《改行表示》 5.《ネタバレ》 スタンリー・クレイマーの手法は光っており二人の画面での位置関係から感情や立場を映し出す手法、過剰な演出を避けメッセージ性に重きを置く部分などは非常に評価できる。途中の村、母子の家などを閉鎖的に描いたのも皮肉めいてて面白い。 追いかけるジャクソン、一緒に転げ落ちるカレン。手錠が外れても離れない二人、ラストは逃げる意味もなくなる。ジャクソンを抱き抱え歌うカレン、二人は手錠があった時よりもより“近い”ものとなる。今見るとプロットは確かに常套かもしれないが、今なお根強い問題を抱えている人種問題を50年代にやってのけたというのは意義深い。南部が舞台の作品ではなかなかの秀作である。 【きいろのくじら】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-12-12 02:38:45) (良:2票) |
4.男には、時として 女よりも友情を取ることだってあるんだぜ。 【ケンジ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-02-23 20:20:49) (良:1票)(笑:1票) |
3.58年と言う公開当時の黒人差別の社会状況は現在とはまるで違う。法的にもはっきりとした差別があった時代背景を思えば、黒人と白人がつながれて逃走するうちに友情が芽生えるという話は斬新なものだったと思う。しかも黒人が白人と対等に主人公の一人を演じるというのは、社会派と言われる監督の問題提起でもあったのだろう。手錠でつながれたまま不自由な逃走をする緊張感、二人の心理的変化などをモノクロのロケーションで見せるが、主演の二人の好演もあってラストのやるせない幕切れまで緊張感が持続する。 【キリコ】さん 8点(2003-12-06 20:45:09) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 男と男による脱走ものと言えばそうなのだが、この映画の一番のポイントは同じ国の者でありながら白人と黒人という所にある。方や黒人だけの土地では白人は別の人間と差別され、もう片方は白人ばかりの土地では同じように別の人間だと差別を受けるというアメリカ社会における今も消えない人種差別という問題を取り扱っているところにある。そして、そんな二人が手錠をかけられたまま自由を求めて脱走を図る。ところがそう簡単には物事は進まない。最初に逃げた土地では大勢の白人の前で捕まる二人、白人であるジャクソン(トニー・カーティス)のお陰で黒人であるカレン(シドニー・ポワチエ)も逃がして貰うものの、今度は一人の少年に出会い、そこで見た者は少年の母親である白人女性による偏見、差別、カレンを騙し、ジャクソンだけを助けようとするというこれぞ同じ白人に対する考えと黒人とでは違うというアメリカが抱える人種差別の世界である。そんな状況の中、出逢ったばかりの白人女性よりもそれまで散々喧嘩してきたカレンを取る。男の友情を取るジャクソンとそれに応えて見せたカレン、手錠は外れていても手錠は今も繋がっているんだとばかりに負傷して動けないジャクソンの手を取って一緒に逃げるカレン、列車に乗ることに失敗した後、自ら煙草に火を付けてジャクソンの口にくわえさせてあげるという男気、この瞬間、二人は完全に白人と黒人という人種を超えて一緒になれた瞬間であると思うことが出来たのと、最初につまらなそうに歌を口ずさんでいたカレンとラストの同じように歌を口ずさんでいるカレンとではまるで別人である。最後のカレンの歌声とその時のあの清々しい表情で終わるというのも気持ちが良い。あそこで終わっているからこそ良いのである。あの後もダラダラと描いていたらここまでの余韻、作品にはなっていないと思います。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-09-07 21:18:12) (良:1票) |
《改行表示》 1.黒人と白人の脱走囚がひとつの手錠でつながっている。心ならずもお互いに協力し合わなければならない状況のなかで、人種差別の空しさが浮き彫りになる。森の中で蛙を捕まえ火で炙り、二人で貪るように食べるシーンがそれを象徴している。生きるのに白人も黒人も関係ない。 黒人は陽気に歌を唄い、白人は陰気に空を見上げる。 はじめは耳障りにしか聞こえなかった歌が、ラストでは名曲に変わっている。 【michell】さん 8点(2004-06-15 23:43:42) (良:1票) |