4.戦国武将が人を殺しまくって成し遂げた革命は、それが異常であっても織田信長や徳川家康のことを大量殺人者だから嫌いだという人はあまりいないと思いますが、戦国武将たちも見方をかえれば、人の命の重さが分かっていないだとか、生命に関する感覚が麻痺していると言えるのです。しかし彼らが成し遂げた偉業のほうが大きいので「罪」はほとんど問題にされません。そういう事実を最初に問題提起したのは「罪と罰」のラスコーリニコフでしょうか。人類の利益のためになるならば人殺しも賞賛されるという犯罪哲学、1人殺せば殺人者、大勢殺せば悪魔か英雄になる。罪は公共の利益を生むならば帳消しにされるのか?善悪は時代の流れとともに変化するのか?「海と毒薬」は私たちがいつもは感じない「罪」を意識させて疑問を持たせてくれます。原作は「罪を感じずに生きている人間」と「罪を背負って生きている人間」を対比させて描いていたので分かりやすかった。 戦争中だから人は良心が麻痺して異常だったという見方が一般なのかもしれませんが、人はどんなときも罪を背負って生きているというメッセージもあるのではないでしょうか。この世に「罪」のない人間など誰1人いなく、罪に気がつかない人間と、罪を自覚している人間の2種類しかいないのだと思います。 【花守湖】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-05-13 23:13:00) |
3.軍人と医者、立場は違えども合法的に人を殺す事が可能な職業。毒薬には取扱い説明書があるが、人の倫理観・宗教観というものにはそんなものは無いが、自分の主治医の人となりや自分の国の首相の倫理観ぐらいは把握しておくべきでしょうか。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2004-03-16 23:48:13) |
2.カラーの時代の白黒作品を立て続けに見ている。この映画はなぜ白黒だったのか。戦中の話だったからか?内臓をチャチに見せないためか?熊井h作品はクリスチャン作家の作品が目に付くが彼はクリスチャンか?嫌いではない。 【如月CUBE】さん 7点(2003-05-10 03:19:28) |
1.このキャストに脱帽!勝呂役の奥田瑛二、その同僚渡辺謙に看護婦には岸田今日子に根岸季衣、大学教授には田村高廣に成田三樹夫!奥田瑛二と渡辺謙は逆の方がしっくりきていたと思いますが、遠藤周作の原作の雰囲気を損なわない力作でした。原作では二人称から一人称へころころと変わるんですがそれも尋問という舞台を借りて巧く表現されていました。全体的に不気味な感じが良く出ていましたが、やはり人物描写濃いので原作を知らない方には個々の心情がわかりづらいかも...戦時中米軍の捕虜を人体実験した話なんですが、毎日たくさんの人たちが死んでいく中無気力になった人々の心理がジンジン伝わってきました。 【さかQ】さん 7点(2001-12-08 19:52:38) |