11.《ネタバレ》 スピルバーグにしては珍しく他監督の映画からの引用が多い。とくにトム・クルーズが目玉の取り換え手術をするあたりからで、手術で瞼を固定するのは『時計じかけのオレンジ』、部屋の壁スクリーンに映っているのはサミュエル・フラーの『東京暗黒街 竹の家』(渋すぎ!)、傘をさしてサマンサ・モートンと逃げるカットはヒッチコックの『海外特派員』、そしてヘンなクスリを注射して不細工に変装しますが、その顔は『バニラ・スカイ』の事故で醜くなったトムの顔とそっくりじゃないですか。そうか、それで『バニラ・スカイ』のクロウとディアスの両キャメロンがチョイ役で出演しているわけが判りました(笑)。 捜査局内のPCシステムは、まるで現在のスマートフォンを予言しているみたい、そして未来の縦横に動く自動車のスピード感あふれる映像は、さすがスピルバーグと言わせていただきます。ところがそれ以外の街並みや地下鉄そしてファッションなどは現代とほとんど同じというのはどうなんだろう。手抜きだと言う人もいるでしょうが、これはスピルバーグの未来観だと思います。40年後もきっとワシントンDCでは騎馬警官がパトロールしているだろうし、人間社会には変わらないことが多々あると言う見方は正しいのじゃないでしょうか。 「疎遠な父子関係」というのがスピルバーグ映画の特徴だと言われてきましたが、「子供の不在」に苦しむ父親という今までとは違った視点を持っているのが新しいところです。家族関係に対するどちらかというとシニカルな彼の視線も、21世紀に入ってだんだん変化してきたのも事実でしょう。トム・クルーズの最初と最後のカットがいずれも妊婦と会話していると言うところも、なんだか意味深でした。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-08-14 00:27:26) (良:3票) |
10.《ネタバレ》 さながらオーケストラの指揮者のように、空中に浮かんだ情報の数々を整理する主人公の姿が印象的。
他にも「エレベーター式で上下にビルを移動する車」「次々に新しいニュース映像が表示される為、紙一枚分の薄さで事足りる新聞」など、近未来的なギミックが次々に飛び出すもんだから、それらを眺めているだけでも退屈しないし、面白かったですね。 裏路地のトンネルや、シリアルの箱にまで忙しなく映像が表示されるという「情報過多社会」を描いており、ディストピア的な雰囲気を醸し出す一方で「風船売り」の存在だけは今と変わらぬ等身大のまま描いてるってバランスなのも、実に興味深い。 この辺りは、たとえ世相がどれほど変質しようとも「夢を売る商売」だけは変わらずにいて欲しいという、作り手側の願いが込められているんじゃないかな、って思えました。
独特の粗い画面処理も魅力的だし、それらの「視覚的な面白さ」は満点に近いものがあったのですが…… ストーリーの方はといえば(何で?)と思える部分が多かったりして、残念でしたね。
まず、主人公の息子ショーンを誘拐した犯人が最後まで分からず仕舞いって事には、ひたすら唖然呆然。 こう言ってはなんですが、全体的にかなり無理のある展開を重ねている訳なんだし、ここも適当に「知り合いの誰かが犯人だった」って事にして、決着を付けても良かったんじゃないかって思えました。 あるいは、単なる事故死だったのをラマー局長が誘拐殺人に偽装して、主人公のジョンを「殺人の被害者代表」「犯罪予防局の象徴」として担ぎ上げたとか、何でも良いので、観客に「答え」を提示して欲しかったですね。
ジョンの眼球が便利アイテム過ぎて「とにかくID認証システムさえ突破すれば、セキュリティを無効化して自由に侵入出来る」って形になっているのも、流石に不自然。 「システムに頼り切って警戒を怠っている人間」の迂闊さを描いているのかも知れませんが、作中で二度も同じ手を使っているとなると(いや、ジョンは指名手配されてるし、その後に捕まってるんだから出入り禁止にしておけよ)とツッコんじゃいます。 ラストにて、主人公と妻が復縁するハッピーエンドになるのは歓迎なんだけど、さながら失った息子の代価のように「妻が妊娠した」というオチを付け足しているのも、ちょっと即物的過ぎて、興醒めしちゃいました。
勿論(ここは上手い脚本だな……)と感じる部分もあって「どれだけ息を止めていられるか」「片目でも見える奴がキング」などの台詞が伏線になっている辺りは、素直に感心させられましたね。 「殺人は予知されるもの」という先入観ゆえに、銃を突きつけられても平然としていた男が、警報を耳にした途端に怯えを示す展開なんかも、この設定ならではの妙味があって、面白い。
元部下に追われる展開になるんだけど、その際に「二分待ってから警報を鳴らすよ」「お願い、チーフ。抵抗しないで」などの台詞を挟み、主人公に信望があった事を示している辺りなんかも、妙に好きです。 それによって主人公が「良い奴」なんだって事が伝わってくるし(部下達が同情的だからこそ、追撃を何度も振り切る事が出来たんだ)って思えて説得力があるしで、二重の意味で効果的だったんじゃないかと。 それと、予知通りにリオ・クロウを殺すのかと思われた中で、ギリギリで踏み止まり「君には黙秘権がある」と。怒りと悲しみを押し殺して逮捕しようとする場面が凄く良かっただけに、その後「実はリオは犯人ではない」という陰謀色の強い展開になるのは、失敗だったんじゃないかって思えちゃいましたね。 これなら「ショーンを誘拐して殺した犯人は、リオ・クロウである」「主人公は彼を殺さずに逮捕し、プリコグの殺人予知システムは絶対ではないと証明してみせた」って形で終わる方が、ずっと綺麗に纏まっていた気がします。
ちなみに、本作には直接の続編となるテレビドラマ版「マイノリティ・リポート」(2015年)なる代物が存在しているのですが、そちらでもショーン誘拐事件の真相は明かされず仕舞いで、しかもドラマ自体も物凄く中途半端に終わってしまう為、あまりオススメ出来ないのが残念ですね。
ビジュアル面、ガジェット面の面白さは「傑作」と呼ぶに相応しいのでしょうが…… 映画として総合的に判断すると「中々良い映画」くらいの評価に落ち付きそうな、そんな一品でありました。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 6点(2019-02-15 12:35:11) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 今年から数えれば14年前のSFながら、シャープでクールなハイテク機器がかっこよく、予知夢で犯罪予防とかユニークな設定だし、展開もトントン進んでかなり引き込まれた。 しかし、結局はジョンの息子は誰がさらってどうなったかは分からずじまい。ラストシーンでジョンが妻の8ヶ月目サイズの妊婦腹をさすってニンマリして、ハッピーエンドですよと言われても、ぜんぜんこっちはシャクゼンとしない。
プリコグのアガサの母が殺害された真相の解明にばかり皆が奔走していて、アガサがきらいなわけじゃないが、なんでアガサばっかりーって思ってしまう。 息子のことも解明してやれよーと。
途中まで引き込まれていていろいろな穴に気づいていなかったが、こういうオチをみせられると
「別にわざわざラマーが自らの手を汚してまでアガサの母を殺さなくても、1番目のおとりとして雇った人間がいたなら、自分じゃなくて2番目の本番の殺害用にもう一人ひとを雇えばよかったじゃん」とか
「そもそもアガサは、自分の母が不当に殺害されていたことに感づいてたなら、ジョンをいきなりガバって抱き寄せて『あれが見えるぅ!?あれが見えるぅぅううう!?』なんて半狂乱でわめかないで『お母さんはワナにはめられて殺されたのよー!』ってハッキリ言いなさいよ」とか
「ジョンと外を歩いているアガサがいきなり通行人の女性に『あなたは浮気がバレる』とか教えたり、そのうち雨がふることを予知して『傘をとって』とか教える余裕があるなら、ララの家にジョンと隠れている時に、警察に突入される直前にいきなり「ルァアアアアアアーーーーーーーン!(逃げて~)」なんて叫ぶんじゃなくて、1分くらい前に『警察がくるわ』って普通に教えてあげとけよ」とか
「予知夢による犯罪防止対策は、個人のプライバシーを侵しませんとか宣伝するわりに、街頭や店内を通りがかるたびに看板が網膜スキャンで本人確認できちゃって、所かまわず「アンダートンさん、お洋服はいかがっすか」「アンダートンさん、車はいかがっすか」みたいなノリで不特定多数の人前で本人の実名をバンバン大声で発するというプライバシー侵害しまくりの未来図ってどうよ」とか
「3人の予知夢でたまに1人の夢が一致しないこともあるという不確定さがある犯罪予知システムだっていうのに、それで捕まえた”加害者予定者”を裁判ナシでいきなり刑務所カプセルに入れるとか、テキトーすぎるんじゃないの。」とか
「ララがジョンと別れた理由は、『あなたと一緒にいると息子を思い出すから』だと言ってたわりに、なんかドサクサやってるうちに、妊娠してまたジョンと仲良しになってるってあなた前に言ったセリフ忘れたんかい」とか
「ジョンはラマーにハメられたあの現場に散らかっていた幼児の写真の中に息子の写真を見つけて『誘拐されてからずっと、2つのことを考えてきた。1つは息子が生きていたら今どうなっていただろうということだ。そしてもうひとつは、犯人をどうしてやろうかということだ。』なんて殺気立った顔つきで言ってたわりに、息子の誘拐事件が解明されて犯人逮捕されたとか息子が生きていたとか何かしらのフンギリがついているようでもないのに、妻と次の子作りとか、なんという安易な心変わり」とか
穴という穴をつっつきまくりたくなる。
でも、ピーターストーメアーがブっとんだ目医者で登場していたので、それで加点して6点。 彼って、「8mm」でブっとんだAV監督で登場したり、「アルマゲドン」でブっとんだロシア人宇宙飛行士で登場したり、中盤でいきなり現れてものすごいインパクト残してく役者だなぁ・・・ 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-02-17 20:33:45) (良:2票) |
8.《ネタバレ》 コリン・ファレルが殺されるまでは良かった。後半、急にB級ミステリーに堕したのは何故か?ラストの無理矢理なハッピーエンドも解せない。たとえ暗い結末でも、観客にもっと訴えかけるものがあったなら、『未来世紀ブラジル』や『ブレードランナー』に並ぶSF映画の名作になったかもしれない。残念な映画。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-10-27 21:33:07) (良:2票) |
7.プリコグの見た映像を指揮者のごとき手さばきで、並べなおしたり拡大したりする様はまるで映画の編集作業そのもの。会社存続の為の策略によって、捜査の指揮権を奪われ、追われる身となる主人公というのも、映画会社の利益最優先の末の監督交代劇のようだ。スピルバーグがそんなことを暗喩として描いたかどうかは知らないが、これで冒頭からじゅうぶんな興味を私に抱かせた。ジェット噴射機を背負い、空中を浮遊する追手たちの姿は、敬愛するトリュフォーの『華氏451』へのオマージュか?そういえば、『華氏451』は一方的に垂れ流される映像に依存することの危険性を提示していたが、今作品も映像に対する過度の信頼における危険性を提示している。深読みしていくとけっこう楽しめるのがスピルバーグ映画の面白さでもある。リアルな未来像も○(レクサス2054年モデルも見れたし、なにをおいても有名女優と××出来ちゃうバーチャル風俗に興味深々、、恥)。主人公がヒーローではなく、ドラッグに頼る弱さと弱みをを持った普通のパパというのも好印象。しかし後半、妻が事実を知ってからの展開の早いこと。そして安直なこと。ハリウッドでヒットメーカーであり続ける監督の送り出した娯楽作品の限界点でしょうか。おしい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-08-10 18:18:16) (良:2票) |
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6.あの、指揮者がタクトを振るようにPCを操作する場面、現代よりも不便になってるような・・・。「その画像はお・い・と・い・て」と、ジェスチャー番組を創造してしまいました。 【神谷玄次郎】さん 6点(2003-12-23 16:51:57) (笑:2票) |
5.けっこう楽しかったような記憶はあるけど、中身をあんまり憶えてない。プルコギが食べたくなったことは覚えている。 【Michael.K】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-01-23 08:43:34) (笑:1票) |
4.予言者による犯罪予測が可能となった未来。それは罪を犯す前の人間に罰を与える世界。自らが殺人を犯すとの予言がなされた警官である主人公。追う者から追われる者へ。果たして自分は罪を犯すのか?設定はかなり面白いです。未来のテクノロジーも良いです。ターゲットとなる場所と時間が特定されているため、緊迫感もあります。予言者役でサマンサ・モートンが出ているのは個人的にプラス要素でした。終盤の畳み掛けが弱いと感じましたが、軽い感覚で楽しめる面白い作品だと思います。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-05-05 21:54:38) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 結構面白かったです。ただあれほどデジタル化した未来社会で、出てきた玉が(商店街の福引きみたいな)アナログで、しかも書いてある字がエイゴ、漢字は出てこないのかな、韓国人のときは?とつっこみをいれたくなりました。またプリコグの人権と寿命が心配でした。 【杜子春】さん 6点(2004-06-12 20:00:25) (笑:1票) |
2.画質が青いのが気になったがそれは仕様らしい。 【weber】さん 6点(2004-05-05 00:03:36) (笑:1票) |
1.ご都合主義満載で突っ込みっぱなしでしたね。でも映像は楽しいしトム・クルーズも格好良かったので良し。でも結局子供は生きてたのか死んでるのかそれが気になります。 【Robbie】さん 6点(2004-05-04 12:50:24) (良:1票) |