7.これはもう徹底的に救いのないお話。後味の悪さは『生きものの記録』以上である。『隠し砦の三悪人』と『用心棒』の間にこんなとんでもない映画を作ってるんだから、やはり黒澤明は恐ろしい。社会悪に対する糾弾という意味では『生きる』に通じるものもあるけど、あちらの志村喬はいい人すぎてちょっとアレだったけど、こっちの西は単あるヒーローではない。悪と戦うためなら自分も悪になると公言するような男であり、そこにこの映画の面白さがある。その西の前に立ちはだかる「ワル」たちもなかなかのクセ者ぞろい。観ていて本当に胸くそが悪くなる。でも本当に胸くそが悪いのは、このストーリーが45年経った今でも少しも色褪せてないことだ。 【とかげ12号】さん [DVD(吹替)] 8点(2005-11-20 18:42:08) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 見事に予想を裏切る展開に脱帽。 森雅之の家庭での良きパパっぷりを後から振り返ると、何ともおぞましい人間だろうと唸らされた。しかしラストシーンではそんな彼でさえ実は頭を下げる身分で、上には限りなく、悪が存在している事を示唆する。
腐敗した権力に対する描き方は「生きる」に通じるものを感じたが、黒澤映画の素晴らしいところは、どの映画でもその主題以外の要素を絶妙に絡めて、作品に厚みを出すことに成功していること。 どの登場人物の人間描写にも手抜かりが無いから、じっくり感情移入出来る。
「天国と地獄」もそうだが、当時こんなに重厚なサスペンスを邦画として観る事が出来た日本人は誇らしかっただろうなぁ。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-25 08:20:59) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 ○後のニューシネマを髣髴とさせるほどのバッドエンド。しかし見応えがあった。○構成が素晴らしい。後の「ゴッドファーザー」で参考にされた結婚式のシーン。マスコミがあんな所まで入るのを許可されていたかは不明だが、実に上手いシーンだった。○バッドエンドにすることで社会に対する訴えが倍増したように思える。普通の監督ならハッピーエンドにするよう言われているところだが、さすが黒沢監督。この映画のためにプロダクションを作ったとも取れるね。 【TOSHI】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-21 09:33:12) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 ラスト、西たちの計画が失敗する事で、逆に社会について考えさせられる。巧いなあ。黒澤さんの計算のうちなんだろうね。しかし岩淵は、恐ろしいキャラだ。結局、彼は人として何を守ろうとしている人なのか?どうせ、この後、岩淵家はバラバラになるだろうから、それを思うと救いが得られる。でも本当の黒幕ってこの場合、誰だろう?何に負い目を感じてペコペコしてたのかが分からん。
(再見)日本語字幕入りで観ると、冒頭のマスコミ陣の会話が非常に分かりやすく、練られてることがわかる。黒澤さんの作品は、会話がよくできてるから、字幕入りで観ないともったいないね。もちろん字幕なしでも凄いんですけどね~ 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-04-23 18:33:11) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 悪い奴は……強い。orz。後半(バレて)からテンポが遅くなって、世界の拡がり?がなくなってしまった。それでも最高におもしろいんです。黒澤明は創りたい世界を、「エンターテイメントに昇華する」のが上手いなあ。 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-12-17 00:02:32) (良:1票) |
2.観終わった後、何ともやるせない気持ちになりました。しかし、そこはさすが黒澤明監督、そんな後味の悪さがあるもののエンターテーメントとして十分に見れる映画を撮るなあと思いました。明らかに完成度という点で「天国と地獄」よりは落ちるけど、最近の日本映画の標準レベルからしたらかなり上です。 【青観】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-07-02 18:44:27) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 志村喬が三船の手がかりを掴むきっかけとなった父親の葬式での写真のとてもつもなくわかり易い顔。あれはギャグなんでしょうか?・・。/本作はとにかく悪への憤りがすごく伝わってきます。監督は公務員に恨みでもあるのか「生きる」でもしつこくなされる小役人根性批判も気合入ってます。まさに「これでいいのかー!」です。検察や警察はほとんど絶対善みたいですが、こんな映画があって、何十年も経って、もう実際何人あんなふうに自殺(他殺?)してるかわからないくらいなのに何も変わってない(何も!。そうでしょ?。ニュースになってる事件を見ても。)ので捜査機関すら疑いたくなるのですが・・警察の方すいません。どうか悪い奴を眠らせないようがんばってください。恥ずかしげもなく正義ヅラした自己陶酔レビューしてますが、私はこういった超単純な正義感好きです。主人公のように自ら悪となって身を捨てる覚悟の復讐じゃないと人間悪には立ち向かわないかもしれませんが、せめて自分の身を犠牲にしてまで悪をかばう人に翻意を促すのが監督の意図ではないでしょうか?。最近のいろんな汚職や企業事件なんかは内部告発から明るみに出るのがほとんどだそうで、他人事じゃない人結構いるんじゃないですか?。自分がやってることはおかしい、ウチの組織はおかしいって思ってる人。疑問をもつ方が青い未熟者なんでしょうか?。この映画をもっとたくさんの人が観れば世の中変えるパワーがあるかも?っていうのは夢想でしょうか?。そんなふうに思えば、救いがない後味悪い内容でも夢があります。 【しったか偽善者】さん 9点(2004-07-21 22:04:54) (良:1票) |