7.《ネタバレ》 「なにもせんほうがええ」 フィクサーの老人は自費で学者三人を雇って、日本民族の存続のために今後取り得る方策を策定させた。 冒頭の言葉は、3つ策定されたプランの最後に附された番外である。 老人から、じつは三人の学者が意見の一致を見たのがこの案だったと聞かされる首相。そして涙する。
ここ。 おそらく現代の日本人にはちんぷんかんぷんなのではなかろうか?
じつはここは、敗戦と大きく関係がある。 そして、これは誰も語らないし、俺もまたいまだに整理できていない。 つまりさ。本当は戦時中に言われていた通り、一億総玉砕しておいたほうが、スジが通ったんじゃないか。(日本民族は存続していい民族ではないのではないか)
これは言ってみれば、共感なのだ。 この感覚は表立って言われなかったが、高度経済成長という見せかけの繁栄を享受しながら、じつは本当はこんなことやっていてはいけない、という感覚をぬぐいきれずにいたのだ。それとは裏腹に、当時は企業戦士とかモーレツサラリーマンとかになることが求められた時代でもあった。(補足:俺は高度経済成長期に子供時代を過ごした)
話しを戻す。この言及があったればこそ、この物語は普遍性を獲得したと思う。 ところが、ここに気付かない現代人からしてみると、地震とか、国家滅亡の危機に際してリーダーはどうあるべきかといった表層的な部分にしか反応できないのであった。
日本沈没とは、戦争そして敗戦の比喩であった。
だが。 今や誰もそんなことは憶えちゃいねえ。 幸福な人たち。 【おら、はじめちゃん】さん [DVD(邦画)] 7点(2023-08-14 07:46:33) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 自然の前に人間がいかに無力かの最大級の形。 そして、田所教授が言うように、島国の中で守られて生きていた日本人は、その国が無くなったらどうなるのか。 どちらも恐ろしすぎて思考停止になります。 でも、政府、特に山本総理は懸命に国民のことを考えているし、世界各国も受け入れてくれたので、絶望ばかりではないところが救いでした。
そして、公開から47年後の現在。 同様のことが起こったらどうなるのか、考えてしまいました。 自分の国のことで精いっぱいの国が多いでしょうし、山本総理が言ったように「数が問題」です。 人道的立場から受け入れゼロではないにしても、どうやって脱出できる人できない人の選別をするのか。 情報統制は無理だからパニックが起こりそう。 などと、考えると恐ろしいのでやめておきます。 こんな風に、決して絵空事ではないと思える内容になっているので、今でも十分見ごたえのある作品だと思います。
小野寺氏は玲子さんに会えるといいな。 藤岡弘の強い眼力が、決して諦めない日本人の決意を見せてくれたようで、希望が持てます。 出演者は全員迫真の演技でリアリティがありました。 【nanapino】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-14 17:47:41) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 物理的に日本という国を失ったら、日本人はどうなるのかというテーマが非常に興味深い。そのテーマを表現する為の特撮シーンと、人間ドラマのシーンどちらも面白くバランスが良かったように思う。俳優陣ではやはり首相役の丹波哲郎がカッコ良い。群集劇でこのような気骨のあるおじさん連中が主役を張る映画というのも最近の邦画ではほとんど見なくなった気がする。日本が沈没すると分かってから、色々な国に日本人を難民として受け入れて欲しいと交渉していく過程がとてもリアルだった。もしも今、実際このような状態になったら現政権は韓国にどのようにお願いするのだろうか?など色々と考えてしまった。国を失って各国に散らばった日本人たちのその後を描いたというパート2も是非映画で観てみたかった。 【rain on me】さん [インターネット(邦画)] 7点(2019-08-25 09:38:59) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 初見がいつかは忘れたがかなり昔である。原作のストーリーをけっこう克明に追っているようだが総集編のようでもあり、特にドラマ部分はブツ切れに見えた。密度の濃い長編を映画にするとこんな風にしかならないのか、というような失望を初めて感じた映画だったが、今回見返してみると140分もあり、これでも可能な限りの内容を詰め込もうとしたらしいことはわかる。 内容としては原作本来のテーマも表現しているようだが、原作既読の立場としては改めてそれを映画に教えてもらう必要はない。それよりこの映画で衝撃的だったのは、東宝特撮の大迫力で描写された都市破壊場面の方だった。制作側の意識としては東京大空襲あたりの記憶も入っていたのだろうが、古くは関東大震災の教訓も生かし、また高層ビルのガラスの雨といった現代的な危険も含めて、巨大都市を襲う巨大災害の恐怖を映像化して見せたインパクトは大きかった。 今は昔になるが90年代前半頃、東京東部の某区の職員が“今やわが区は23区で最も安全な区になりました”と防災対策の現状を語ったのを聞いた気がするが、そのような対策が現実に行われてきた背景にも、こういう災害パニック映画が一役買っていたのではなかったかという気がする。劇中でも“とんでもない大バカ者が騒いでおけば360万人は死なずに済んだ”といったような台詞があったが、その大バカ者の役をこの映画も現実に担ったのだと考えたい。 加えて個人的にはプレートテクトニクスの考え方を初めて習ったのがこれであり、映画ではコンニャクのようなのがプルンという映像が印象に残っている。そういうお勉強の面でもためになった原作/映画だった。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-06-29 23:28:30) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 戦後最悪の自然災害となった東北関東大震災から10日がたった今、3.11以前も以後も変わらずに映画レビューを書ける自分の環境に感謝しつつ、亡くなられた方被災に遭われた方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。 今回の災害はまったく人ごとではないし、予想外ですむことではない。私は当然のことながら、若い時に見たこの映画を思い出さざるを得なかった。この映画は単なるパニック映画ではない。人間ドラマであると同時に、日本人いや世界の人に向けた警告のメッセージなのだ。 この映画の最大のポイントは、日本が全滅という危機に陥ったらどうするのか、あるいは陥る前にどうするだと思う。この映画制作時には「何もしない」という選択肢も大きな意味を持っていたが・・・。 ある政治家は今回の大災害を「天罰」と言ったが、そうではないと思う。日本がいや世界が、いかに自然を粗末にし、甘く見たかだろうと思う。 大地震が起きれば津波も起こる、心配なのは原子力、発電所はもちろんだが、世界に何万発とある原爆と実験場、それは大規模地震でも本当に大丈夫なのだろうか。 何かあっての予想外ではすまされない、阪神淡路の大震災、東北関東大震災、ぜひとも教訓にしたいものである。 そうだ、キリスト前の大昔にも「ノアの箱舟」という教訓があったのでは・・・。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-03-21 01:58:58) (良:1票) |
2.「100万がだめなら10万でもいい。10万がだめなら1万、1千、100人、いや10人だっていい!」(うろ覚え)丹波総理の演説に涙せよw 中野昭慶の特撮はだめだめかもしれないけれど、東映の「新幹線大爆破」とこれは、70年代の邦画を語るときには欠かせない逸品だと勝手に思っています。 【柿木坂 護】さん 7点(2003-10-02 02:38:48) (良:1票) |
1.観る前は小松左京氏の「日本沈没」を映画化したってことしか知らなかったんですが、観てビックリ。まずキャスティング。まさかね。藤岡弘が主演ですから。あの眉毛からして胡散臭い。しかも総理大臣は丹波哲郎ですから。「日本人がみんな死んでもあの世で会える」なんて言いそうで期待してしまいました。実際に観てみると、火山爆発や地震なんてシーンは、当時の技術を考えれば巧く撮られている方ではないでしょうか?この映画の一番良いところは、何と言っても“日本だけが沈没する”ってとこでしょう。最後にこの作品に出演したことで有名になったそうな竹内均教授。久々に観ましたが良い味出してました・・・・・? 【イマジン】さん 7点(2002-01-08 12:23:37) (笑:1票) |