6.この映画が製作された当時、フィンランドでは失業率が20%以上にも上り多くの人々が仕事を失ったという。フィンランドを愛するカウリスマキ監督にとっては、これは失業した人たちへの「めげずに頑張れ!」という応援のメッセージなのかもしれない・・・。最後に出てくる今は亡き俳優「マッティ・ペロンパーに捧ぐ」という文章も涙を誘う。 【かんたーた】さん 9点(2004-03-04 14:57:57) (良:2票) |
5.会話は少なくても実によくわかる展開だ。シェフのアル中事件から始まって、ムスッとした表情とは裏腹のコメディに思わず笑ってしまうおもしろさがある。そして元レストラン仲間のつながりも良い。職さがしがうまくいかないで苦労続きのなかで、ラストで店が大繁盛と上手すぎるようだけど、夢のある映画として見れば悪くない。音楽もまたすばらしくチャイコフスキーの「悲愴」が流れたかと思うとフィンランドを代表するような歌手の歌が聞けたりもする。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-03-12 21:50:14) (良:1票) |
4.2人が見上げた空は、雲が流れ行く澄んだ青空だったんだろう。 僕にも見えたよ。 【ピスタチオ】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-12-13 02:37:49) (良:1票) |
3.ハリウッド映画の演出過剰、過激な映画を観慣れていると、この作品のようなあらゆる意味で抑制の効いた”つつましい”映画が新鮮に見えてくる。最小限の科白しかなく、表情は常に無表情、アクションも控えめで、これといった盛り上がりの無い日常を淡々と描く。結論を見せない演出も特徴のひとつ。職場をクビになったり、就職に失敗したり、賭けで負けたりする場面などは最後まで描かれず、次のシーンで結果が暗示される。顔の表情だったり、酒の飲み過ぎで倒れていたりと、笑える仕組み。省略の達人である。無表情キートンのように観客を突き放すのではなく、ほのぼのとした温かみが感じられるのも佳い。独特のセンスがひかります。どのジャンルにも当てはまらないような映画だが、しいて分類すればコメディ。それも大笑いや中笑いではなく、ペーソスの中に温かみのあるクスリ笑い。物悲しさと笑いの同居はチャップリンを彷彿させる。慣れてくると登場人物の飄々としたおとぼけぶりに笑いを禁じ得なくなってくる。味わいがあるんですね。あと意表を突く演出が多いのも特徴。例えば、アル中で包丁を振り回すシェフ。その存在だけでも笑えるのに、彼を取り押させるのに男性が失敗し、女性が殴って取り押さえる。その様子を一切見せない。科白もない。あっという間に何事もなかったかのように収まり、翌日シェフは怪我させた男に治療代を毎度の事のように払う。このシェフが失業してホームレスにまで落ち込むが、アル中更生施設を経て復帰するのも意表を突く。悪徳職業斡旋所で騙されたはずが職が見つかったり、結局そのオーナーがが悪徳経営者だったりと、どこまでもすっとぼけた脚本。これといった盛り上がりがないのに退屈しないのは”意表”の効用でしょう。この映画は監督の人生観や性格が強く反映されている思う。これだけユニークな映画はめったにないから。つつましく、引き籠り系の性格であることは想像がつく。物語は、共に失業して仲たがいした夫婦が絆を取り戻す話と、やむなく廃業したレストランを再開させる話。ハッピ・ーエンドで陽気な音楽がかかっても、あくまでも笑わない夫婦。感情を表に出さない国民性が下地にあると思いますよ。そんなことを考えてしまう奇妙な映画でした。この独特の世界観は癖になるかも。良作です。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-09-08 23:04:51) (良:1票) |
2.正しく、小津監督の世界だ!その人間の描き方、一つ一つのシーンの描き方から音楽まで何もかも小津監督を思わせる世界です。暗くなりがちな中にも時々、見えるユーモアと優しさとのバランスがほど良くて、観ていて気持ちが良い。ラストがこれまた良いんだなあ!正にタイトル通りに相応しいあのラストシーン!空を見上げる二人の表情がこの映画を物語っている。やたらめったらうるさい音楽を流し、CGばかりのめまぐるしい映像ばかりの今のハリウッド映画とは違って、人間味溢れる世界、じわりじわりと来る温かさ、こういう映画があるから私はミニシアター系の映画が好きです。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-02-10 21:55:02) (良:1票) |
1.アキ・カウリスマキ、この人の映画はサイレント映画のごとき会話が無いのですが、ここまで徹底されると笑えてきます。冒頭のレストランでコックが騒動を起こす場面なんて騒動から解決までずっと会話なしですから。で、会話があっても実に単純。「飲むのに付き合ってくれ」「今日はやめておくわ」「ぜひ付き合ってくれ」「わかったわ」(笑)。「許してくれ」「許せないわ」「帰ってきて欲しい」「帰るわ」(笑)。なんて駆け引きのない会話なんだ。言い訳だとか策略だとかが一切無い会話が心地の良い世界を作り上げています。出来すぎのエンディングはいわばこの監督のこだわりでありスタイルと言えましょう。この独特の“味”を活かして違うスタイルのものも観てみたい気もしますが、一生貫き通してほしかったりもします。 【R&A】さん 7点(2005-02-24 11:34:14) (良:1票) |