《改行表示》 5.《ネタバレ》 ニコルソン演じる小説家メルビンは売れっ子で、いつも甘ったるい恋愛小説を書いている。 彼は女がどんな言葉で喜ぶのかよくわかっているし、それを生業にしているはずなのだが、 異常な潔癖症のせいだろうか、飾った台詞を口にすることができない。 言葉で相手を喜ばせるのは、なにより簡単なこと。使いこなせば代価なしに報酬を得ることも できてしまう。舌先三寸とはよく言ったものだ。メルビンにとってそれはビジネスの枠内に限られた ことであり、私生活の中には一切持ち込みたくない類のものなのだ。 そんなメルビンにキャロルは「お世辞のひとつも言ってみせて」とせまった。苦悩するメルビンが 吐き出した言葉は、キャロルを褒める言葉ではなかった。メルビンの言葉は ともすれば聞き流されてしまうほど何気ないけれど、それはその場だけで消えてしまう幻ではなく、 彼の行動を伴うリアルな言葉だった。 「時間をかけて見ていると、その人の人間性がみえてくるんだ」隣人でゲイの画家サイモンが モデルにかけた言葉だけど、この映画が私に伝えたのは、そういうことでした。 背中にファスナーが付いてるんじゃないかと思える小犬の演技は、主演の二人を凌駕しました。 【337】さん 8点(2004-01-26 20:43:26) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 冒頭から作家の嫌味な偏屈ぶりがすごくて、いざこざを起こす隣人でなくとも腹が立ってくる。 ということは、キャラが個性的にうまく描かれているということだろう。 精神分析医に掛かっている主人公は、神経症的な症状で不自由な自分をもてあましている。 言わずもがなのことを言ってしまう不器用な男。 憎まれ口と空気の読めなさで人の神経を逆なでして怒らせてばかり。 キャロルといい雰囲気になっても、また場違いな発言をしないかとハラハラしてしまう。 こんなウザい変人はとんでもないと思っていたのに、いつしか肩入れしてしまう。 美男美女とはかけ離れた誰も羨みそうになかった二人が、最後は素敵なカップルに見えてくる。 この二人でラブストーリーが成立してしまうとは。 もうそれだけで不思議なマジックにかかった気分。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-01 22:38:47) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 偏屈で人間嫌いの男が次第に優しさや素直さを取り戻していくまでを演じるジャック・ニコルソンの名演技を堪能しました。 冒頭からこの男の偏屈さをたっぷりと見せる。隣人に悪態をつき、人との触れ合いを避ける事の象徴のような外食でのマイフォーク・マイナイフに人混みの中「私に触るな!」・・・。しかし様々な事情を抱えた人と触れ合うことで、本来誰の心の中にもある素直な部分や優しさを取り戻していく。人間の優しさを感じさせてくれるいい映画でした。 人生の上手くいっていない一時期を生きる隣人の画家、ニコルソンが密かに思いを寄せるキャロル、更に冒頭から最後まで隣人の飼っている犬までも見事に登場人物?として機能しています。この3人が互いに影響しあい、男同士の友情や男と女の愛が芽生えるまでを見事に描いた、ブルックス監督らしい落ち着いた味わいのあるコメディです。 2時間越えの長い作品ですが、後半のロードムービーへの展開も作品に動きがついて良かった。本作でニコルソンとアカデミー賞をダブル受賞することになるヘレン・ハントもまた良かった。この人の20代の頃の作品も見ていますが、30代、そして今40代と女優としての魅力が次第に増しているように思います。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-19 19:40:02) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 主演のふたりはもちろん、サイモン、サイモンの恋人、ヘレンの母&息子に至るまで、登場人物全員に好感が持てる映画。そして何と言ってもあのわんちゃん、あの子は何者…!?わんちゃんは、ニコルソンの性格が変わり始めるキッカケのような存在なのでとても大事だと思うのですよ。そりゃ~あんな目で見つめられたらニコルソンだってメロメロですよ!ただこの映画、ちょっと長すぎるような気がします。途中ダレました。ニコルソン、不器用にも程がある。好きなのに憎まれ口をたたいてしまう、そもそも恋をしているという自分の気持ちにも気付かない、そういうのが純で可愛いなあって思える年齢とは程遠いわけで、あんまりしつこく長引かれるともどかしさを通り越してちょっとキモく感じてしまいます。しかし、我慢も限界、ちょうど早送りボタンを押したくなるポイントですばらしい愛のセリフが!You make me wanna be…とラストの I might be the only person on the face of the earth that…の長ゼリフ。これを聞くと「待った甲斐があった…」と思えます。とくにヘレンの息子スペンサーの名が出たところでは思わず涙が。ヘレンとしてはきっと一番認めて受け入れてもらいたい部分だったはず。いろいろとツッコミどころもあるけれど、セリフで選ぶなら最高のラブコメです。 【ROMY】さん 8点(2004-07-06 00:44:32) (良:1票) |
1.とてもスマートな映画だなという印象を受けました。脚本は突飛な展開は無いものの退屈にはならず、カメラワークは特に凝ってはいないものの目が疲れないような撮り方。要らない物を足さず、また必要な物は決して引かないというスタンスを感じます。表情豊かなジャック・ニコルソンの演技は見ていて飽きないし、また役柄にピッタリとはまっています。コメディ映画になりすぎないように笑いのポイントは程よい量だし、かといって少女漫画のようなレトルト的恋愛話ではなく、大人な感覚と不器用でぎこちない子供のような感覚が混ざっていて、全体のバランスが上手い。というかバランスが綺麗です。 【VNTS】さん 8点(2004-02-25 20:55:18) (良:1票) |