが、最高にエロイカでした。その時の彼女の表情ときたら、もう、たまりません。
主人公は、俺だ。そして、あの女は、嫁だ。俺も、いつかは屋根から落ちて、そして落ちながら窓にうつる嫁の姿を見るのだろうか。
こまわりさん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-13 15:20:35)(良:1票)
5.アメリカ映画にはないこの雰囲気が物凄く好きです。わずか80分という短い時間があっという間に終わってしまったと思えるぐらい面白かったです。あの女優さん、作品の中では最後は嫌な奴だなあと本来なら思える筈が何故か憎めない。私好みの女性だからかもしれません。それにしてもラストは本当に切ない終わり方!フランス映画ならではの終わり方!サスペンス映画としても見所満載で何度も観たくなる不思議な作品です。マイケル・ナイマンの音楽も凄く好きです。
青観さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-07-10 22:53:39)(良:1票)
4.《ネタバレ》 中盤までの退屈な展開から、このまま逃避行で終わりかな、と単純に思っていたので、ラストの人間関係の「本質」が凝縮されたような、皮肉で非情な結末には強く心を打たれた。

「他者に対する執着」は「自己愛」と表裏の関係にある。愛や自尊心は、他者からの認識を必要とするものであり、だからこそ、自分が傷つきたくない人間は、自己に対する評価が剥き出しにされる人間関係を忌避するのだろう。

大切なのは自分の価値を他者に委ねるのではなく、自分で価値を作り出すことと、その価値すら「相対的関係の元に始めて成立するものである」という認識を常に持っておくことだ。他者ありきの流動的価値は、その関係性が崩れた時、即、自己の立脚点を見失う危うさがあるからだ。

この仕立て屋も自己の価値を他者に委ねてしまう弱さがあった。人間関係を否定してきたのは、自分の価値の無さを認識したくないからであり、それを認めてくれる人間が現われた時の脆さがよく表現されている。

ラストのセリフすら、「彼女に対する愛を貫く利他行動」を示すものではなく、自分の立脚点を否定したくないためのエゴイズムでしかない。人間関係の本質を考える点で、これだけ純然たる作品にはなかなかお目にかかれない。

FSSさん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-08-14 10:13:20)(良:1票)
3.シムノンの原作は、描写が特に細かいというわけではないものの、生々しさがあり、読んでいる最中、イメージが強く喚起されるので、改めて本作を観ると、なんだかリメイク作品を観ているような妙な気分になりました。が、原作そのままではなく、原作は。イール氏と尾行刑事のやりとりなどがもっと描かれていて、サスペンス色を出していますが、本作の方は、そういった部分は抑え気味。その分、幻想味が増していますが、「作られた不健康さ」みたいなのが垣間見えるのがちょっととまどうところ。ところで!イール氏の覗きのシーンでは、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番の第4楽章の一部が繰り返し、執拗に流れます。本当にシツコイです。私は上記の曲が昔から大変に好きです。私は好きな曲は頻繁には聴きません。時間の流れとともに音楽もまた流れ去ってしまう儚さ、それこそが音楽の魅力であり、あまり頻繁に聴くとその魅力が台無しになる気がするから。それに好きな曲は頭に入っているから、それで十分なのです。しかるにその曲をこれだけしつこく(無意味に)繰り返されると、なんだか嫌な気分に。この曲のこの引用部分、特筆すべき大変美しいメロディであり、おそらく「それゆえに」ブラームスはこのメロディを曲の後半で再現する際には敢えて不完全な形でしか出さなかった(惜しげもなく!)。これが「音楽」の凄みだ。「映画」というジャンルは、この刹那的凄みとは無縁なのか?このように「好きなもの」を「好きなだけ」垂れ流すものなのか?そうでは無いと信じたい。
鱗歌さん 6点(2004-06-26 03:52:58)(良:1票)
2.この監督は何か…女に対して何か歪曲した妄執があるのか?と毎回思う。この監督にとってはいつも女性は聖女なのだ。偏執狂的で一途で純粋で不毛な、中年男の恋を描かせたらこの監督は一流。この人の右に出る者はいない。彼の作品は結構どれも尺が短いけれど、その短い時間でコレだけの情念を表現するというのは凄い。毎回思う。究極の恋って何?と聞かれたら、やっぱりこういうものを言うのだと思う。自意識だけで完結している、ある意味完成された恋。切ないです。
ひのとさん 8点(2003-12-30 17:09:02)(良:1票)
1.冒頭、若い女性の死体のシーンからしてミステリアスな雰囲気を漂わし、カメラと音楽の使い方も抜群に上手く物語りの展開も申し分ない。つまり監督ルコントの、センスの良さと演出の妙をつくづく感じさせてくれる作品だった。 物語りは、サスペンスを絡めつつも“ゾッ”とするような男と女の一途な恋を描いており、最後にどんなドンデン返しが用意されているのか目が離せない雰囲気を持っている。そんな中、主人公イール氏の人物描写がいやらしい程上手く、見ての通り几帳面だがちょっぴり変態さん。その一方で、滑稽なまでの純愛の持ち主は孤独と哀愁をもしっかり漂わせていた。ルコント監督の代表作にして、切ないラブ・サスペンスの傑作です。
光りやまねこさん 9点(2003-06-22 20:11:50)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 77人
平均点数 7.43点
000.00%
100.00%
200.00%
311.30%
411.30%
5911.69%
679.09%
72329.87%
81620.78%
91114.29%
10911.69%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 10.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review1人
4 音楽評価 9.50点 Review2人
5 感泣評価 10.00点 Review1人

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