《改行表示》 5.哀しくも一方的に燃え上がるそれぞれの愛、もがきながらも報われない姿ははかなくて切なくて美しい。 三つのストーリーが微妙に時間軸をずらしながらも、巧妙に入り組みながら、一つの事故を中心に人生の変化を「犬」をキーワードにして描いている。 「犬」は飼い主と一心同体でありながら、生きる喜びという風にエルチーボは説明をしていたが、それ以上のものを感じた。 闘犬の賞金で兄嫁との未来を夢見るオクタビオにとっては、明日を生きるための希望であり、穴に落ちた犬はまるでダニエルとバレリアの二人の愛が暗い闇に消えうせたかのようだ、犬こそ二人の愛の象徴であり、ダニエルが床を破壊しながらも救うシーンは失いかけている愛を再び見つけようとしているようで胸を痛めた。 エルチーボにとってはまさに自分自身であったように感じた、傷つきながらも結局、一人と一匹は殺すことしか出来ない。 飼い犬を殺された怒りに銃を向けたとしても、自分自身を殺すことは出来ないだろう。 しかし自分自身の分身と出会うことにより自分と向き合うことが出来たと思われる。 人は何かを失いながらもそれを乗り越えながら生き続けなければいけない、人生は続いていく…深い映画だった。 【六本木ソルジャー】さん 9点(2004-06-04 23:34:22) (良:2票) |
4.奪い、奪われた者がさらに誰かから何かを奪う。そんな負の連鎖が描かれていると思いました。ほとんどのほとんどの登場人物が独りよがりの愛のために誰かを傷つけ、自らも大切なものを失う。殺しあう闘犬のように、自分がすることに何の疑いを持たない。事を起こした動機は愛情だったはずなのに、そのくせ他人を傷つけることに何の疑いも持たない。ぞっとする話です。最後の最後に初めて、無償の愛情を与えるエピソードになるかと思ったら、「愛してる」という言葉は届かない。一見確かにそこにあるように見えた愛が、結局は空虚なものしか残さない。彼らの人生は交錯しても、心が交錯していない。 それでいてラストシーンに希望があるのには驚きました。シビアな目を持ちながら、けっして希望は捨てない。こういう姿勢は大好きです。 【no one】さん 7点(2005-01-12 15:31:48) (良:1票) |
3.エネルギッシュで、無鉄砲で、痛々しくも愛おしい一話目。年齢的に、立場的に、一番共感してしまった二話目。淋しさが心に滲みる三話目。街で出会う全ての人の背中に、悲しみと愛が詰まっているという当たり前の事を思い出させられる。観客は、犬たちの様に一歩引いて、人間たちの愚かしさを眺める。そのテーマを、面白く感動的に練り上げたストーリーが見事。言葉の羅列ではなく、場面と表情で見せる撮り方もこの映画にしっくりはまっていた。犬を飼う者のひとりとして、犬と人間の関係の描き方にも、とても好感が持てた。残酷なシーンも多いけれど、愛情以上の尊重を感じる。これは相当見事な映画だと思う。年齢の節目ごとに見たい映画。(オクタビオの兄ちゃん、三都主に激似) 【ともとも】さん 10点(2004-04-12 00:47:43) (良:1票) |
2.とりあえず家で飼っているレトリバーを、思い切り抱きしめてやった。 【紅蓮天国】さん 8点(2003-10-12 23:35:53) (笑:1票) |
1.タランティーノよりいいかも?ちゃんと?人間も描いてるし。血生臭い悲哀に満ちた3つの愛。殺し屋の「愛してる」という言葉だけが留守電に入らない・・・全てはここに集約されている。 【クロマス】さん 8点(2003-01-26 14:17:48) (良:1票) |