《改行表示》 8.《ネタバレ》 これが約50年前の作品なんて信じられないぐらい素晴らしい映画。なんならIT/AI技術が発達した今観たほうが、より深く考えさせられるとさえ言える。そんな映画はあまり思いつかない。 発達したとは言っても、未だに使用者はおろか開発者・管理者さえ、IT/AIを思い通りに動かせないことも多いのは 多くの人が実感していると思う。自律ロボットやシンギュラリティを超えたAIの危険性を、分かりやすく示してくれている。 生身の人間より強い快感をもたらすセックスボットは必ず出てくるだろうし、暴力衝動のはけ口・警察/軍人の訓練相手としての戦闘ボットも出てくるだろう。細部の違いはあれど、時代はこの映画で描かれている方向に向かっていると強く思う。 そして過去を模倣した娯楽施設という設定が秀逸。この設定のおかげで、現在見ても違和感のない映像になっている。他の作品のように 頑張って未来世界を描こうとすると、年数が経った時 どうしても的はずれな部分が目立ってしまう。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-03-09 22:56:57) (良:3票) |
7.《ネタバレ》 ジェームズ・キャメロンは「ターミネーターは自分が観た悪夢がアイデアの元だった」と語っていますが、どうしてどうして、実は昔観たこの映画がほんとはネタ元だったんじゃないの(笑)。と誰もが突っ込みたくなるほど、ひたすら追いかけてくるユル・ブリンナーの姿はターミネーターそのものでした。まあマイケル・クライトンも、自身の原作をパワーアップさせて『ジュラシック・パーク』を書いたようなものだから、どっちもどっちです。 そのアイデアはともかくとして、この映画の凄いところは人間的なドラマが皆無ということでしょう。序盤で二人の男は友人で、一人はこのテーマパークのリピーター、もう一人は最近妻の不貞が原因で離婚した傷心の弁護士という、もう最低限の情報だけ提示されますがあとはこの二人と他の客たちがロボット相手にやりたい放題するのを見せるだけ。並行してなぜかロボットたちの調子が悪いのに苦慮している運営側の描写がありますが、このパークの内情やなぜロボットたちが狂い始めたのかの説明や謎解きはいっさいなしです。よく考えると、クライトンの前作『アンドロメダ・・・』に似たストーリーテリングだと言えますが、本作の方が徹底している気がします。クライトンにとっても初監督作ですから手腕が未熟だったわけで、それがこの映画をまるで実験映画みたいな奇妙な味わいを持たせることになったのかと思います。珍作と呼んでもイイかもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-01-13 23:22:52) (良:2票) |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 すんごく先進的な、逆に50年経った現在の方がより身近な恐怖に感じるテーマですね。 AIの暴走といえば1968年のSF金字塔キューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い起こしますが、本作はテーマパークで起こる殺人事件という気楽さですので、件の名作が提起していた哲学的命題の解釈に悩むことは一切無く、見やすいです。 アメリカって73年当時で「テーマパーク」という娯楽施設のコンセプトがこうも進んでいたんですね。日本の地方都市に住んでいた子どものワタシにとって、当時娯楽施設は動物園に併設された遊園地かせいぜいデパートの屋上くらいのもの。ディズニー・ランドの情報を少女雑誌で読んでまさに夢の国だと圧倒されていた、そんな時代に今でも実現すれば大当たりしそうな過去世界体験型のテーマパークを(映画の中にしろ)創り上げ、それだけに留まらずコンピュータが人間の手を離れる恐怖をも織り込んだとはこりゃすごい。 やりっぱなしで後片付けせず、なラストもオチの無い怪談を聞かされたような恐さの余韻が残ります。 ユル・ブリンナーがターミネーターの原型だったとは知らなかったなあ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-22 23:18:42) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 実際には行けない世界を体験したい。人に銃を撃ちたい。綺麗な女を抱きたい。その世界のヒーローになり、しかも安全に楽しみたい。人間のワガママな欲求を満たす、大人のアミューズメントパークが舞台だ。保安官になる男が現代のメガネそのままとか、客側のルールは案外ゆるい。 ウエスタンでは本物の銃が使える。中世と古代ローマは本物の剣だけど、どんな安全装置だろう?第二次大戦などの戦場が無いのは、アメリカが戦争ばかりしてたからだろうか。 撃たれたロボットは血が流れて死ぬが、死んだロボットはデロスの係員が回収。西部の街にワゴン車が来て回収する姿は、リアルと言うかシュールと言うか。 ロボットはセンサーによる死んだフリではなく、本当に死ぬ=故障するんだろう、修理をするが騙し騙しの修理なのがリアルで、まるで赤字続きの鉄道会社のようだ。それが最近、中央ユニットの故障が連続発生するのは、新型コロナの感染のように未知で、人間が作ったものに関わらず、後手後手対応になるのがリアル。しかしヘビや馬やニワトリまでもロボットでは、コストが掛かりすぎるだろうとは思う。 ユル・ブリンナー扮するガンマンが三度も登場するのは、安全だから笑える展開だけど、故障中ならそりゃ怖い。自分の安全を保証する管理室が全滅している絶望感は見事。目が銀色に光るガンマンは追跡を楽しんでいるようにも思える。感熱センサーを使っての無言の追跡、しつこさは、後のターミネーターやプレデター他、多くの作品に影響を与えたんだろう。 エンドロールは緑文字で、当時のコンピューターっぽさを出したのか?陽気なウエスタンミュージックからの不気味なギターは、ピーターの悪夢を再現しているようで見事。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-13 09:33:30) (良:1票) |
《改行表示》 4.これは傑作。私にとってマイケル・クライトンといえば「ER」。あのリアリズムの塊のようなドラマを作る一方で「ジュラシック・パーク」のようなSF映画も作るわけで、ずいぶん守備範囲が広いなと思っていたのですが、この作品でストンと腑に落ちました。マイケル・クライトンは妄想を膨らませたのではなく、こういう未来の現実がリアルに見えていたのかなと。 実際、世の中はこの作品が描いたような世界を目指している気がします。快楽とスリルへの欲望を、科学技術の力で満たそうとしているように思います。それがユートピアかディストピアか、この作品の結末が暗示しているように、誰にもわかりませんが。そのあたりも含めて、やはりリアリズムの塊のような作品でした。 余談ながら、〝主役〟のわりに出番が後半に集中したユル・ブリンナーですが、キャリアの中ではかなり晩年の出演作なんですね。アンドロイドのわりに腹もけっこう出ているし。その思うと、恐ろしさとともにせつなさも感じます。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-03-10 22:50:21) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 オールドウエスト、中世ヨーロッパ、古代ローマ、それぞれの世界が堪能できるテーマパークは、登場人物(動物も)が、全てコンピュータ制御のロボットで、絶対に人間に危害を加えないはずだった。ところがお定まりのコンピュータの誤動作で、人間たちが次々に殺されていく。 西部時代にいた主人公を執拗に追い詰めるのは、ガンマン406号。その強いガンマン、ユル・ブリンナーの黒シャツ姿は、荒野の七人の彼を彷彿とさせ、ちょっとずるい感じのイメージ作戦だ。そして、逃げても逃げても追いかけて来て、何度ダメージを負ってもしつこく迫り来る様は、まるでターミネーターのような恐ろしさ。 コンピュータに、何もかも任せてしまう事に警鐘を鳴らす映画は、いくつかあるが、これはちょっとエンターテイメント側によっている。殊に劇中の西部の酒場での乱痴気騒ぎなどは、何故だか懐かしい感じで楽しませてもらった。 とは言っても、何とか406号をやっつけた主人公が、力なくへたり込む姿にかぶせるテーマパークの宣伝文句が、逆説的な怖さを誘う。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:57:26) (良:1票) |
2.セットがチープなのに、かえってテーマパークらしいリアルさが沸いて不思議。下手な解釈を持ち込まず、観客に判断を丸投げしてるようなエンディングがカッコいい。皆さん仰る通り、ユル・ブリンナーは少年時代のトラウマになりました。『ターミネーター』は公開時、その視覚表現と執拗さであからさまに「パクリ」と呼ばれてました。それ以外にも、クライマックスを山ひとつで終わらせないストーリー構成(再びキャメロンが『エイリアン2』でやってる (^^;)とか、ハイテクを駆使しておいて気付かせないさり気なさとか、けっこう後世に与えた影響は大きいですね。ただ、それだけ持ち上げておいても、でもやっぱりクライトンは監督の才能ないと思うなあ(苦笑)。 【エスねこ】さん 8点(2004-03-15 14:18:04) (良:1票) |
1.とにかく面白過ぎる映画。「ジュラシック・パーク」はどう考えても本作のリサイクル品。M.クライトンおそるべし。ユル・ブリンナーが映画後半、容赦なく追いかけてきますが、全然瞬きしないんですね。怖いのなんの。 【鱗歌】さん 9点(2003-05-31 11:56:43) (良:1票) |