4.《ネタバレ》 映画作品だけれど能の世界のようでもあり、独特の雰囲気は原典シェイクスピアの舞台劇と通底するものがあるのかな。いつもより大きな芝居の三船敏郎に、それこそ面を被っているような山田五十鈴。 心の奥底にあるモノを「言葉」にして表されると、人は絡めとられてしまうものなのですね。“物の怪”の予言にすっかり支配された鷲津と三木。正常な思考を持っていたのは三木の息子のみ。曰く「自分から進んで予言通りに事を行い、予言が当たったと思っている」。しかし息子の金言も親父には届かず、馬一頭逃げ帰ってきたことで三木親子の凶事が判るシーンは簡潔ながらも「ああやはり?」とぞくっとしました。 確かに無くはなかった権力への野望。それを唆す化け物は、森で出会わずとも身近なところに妻という形でいたのです。鷲津はツイてなかった。 初めこそ凛々しい武者顔だった三船が憑かれたように形相を変えてゆく姿が酷く、印象的です。 本家シェイクスピアの舞台劇は観ていないけど黒澤の蜘蛛巣城は観た、ということで単位をもらえそうな気がしますよね。見事な黒澤版マクベスでした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-23 23:19:40) (良:2票) |
3.セットや映像は素晴らしいが、所々テンポが悪い。音声の状態が悪いので字幕は必須。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-06-19 15:55:20) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 シェイクスピア劇と言っても、要は因果応報の話であって、登場人物の誰にも感情移入できないのが痛い。霧の中から城が現れる幻想的なオープニング、動く森、降り注ぐ矢など、画的には凝っていて印象に残る。が、黒澤時代劇では、『用心棒』や『七人の侍』のような娯楽作の方が個人的には合っている。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-23 11:45:14) (良:2票) |
1.絢爛豪華な衣装、物怪や能面を模した奥方の表情・・・本当に美しくて怖い映画。黒澤明の演出家としての力量再認識した。特に冒頭「蜘蛛巣城跡」と書かれた棒っ切れに霞がかかって、その霞が、ざあっと晴れて巨大な蜘蛛巣城が現れる、あの瞬間は鳥肌が立った。そしてラストシーン。分かっていても、三船の恐怖の表情を見ると「おおっ!ミフネ様が!マジでミフネ様が死んでしまう!!」とドキドキした。どっちにしろもう死んでますが。「七人の侍」の「雨の決戦」に勝るとも劣らない名シーンでしょう。 【C-14219】さん 7点(2003-11-19 21:12:41) (笑:1票) |