5.実話に基づいたストーリーでありながら、エンターテイメントとして成立し、テーマを作品中でしっかり消化しきっている――となれば、高評価しないわけにはいかないでしょう。レンタル屋ではなかなか置いていないとは思いますが、ぜひ探してみることを強くお勧めいたします。もっと知名度の高い作品であってしかるべき渾身の一作です。 【K】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-12 14:45:54) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 ビルマという国の当時の状況を知ることが出来る社会派のドラマとして、かなりの見応えがありました。その一方で進行していく、一人の女性の再生の物語もとても良かったです。ラストでローラ(パトリシア・アークエット)がけが人の治療にあたったときは、不謹慎とは思いつつも、ある種の高揚感のようなものさえ感じます。 家族を理不尽な事件で失った辛さが、演出の問題でしょうか、導入部分ではそれほど心に伝わってきませんでした。だから、情勢が不安定な国で勝手に観光しようとするローラに多少イライラしちゃったんです。ですが、ストーリーが進むにつれ、ローラの辛さに共感し、ローラの勇気ある行動を心底応援するようになりました。 並のホラーやサスペンスよりよほど恐怖心や不安感を刺激される、サスペンスとしての出来もかなり秀逸です。 個人的には、傑作とまではいかないまでも、全てのひとにオススメできる良い作品だと思います。テーマはなんか重くて難しそうなのに、絶妙なバランスでかなり見やすい作品に仕上がっているのが素晴らしいです。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-03-18 04:08:09) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 実話を元にして書かれたミャンマーの現状。基本的には社会派だが、エンターテインメントとしても十分に楽しめるように出来上がっているのは素晴らしい。 ■主人公が政府に反対して英雄的行動をとるとかいう話ではなく、ただ単純に亡命するさまを追った話だが、こういう「何も抵抗できずただ翻弄される」人々の方が市民の圧倒的多数なのだし、実際もそういうものなんだろうなと思う。英語以外はあえて訳さないというやり方も、言語の分からない主人公に共感させる意味ではうまい手法。 ■ちなみに、アウン・コーは本人がこの役を演じている。実際に彼は弾圧経験を持っているのだとか。すごい。 【θ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-07-15 00:31:56) (良:1票) |
《改行表示》 2.ジョン・ブアマン監督作品。密林の中、川下りで生死を賭けた脱出を図るサバイバル描写はいかにもブアマンらしさを感じます。しかし、本作はそれ以外にも非常に意義のある作品ではないかと思いました。 軍事独裁政権化のビルマ(現ミャンマー)。現地の住民の喋る言葉には一切字幕を付けない。しかし、彼らの生死を賭けた話しぶりは何を語っているのかが読み取れるかのようであり、特に最後のタイとの国境の川を守る一人の兵士と生命の危機が迫るビルマ人の会話などはそうだった。 家を一歩出るだけで生命の危機となる動乱の街の描写は物足りなさがあるかもしれません。しかし、スーチーさん(本作の中にも登場します)が何と闘っておられるのか、それがいかに厳しい闘いであるのかは本作を見れば少し分かった気がします。 自国と自国民を守るべき存在であるはずの軍が平気で自国民に対し発砲し弾圧をする。これはこの国だけではなく、似たような状況下に置かれている国や地域は世界中の至る所にあるのでしょう。「天安門の惨状は世界中に報道されたが、この国は違う」と語るこの国の一市民の台詞が印象に残ると共に、これを世界に伝えようとした製作者の思いが感じられる作品でした。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-10-16 14:29:20) (良:1票) |
1.ビルマの惨劇と共に、民主化に闘う人々の暖かさを知ることができる意義深い作品。問題は、「軍事独裁政権」という肩書きにこだわり、米欧が関わり合いを持たないようにしていることだと思う。この映画は、「軍事独裁政権」の中にも、果敢に尊い命を賭けて戦っている、勇敢かつ知的で心温かい民衆が多くいることを知らせてくれる。つまりは米欧が、「軍事独裁政権」であるからこそ、関わり合いを持つ姿勢が必要で、そうすることが情報統制の下で戦っている民衆の希望であると思う。「軍事独裁政権だから、我々の仲間に入れてやらない」という米欧の姿勢は、結局ビルマの民衆にとっては殺戮と恐怖の持続でしかなく、絶望でしかない。この映画のビルマの民衆、アウン・サン・スーチーの姿勢にはほんとに感動した。こういった希望の光に、世界は気付いて助けてあげてくれと切に思った。 【ダブロン】さん 10点(2004-04-19 07:46:40) (良:1票) |