6.共に既に家庭を持っている男と女のロマンス。平たく言えば不倫モノということになるのですが、 そういう言葉で片付けたくはない雰囲気と内容、そして品を持った作品です。 本作の主演女優、セリア・ジョンソン。その表情の演技が特に印象的です。 巨匠リーンの繊細な演出と、彼女の繊細な演技が見事に重なり合う。 相手役のトレヴァー・ハワードと共に美男美女が極上の絵になるロマンスという訳ではなく、 2人が互いを求めあう感情を露わにする激しさのあるシーンがある訳でもない。 毎週木曜日の買い物に出かける午後のほんの半日の2人の心の機微を実に丁寧に拾い上げていく。 それが本当にいい映画です。 巨匠リーンの初期の90分に満たない小品ですが、リーンの後の大作にひけを取らない作品だと思います。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-09-03 15:16:11) (良:1票) |
5.昔新聞の土曜版で紹介されていて、気になって大学の視聴覚資料室にわざわざ見に行った映画です。ラフマニノフも聴きました。「恋におちて」との違いについてもいろいろ考えました。二人が会ったのは実はわずか4日間。二人の惹かれあう姿は少年と少女のようで、シリア・ジョンソンが、もう少し自分の気持ちに素直になったらもっと二人で素敵な時間が過ごせたのかも・・と最近は思います。「あなたを愛し始めた。しかし今二人の終わりも始まってしまった」周囲を気にかけ、嘘が現れたときにトレヴァーハワードが言った言葉はなんてせつないのでしょう。いい映画です |
4.ドロドロしがちな不倫ものも、デビッド・リーンの手にかかれば美しい純愛ものになるんですね。登場人物も作品のつくりも良い意味で常識的で、最後まで安心して見れました。配偶者以外の誰かを愛することは誰にでもあり得ることですが、それを説得力と常識をもって美しい作品にするのはまさに職人芸。素晴らしい! 【なな】さん 8点(2003-07-09 21:12:36) (良:1票) |
3.不倫ものなんだけど、中年の美男、美女ではないし、偶然の出会いでちょっとよろめく、なんて今見てもどこにでもありそうな話。でもこの二人はつつましい。後ろめたさにビクビクしながら、でも逢いたくて若者のように不器用なつきあいを重ねる。で、どうするかというと結局女は家庭へ戻り、男はアメリカへ去る。最後の別れでさえ、不運にも言葉も交わせない。ときめきが終わり、女は意気消沈するが夫は待っているのね。でもこれで良かったと、安堵するようなラストだった。今時の生々しい不倫と違って、そそとした密やかな大人の恋が切なくてロマンティックだった。 【キリコ】さん 8点(2003-05-15 20:58:01) (良:1票) |
2. ノエル・カワードの渋い原作をコレ又激シブ且つ格調高く映画化したデビッド・リーンの最高傑作!!所謂不倫モノのルーツなんだが、「○曜サスペンス」や昼メロみたいな下品さ・俗悪さは微塵もナシ!!昨今の映画人は派手なSFXやアクションやお笑いなんぞにうつつを抜かす暇があったらコレを観よ!!と声を大にして言いたい。シリア・ジョンスン演じる人妻が、品格はあるが(目がギョロッとして)冴えないルックスなのも本作では実に説得力大である。ここでヴィヴィアン・リーみたいな絶世の美女なんか出てこられた日にゃウソっぽくて興醒めってモンだ。相手役のトレヴァー・ハワードも上品ではあっても、美男子ではないし、実に燻し銀の魅力。ラフマニノフのピアノ・コンチェルト第2番が何とも素晴らしく効果的。派手さもドラマティックさも用いずに二人の微妙な心理をキメ細かく演出する、女性映画の雄リーンの本領が発揮されまくった本作に…言うまでもなく10点満点で御座います。 【へちょちょ】さん 10点(2003-02-23 02:15:21) (良:1票) |
1.激しい恋愛映画が多い中、久しぶりに心打たれる名作に出逢ってしまった。どこにでもある日常の一片を切り取って映画にした巨匠リーン監督の手腕が素晴らしい。澄み渡る音楽の使われ方も名作といわれる所以。これを見ずして恋愛映画は語れないですね。 【マピ】さん 9点(2002-11-16 17:44:38) (良:1票) |