9.ただひたすら喧嘩を繰り返す。やったらやり返され、やり返されたらまたやることの繰り返し。いくら「岸和田」とはいえ、こんな中学生どもがおるかいっ! …と思う前に、その徹底した「反復」の“無意味さ”こそに井筒カントクは勝負を賭けたのだな、と思う。ナイナイ演じる主人公たちは、その際限のない喧嘩の「反復」の中で決して人生(!)を学んだり、人間的に成長(!!)したりしない。主人公の父親と祖父がいつも見ている、テレビの動物番組の野生動物みたく、果てなき闘争だけがどんどん“肥大化”していくだけだ(主人公たちを動物番組で暗喩する、心憎い語り口!)。しかし、一方で彼らは、この「反復」の外へ出なければならないことにも薄々と気づいている。だのに「出口」が見つけられないことの焦躁と無力感が、この一見ハチャメチャな土着(?)コメディに微妙な陰影を与えていることは間違いないだろう。…悪い冗談ではなく、この映画は何かとてつもなく「悲劇的なるもの」を漂わせていると、ぼくは本気で信じている。シジフォスの神話を思い出すまでもなく、果てしない堂々巡りを生きざるを得ないこと、無意味であることを承知しながらもその円環から抜けだせない“無間地獄”に陥ること、そういった「反復」こそが真に「悲劇的」でなくて何だろう。…たぶんカントク自身が「そんな屁理屈はいらんわいっ!」とおっしゃるだろうゲロ、ぼくはそれゆえに本作を“畏怖”し、愛するッパ! (←ゴメン、ぐるぐるさん。つい…) 【やましんの巻】さん 10点(2004-04-16 16:39:05) (良:4票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 こんな悪サやっとってもしゃーないぞぉ、そやろが・・というオトナたちと少年たち双方のやるせなさ、泣きたいほどによく出てます。あのダムは、もう止めんとアカンねん、という意味合いなのでしょうか。これでもかというギャグの応酬がとてもおもろかった中、微妙な間の取り方をしてる役者さんたちが気になりました。でも当然ながら花江師匠だけは別。(余談ながら、正司一族に嫁いで来た貴理子さんは流石やと思う。)彼女の店でのやりとりは他のシーンより抜きん出てます、完璧。矢部君は普段のツッコミよりうまいかもしれません(?)。スーパーでの彼の表情にも胸キュンせずにはおれないし、ラストには「もうしっかりするんやで」・・観てる泉州人はきっとオカンの気持ちになったことでしょう。レンタルビデオは酷くボロボロです、うれしいなぁ。’75年に見せる為の岸和田周辺ロケも◎。この時期に地元で中高時代を過ごされた放送関係者のかたがエンドロールに記されてましたので、その辺も尚有利だったのかもしれません。隣市住民、贔屓せずにはおれない一作。 【かーすけ】さん 9点(2004-06-10 16:43:09) (良:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 レビューしてから再見。 チュンバ、小鉄、サンダ、ガイラにみんなよう考えて生きろと説くウルトラマンが卒業式で不器用にみせる愚連隊への愛情。ウルトラマンに殴られながらチュンバの見せるさびしげな表情。しかし映画はそれに深く触れることもなく、ヤクザになったガイラの逮捕、その彼女を寝取って、些細なことから兄貴分をしばき九州へ逃げるサイ、永谷園の刺青を入れる小鉄、とケタタマシイ人生を全速力で走っていく愚連隊を見せていく。そうか、あのチュンバの表情は誰かワシらを止めてくれという彼らの心の叫びなのか。 【きつま】さん 8点(2004-04-25 21:26:21) (良:2票) |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 中身のない映画は苦手です。 中身がなくても、見ている間楽しめたり、爽快な気分になれたり、頭を使ったりする映画は大好きです。 この作品にはそのどれもありません。 言うなれば、雰囲気と会話の妙を楽しむ映画でしょうか。 報復→報復→報復→報復→報復・・・・ 何回繰り返すねんっていうくらい、延々と仕返しが続きます。 その報復のシーンだって、過激な割りにリアリティを追及するためか迫力には乏しくて、何か毎回消化不良のまま終わる感じなんですよね。 もちろん、絶妙な会話の面白さと、登場人物たちのなんか憎めないふんわりとした雰囲気によって、暴力描写が見事に緩和されて見やすくなっている点は評価できると思います。 ですがそれだけなんですよ。 最後まで見終わっても、それぞれが何かのゴールにたどりついたとか、成長したとか、そんなエピソードは最後までないわけです。 もちろん、それが青春だよって言ってしまえばそれまでですが、「なんのために2時間近くもこれ見てたんだろ」って気持ちになります。 雰囲気は良いし、会話も面白いし、映画全体に漂う閉塞感と疲労感も何かを訴えてくるし、悪くはないと思うのですが・・・・ ナイナイの岡村の大ファンの妻が、途中で見るのをやめた・・・ それがこの映画のすべてなのかなって思いました。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 4点(2013-05-19 19:07:33) (良:1票) |
5.面白かったです。それは文字通り、笑えるからでしょう。仮に同じストーリーをペシミスティックに描けばとことん陰惨な映画になったはず。両親の不仲とか家庭裁判所のシーンなどは平静に観られたものじゃなかったかも。でも、それが分かっているから、笑いのオブラートに包まれた展開でもパワーを感じるのだと思います。自身が置かれた様々な状況を振り切るように喧嘩に明け暮れる馬鹿どものバイタリティだけを描いた作品ですが、私は清々しさを覚えました。彼らの馬鹿騒ぎが終焉に近づいたときに感じた淋しさは、その馬鹿騒ぎも立派な青春だったことの証しでしょう。私も大阪の出身ですが岸和田の方面には降参です。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-12-01 20:11:51) (良:1票) |
4.ナイナイ好きです。岸和田の街自体には行った事は無いけど大阪と関西弁大好きです。井筒監督の「パッチギ!」には血湧き肉躍りました。でもこの映画での「眼には眼を」「やられたらやり返す」、ただそれ「だけ」に終始する構図は僕はちょっと苦手(←虚弱体質ゆえ)。その反復の無意味さがこの作品の良さだって解ってても苦手。ボケ台詞の的確な間合いとか、秋野暢子扮するオカンの存在感とか、部分部分については感心したけれど。テレビで見かける矢部っちが最近とみに老けたように見えるのは、髭剃り跡がやたら濃いせい?映画の中の大阪って商店街の路上でいきなり喧嘩が始まっても、周囲の人はみ~んなクールつうか無関心なんすね。なんでか不思議。もう日常茶飯事であまりに見慣れた光景だから? 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-05-31 15:31:20) (良:1票) |
3.井筒監督が学生時代に初めて撮ったフィルムの一部を以前深夜のバラエティ番組で観たことがあるのですが、映されたのはやっぱり学生の喧嘩。関西を舞台に中高生が暴れまくる、これが彼のルーツであり彼の本領なのです。『ガキ帝国』では後半のハードボイルドタッチが臭かったのですが、この作品は「喜劇」という基本線からけして逸れないので最初から最後まで実に楽しく鑑賞できる。なぜか必ず見ていた「野生の王国」、551の豚まん、息子の彼女に当たり前のように料理させる家族、会話のテンポ、お好み焼き屋、、細部が実に生々しく懐かしい。井筒監督が知り尽くしたいわば「庭」で素人俳優たちが輝きまくってる。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-02-28 12:00:21) (良:1票) |
《改行表示》 2.ストーリーじゃないんですよ、確実に。 大阪に一度も住んだことないし、ヒヤリング能力も高くない私にとっては、聞き取れない言葉、意味の分からない言葉のオンパレード。 ケンカが好きなわけじゃないし、第一、ナイナイが好きなわけじゃもちろん(?)ない。 そもそもストーリーをちゃんと追おうという気にもならないから、(この作品、3回くらい見てるんだけど)いつ見ても何が起こっているのか、よくわからない(^_^;)。 でも好きなんです。 なぜか、この空間が心地よいんです。不思議。 この映画を見ると、何か生きててもええやんか、という気分にさせられるんです。 どんなふうに生きたってだいじょうぶよ、という元気をもらえる感じ。 使い捨て文化のTVの中で必死に泳いでいたナイナイが、ここでは何か自然体にしゃべっていて、動いている。何かええやんか、と思ってしまうんです。 そうそう、三景さんのおっしゃる通りです。宮迫もええで~。何かがちゃうんですよ(説明不能です)。 あえてまとめるなら、リズムがいい。「ゲロッパ!」になかったものが、ここにはあるんです(ゴメンね、ぐるぐるさん)。 最初は7点と思っていたんだけど、やっぱり8点にしとこ! アタマ1つ、確実にぬけている!・・と思います・・。 【おばちゃん】さん 8点(2004-07-10 23:25:49) (良:1票) |
1.確かにTVでやる時何故か見てまうなあ(笑)テンポがすごいいいよね。退屈させない。矢部がほんとイイ感じ。サダもええ味だしとる。けど岸和田ってこんなめちゃくちゃちゃうで。 【MxX】さん 8点(2003-03-25 01:30:52) (笑:1票) |