4.ノスタルジアにつきまとう記憶の美化によって隠蔽された事実を暴き、真剣に過去と向き合おうとしても、過去が記憶という曖昧なものによってしか現れてこない以上、過去を否定することは、記憶によって形成された自己を否定することになってしまうのではないか。そんなことを考えさせられた。独特の色使いが良い。『書を捨てよ町に出よう』のときよりずっと洗練された感じがする。 【クルシマ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-08-18 10:52:12) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 『昭和58年の仏様を降ろして下さーい!』 寺山修司の超皮肉を込めた故郷がこの映画には映し出されているのではないでしょうか?明らかに村には妖怪が住んでいるし、新高恵子は赤ん坊を間引きするし、やってきた修学旅行生は全て老人だし。そんな環境の中、少年はとうとう家出を試みるがその願いは果たされずに映画は終わる。ちなみに「家出のすすめ」「書を捨てよ町へ出よう」などで青年層へ「親不孝」を散々勧めた寺山本人は九条映子と離婚し、母一人子一人の生活をもう一度してこの世を去っている。きっとこの映画はそんな矛盾した寺山の気持ちそのままだ(憎むほど愛していたという母親への気持ち)。だが母親より早くこの世を去った寺山は最後の最後に親不孝を果たしたといえるのではないでしょうか? |
2.”現在の私”が出てくるまでは正直、またかよと言った感がありつまらなかったが、”現在の私”が出てくる段階で私のような観客の考えを見透かしアッサリと超えていかれた。見切っていたつもりがスッカリ見切られていた。そこからはどこまで付いて来られるかを試されるようで参りました。ウソで彩られた”想い出の私”を捨て去り、真実の”過去の私”と向き合い、新たな私を見つけようと模索する。「家に時計は一つで良い」と過去を柱時計で縛る母、犯され男となり腕時計を付けた私は自らの時間を歩むが、どこへ行こうが母と本籍恐山は付きまとい、離れられない存在である。東北のフェリーニといった感じのする傑作。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2004-03-02 16:21:05) |
1.映画に明確な意味を求める人は絶対に観ない方が良いです。意味が無いからじゃありません、観ても絶対に理解できないからです。私もはっきりした意味はよくわかりません、でもあの強烈な映像だけで十分な価値はあります。 【ナオキ】さん 9点(2002-12-10 00:15:19) |