4.《ネタバレ》 主人公が見たかったのは“人類の行き着く先“。そこにあるのは純粋な探究心。そして争いを繰りかえす現代人に対する”あきらめ“でした。未来には希望がある。技術の進歩、社会の成熟が世界を平和にすると。だから彼は未来を目指します。しかし80万年後の世界、人類の行き着いた先は、彼の期待したものではありませんでした。モーロックとイーロイたち未来人の世界。見た目は違っても元は同じ人間。人間が人間を支配する。人間が人間を一方的に食う世界は、まさしく地獄です。現代人よりもはるかに性質が悪い。感情を捨て、自らの存在意義を捨てたイーロイ。野獣と化したモーロック。人類は”進化“ではなく”退化“した。未来人は人間であることを棄てたのです。未来人を再び”人間“に戻すために、主人公は80万年後の世界に戻ります。3冊の本を手にして。本は主人公の言葉を借りれば”何千年もの努力の結晶“。人類の営みの記録です。知識を後世に伝える”タイムマシン“とも言えます。人の一生は短い。1人の人間が経験できることはほんの僅かです。しかし本を介せば、莫大な量の経験や知識を得ることが出来ます。それが人間の知恵。知恵を放棄した未来人が人間でなくなるのは当然です。知恵はより良く生きるためのもの。それさえ捨てなければ、きっと人間は理想の世界を築ける、そんなメッセージが本作には込められているのだと思います。 【目隠シスト】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-12-05 18:03:29) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 まず近年のリメイク版よりは原作に忠実なのが嬉しいです。科学的脳で未来への介入を危惧したりせず人間的良心の信じるままに行動するジョージは冒険者として親しみ易いですし、同じ所に長々飾る訳ないなんていう野暮なツッコミはやめにしてマネキンの服装で時代確認なんてとっても洒落ていてセンスを感じます。それに友人との再会と思わせてその息子と会うシーンなどはけっこう胸に迫るものがあります。CG技術が進み本物と偽物の区別すらつけられなくなった現在からすれば、どう見ても完全にミニチュアな街並みの崩壊や着ぐるみ感満点のモーロックは愛(哀?)らしいですが、アカデミー賞特殊効果何ちゃらを受賞しているんですから当時としてはそれなりのものだったのではないでしょうか。この作り物っぽさ、私は好きですよ。それにやっぱりH・G・ウェルズの原作が素晴らしい。SFの原点はここにありき! 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-07-17 15:55:35) (良:1票) |
2.初見は随分前になる子供の頃なんですが、あの手作り感に満ちたタイム・マシンのデザインにはもうゾクゾクものでした。思い出しては色鉛筆でノートに丁寧に描いたものです。個人的には「海底二万哩」のノーチラス号と甲乙つけがたい程の、アナログ感溢れる魅力的なデザイン。コクピットから窓を通して見える時空が過ぎ去る様子や、マネキンの衣装が目まぐるしく変わるシーンが印象的で、作り手のセンスの良さを十分に感じさせてくれる。さらに切ない友情を絡めると共に、核の驚異という確かな文明批判をも見てとれる内容。特撮うんぬんより、SF的な着想とテーマ性は何ら古ぼけておらず、想像力を掻き立ててくれるSF映画の名作です。 【光りやまねこ】さん 9点(2004-03-08 17:26:14) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 消せないビデオの一本。面白さというよりも切なさを感じさせるところが好きだな。友人の息子を本人と勘違いして詰め寄るシーンなどは見どころ。あまり遠い未来へ行ってしまうより、近未来へ行った時の方が面白い。当時の特撮を駆使して、原作を忠実に表現しようとする制作者の熱意のようなものが伝わってくる。リメイク版は未見だが、多くの秀作SF同様、元祖は超えられないのではないかと勝手に推察している。 【すぎさ】さん 8点(2003-08-18 22:23:07) (良:1票) |