《改行表示》 5.《ネタバレ》 それまでずっとリアリティだと思って見ていたので、ラストのバスシーンおよびシーモアのママ同伴セラピー通い及び、エンドロール後のシーモア大暴れシーンを見たのち、しばし考え込んでしまった。 もしかすると、バスシーン以外にも「現実に起こっていない出来事」が挿入されているという禁じ手が使われていたのか?まさかそんな、「ピアニスト」みたいなヘンな映画なのかコレは。 けども辻褄が合わなくなるのでいちおう、妄想シーンは含まれていないというふうに見るしかない。 しかし、完全にリアリティの映画というふうにもいえない。 バスに乗る前のイーニドの状態はというと、親元には住めず、おそらくレベッカとの同居もあきらめ、今さらシーモアとの同居も見込みは乏しく、高卒資格は帳消しで、美術学校の夢も消え職を探す気も失せた、ということになります。八方ふさがりとはまさにこのことです。全部自分が招いた結果であるが。 さて、このあとイーニドだったらどうするのか。レベッカに聞かれて「I'm not sure」つまりまだよくわかんない、というふうに答えています。 ここに及んで作り手は、彼女をビルの屋上とか線路脇に連れていかないで、ファンタジーに逃げたのです。このやり方については、賛否両論ありそうだ。ミステリアス感が増したとはいえるが、私は、ビルの屋上に佇むイーニドのショットで終わるべきだったと思っている。飛び降りたかどうかは観客にまかせればいい。 さて、イーニドの苦しみはハイティーン特有のものには違いないが、「母の不在」を抜きにしては語れない。女子にとって「母」=「縁を切れない反面教師」であり、しかも相手は自分を愛しているというやっかいなことなので、これすなわち「折り合うしかない」存在なのだ。大人になるために最も必要な「折り合う」を学ぶための最適教材=母、なのだが、それができない環境にあるイーニドは「バカとは折り合う必要なし」を貫いているつもりになっている。と私は思うのだ。 ボロボロになったシーモアがママに助けられていることも実は意味深で、作品中であえて全く触れられていないイーニドの「母の不在」こそが、大きなマターであるように思える。 「ゴーストワールド」の意味とは「私たちは地球に優しい石油会社です」という作中CMが象徴するように、周囲の人間がすべて「偽善者」に見えているイーニドの精神状態を指していると思う。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-04-11 23:40:58) (良:3票) |
4.これは痛いです。たぶん10代とか20代前半ぐらいの時に観ていたら、あまりに痛くて布団でジタバタしていたことでしょう。30代でよかった(笑)。周りをバカばかりと蔑んで、自分が特別と思い込んでみたり、自分がどこに行きたいのか判らずイタイラしたり。主に思春期に経験するどうしようもない複雑な感情を味わったことのある人なら主人公に共感はできなくても理解はできると思います。結構コメディの要素もあるので笑えるのですが、意図しなくても周りの人を傷つけてしまう主人公の姿は、ちょっと切なくもあります。暗示めいたシーンもラスト付近にあり、思いのほか深い作品なのかもしれません。この作品、悪くないです。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-04-18 00:30:59) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 最後の最後まで、8点だった。でも、最後の5分で7点になっちゃった。個人的にブジェーミを振って欲しくなかった。こんな魅力的なブジェーミをはじめて見た。いつも悪者か、すぐ死んじゃったり、馬鹿にされてたり、ちょい役だったり。ブジェーミは会社首になったの??彼女もイーニドのせいでふっちゃったんだよね。あー、可哀想過ぎる。-------でも、イーニドのキモチもよーくわかったよ。わかるよ。でも、友達にいたら、「あんた甘えすぎ!文句ばっかりいって何もやってないじゃない!」って叱っちゃうかも。あ、これは、まさに友達のレベッカの行動だ。 【kithy】さん 7点(2004-01-22 19:22:50) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 スティーブ・ブシェーミと言えばかなりの個性派俳優ですよね?もちろん演じる役柄によるとは思いますが、この作品では個性派という点では明らかにゾーラ・バーチの方が上手でしたね。ストーリーは誰もが悩む時期が取り上げられており、ゾーラ・バーチが一般社会の流れに飲み込まれることを恐れ自分の個性を必死に表現しようとするがそれが空回りしてしまうという悲しい感じでした・・・。最後のシーンでバスへ乗り込んで『ゴースト・ワールド』に向かった彼女のその後はどうなるんでしょうか?現実逃避とも私には感じられたのですが、できれば最後にバスに乗ると見せかけてバスが過ぎ去った後のベンチに彼女が座っていて欲しかったと思う。 【MINI1000】さん 7点(2003-12-14 14:27:57) (良:1票) |
1.情熱的だとか、一生懸命がカッコ悪く思える10代の思春期。この微妙な感覚はスゴイです。しかも当の本人たちはダサカッコいい。特にイーニドのファッションセンスは微妙。親友が大人に近づきつつあるのに自分は恋も仕事も家族との関係も何一つ進めない。そういった焦りが次第にあらわになってくる展開は他人ごとに思えず、懐かしくそして切なく思えました。変わった人を見つけては尾行して勝手に想像を膨らませる。可笑しくて切ない映画でした。ソーラ・バーチはホント最近では珍しい女優ですよね。「ダサかっこいい」が似合ってます。スカーレット・ヨハンソンも顔に似合わず成熟した低い声で魅了してくれました。しかし気になるのはジョシュ役のブラッド・レンフロ。彼ってあの「ゴールデン・ボーイ」とかのレンフロ??どう考えても同一人物には見えなかたんですが、同姓同名? 【さかQ】さん 7点(2002-10-29 03:09:39) (良:1票) |