4.ぐうたらな主人公が生きてこれたのも、ぐうたらであるが故。破産したお陰で命拾いし、主義主張が無い所為で命拾いし、良い仕事を求めなかったので命拾いする。逆に借金の形で家を得た者は死に、共産主義に傾倒した者は自己批判させられ、党で出世した者は破滅する。これは勤勉を是とする共産革命に対する最大の皮肉。そして主人公夫婦から子供を奪うのも共産革命。大躍進政策が無ければ息子は死なず、文化大革命が無ければ娘も死ななかった。町並みはその間一切変わらず、変わるのは壁に貼られるポスターだけ。共産革命と共産政権は市井に生きる人々に何ももたらさず、ただ奪うのみ。それでも主人公は最後に言う、「これからもっと良くなるさ」と。その通り。そう思うことが「活きる」秘訣なのです、8点献上。 【sayzin】さん 8点(2004-07-29 11:15:35) (良:3票) |
《改行表示》 3.観ている間中ずっと自分が考えていた事、「生きる」と「活きる」の違いって一体何だろう・・・?字をくっつければ「生活」になる。中国語ではもしかしたらこの二つ、たいして意味は違わないのかしれないが、日本語だと微妙に異なるような気がする。「活きる」は日々の生活を精一杯過ごす事、「生きる」は人生のゴール「死」に向かって歩んでいく、もっと広範囲な意味として自分は解釈した。この映画に出てくる登場人物は、誰もが「生」も「活」も「喜び」も「悲しみ」も全て思う存分享受する、ひたむきな人ばかり。彼らがまっとうな人間だとしたら、今の私など毎日毎日、ただ『息をしてるだけ』のケチな存在でしかないのが歯がゆい!!ホンマ情けない!!!映画の内容には殆ど触れられなくて申し訳ないけれど、これが自分のこの作品を観て思ったこと。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-17 11:06:52) (良:2票) |
2.コンリーと高峰秀子って似てませんかね?中国版「喜びも悲しみも幾歳月」といった感じがしました。激動の時代にどんな事があろうとも活きてさえいればどうにかなる、時代に翻弄されながら強く逞しく生き続ける母、母は強し。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-02 11:23:04) (良:2票) |
1.《ネタバレ》 「活きる」というまずはこの邦題を付けた人に私は素晴らしい。感謝の気持ちでいっぱいになる。どんな厳しくて、貧しい中にも人間として生まれてきた以上、精一杯生きる。生きること、それがすなわち「活きる」ことにも繋がる。この映画で描かれている人間の生活、苦難にも立ち向かわんとばかりに一生懸命な人々、博打でボロボロになりつつある駄目な夫を支える妻、コン・リーの厳しさと優しさとの両方がきちんと描かれている。それも偏に主演の二人の演技力があればこそ観ていて伝わるものがある。娘の結婚を祝う場面での二人のあの優しそうな笑顔、表情、そして、そんな二人の表情につられるように周りの人間も同じく表情が和らいでいて何だかとても優しいこれこそ人間の温かさ、チャン・イーモウ監督の心の温かさを見せてもらっているようです。それにしても駄目な夫を演じているグォ・ヨウがどんどんと素晴らしい父親へと変わって行く様子を見事に演じ、更にはそんな夫を支えるコン・リーの演技は凄い。やはりこの人、今、アジアでナンバーワンの女優さんだ!コン・リーの凄さ、素晴らしさについて少し語らせて貰いたい。どんな役でも見事に演じきる。そして、何よりもオーバーな演技、自分を良く見せようとか、私は女優なんだよ!どうよ?美しいでしょ?みたいな所を全く見せつけない。抑えた演技、それは日本で言うならば高峰秀子という女優に当てはまる。表情にしても滅多には変えずに、ここぞという時のみ、表情を変えて演技する。中国版、高峰秀子です。なんだかんだと色々書いてみたが、これは正しくタイトル通り「活きる」映画!コン・リーの逞しさ、強き母こそ人間のそして、世界共通の母のあるべき姿ではないでしょうか! 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-04-05 11:51:05) (良:1票) |