11.《ネタバレ》 ヒューが演じる男は相変わらずダメなんだけど、憎めないんだよなあ・・・。見る者にそう思わせる、これぞ彼の持ち味なんでしょうね。本作はちょっとシリアスな内容も含んでいますが、そんな中にクスッと笑わせてくれる彼の存在が活きています。彼が演じるウィルとマーカス少年の関係が微妙なんだけど、それが絶妙にいい。終盤のコンサート。ウィルがギターを弾きながらマーカスを助けにステージへ出てくる。普通ならそこで拍手喝采、大団円となるところですが、そうならないところがまたヒューらしくていい。最後はちょっぴり暴走してブーイングを浴びてしまう始末。やっぱダメだなあ・・・。と思いつつもこのシーンに感動してしまいました。一緒にステージに立ってくれたその気持ちはしっかりマーカスに伝わっていたんだから。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-12-03 20:59:44) (良:3票) |
《改行表示》 10.《ネタバレ》 ヒュー・グラントの魅力って色々有るんでしょうけど、個人的には本作を観るのが一番手っ取り早く魅力が伝わるんじゃないかなって気がしますね。 「親が残してくれた印税収入に頼り、働きもせず女遊びしながら暮らしてる男」なんて主人公を、きちんと感情移入出来る存在として演じてる時点で凄いし、主人公の良い部分だけでなく、悪い部分もスマートに表現してみせてるんだから、お見事です。 特に感心させられたのが「赤ん坊の抱っこの仕方が下手」という演技をする場面で有り、これって中々自然に出来る事じゃないと思うんですよね。 オシャレなラブコメ映画が似合うんだけど、それと同時に「赤ん坊を上手に抱けない男」を演じられる俳優でもあるって辺りに、ヒュー・グラントという存在の特別性を感じます。 そんな主演俳優の魅力ありきの映画ではあるんですが、全体のストーリーも中々凝ってて面白かったです。 ポール・ワイツは「アメリカン・パイ」(1999年)の監督でもあるとの事で、言われてみれば王道展開からの「すかし」と「外し」っぷりが、本作と共通しているようにも思えましたね。 観ている間(これは主人公のウィルと、仲良くなった少年マーカスの母親とが結ばれるオチかな)と思っていたら、全然そんな事は無かった訳ですし。 他にも「無職だったウィルが音楽の仕事を始める」「マーカスは校内ロック・コンサートで成功して、学校の皆に認められる」なんていう王道な着地からは、あえて外してみせた終わり方をするのが、非常に印象的。 特に驚いたのがマーカスの母親についてであり、劇中で自殺未遂までした以上は、もっと根本的な解決とハッピーエンドを描いても良さそうなものなのに、そこすらも本作は「絶妙」あるいは「曖昧」なバランスで終わらせているんですよね。 「菜食主義者だが、息子が行きたがってたマクドナルドでビッグマックを食べさせようとする」なんて具合に「心が弱い母親も、少しだけ前に進めた」という形に収めてある。 これって、本当に後少しだけ描き方が下手だったら(何だ、この終わり方は)(結局、何も解決してないぞ)っていう落胆と共に映画が終わったはずなのに、観客に「仄かな満足感」「不思議な居心地の良さ」を感じさせる形で幕を下ろしてみせた訳だから、本当に見事。 ウィルがマーカスに対し「普通である事」を求め過ぎてるような一面が有るのは、少々気になるけど…… それも「学校でイジメられないようにする為」という具体的な理由が有っての事なので、決定的な違和感には至らなかったし、その辺りの繊細さというか、作中の人物や言動に対する説得力が、本作の完成度を高めていたように思えます。 それと、此度再見して気付いたのですが、この映画って「校内ロック・コンサートで成功しなかった事」が重要だったのではないでしょうか。 凡庸というか、普通の「良い映画」であれば、ここは「人生色々あって大変だけど、音楽の力で成功出来た」って形で、綺麗に纏めていたはずなんです。 でも、本作は決してそうじゃなく、コンサートは成功とも失敗とも言えないような、曖昧な結果に終わってしまう。 それは「ウィルがマーカスに手を差し伸べ、二人で成功した事」ではなく「ウィルがマーカスに手を差し伸べた事」が重要だから。 成功や失敗なんていう結果よりも、その意思と優しさこそが大切なんだってメッセージが、フィルムから小さな声で伝わってきましたね。 作中のマーカス同様、決して「普通に良い子」な映画なんかではなく「ちょっと変だけど、良い子」な映画として、心に残る一本です。 【ゆき】さん [インターネット(吹替)] 7点(2025-01-22 15:21:03) (良:2票) |
《改行表示》 9.《ネタバレ》 ともすれば地味な作品なのに、不思議なほどに見入ってしまいます。感情の起伏がはっきり見てとれるので、見ていて飽きないのかもしれません。 ヒュー・グラント演じるウィルの人柄は最高。軽薄そうに見えて情が深く、無関心そうに見えて意外と優しく、嘘つきなんだけど、大事なところではいつも正直者。好きではないが嫌いになれない『ウィル』という人物を、最高のバランスで魅力的に演じきっていたと思います。こーゆー役をやらせたら、ヒュー・グラントは天才的にはまります。 正直ゆーと、ストーリーは個人的に物足りない部分はありました。マーカスの恋の行方や、友人関係、ウィルの人生設計の見直しなど、どれか一つでもいいんで、もう少しだけ踏み込んで、建設的なストーリー展開を見たかった気はします。ラストの『ウィルとマーカスには支えてくれる人たちができた。』っていうのがこの作品のクライマックスなんでしょう。ですが、その結果具体的に二人の生き方が、どう変わったのか見せてくれないと、ただ雰囲気が良いだけの映画になってしまいそうです。 その雰囲気の良さだけでも高得点あげられちゃうくらいには面白い。ですが、せめてウィルにはなんか自分のしたい仕事やなりたい自分を見つけて、空っぽの自分からの脱却をはかろうとするきっかけくらいは、最後に見せてほしかったかな。 マーカスは『ブレない母親思い』がかっこよかったですね。もうちょっと音楽か勉強か、何かを頑張る姿を見たかった気もしますが、友人達からバカにされいじめられても母親を大切に思う彼は本当にかっこいいです。個人的にはこの作品の一番のポイントだと思います。 どちらかと言えば、ストーリーうんぬんよりも、人物の魅力を味わう作品。 落としどころが気になって最後まで見てしまうタイプのずるい映画という気もします。 どちらにせよ、そのプロセスは十分に楽しめるヒューマンストーリーに仕上がっていますね。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-04-27 04:00:33) (良:2票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 ~About a Boy~少年について。気になる少年。フランス語のタイトルは“少年のため”とか。 母親にとって良い子であり続けることの難しさ、そこから生まれる世間とのズレが上手に表現されていた。 やはり母親のフィオナが問題だ。救いようがあるのかわからない。自分で勝手に落ち込んで自殺未遂したり、まだ子供のマーカスに依存している。 話はズレるが、自分はもう、サンタは居ないと解ったけど、親は未だに「今年はサンタさんに何お願いするの?」という。親のため対外的にもサンタを信じる子供を演じる自分。周りにも「アイツまだサンタ信じてるんだぜ(笑)」ってからかわれる。マーカスはそんな感じの少年だろう。 ウィル宅に何度もしつこく訪問したり、外観ちょい怖いエリーと堂々と話して握手を求める。頭の中で歌を歌ってるつもりが声に出てしまう問題があるが、大丈夫な子だ。 問題はフィオナ。彼女は子供が男の家に入り浸っているのを心配して怒鳴り込む…のは良いが、レストランという場所を選ばず問い詰める。 マーカスが虐められている現実を脇に置いて、ウィルならどうする?そんな自分勝手な…と呆れる。 それでいてSPATの集まりで「ここで話して」と言っておきながら、自殺の話をすると「個人的なことを何であそこで」と怒る。 ウィルをクリスマスの集まりに呼ぶが、スージーにも知らせず当日会わせる。 二人の対応が大人だったから丸く収まったが、やり方がエゲツない。絶縁されても仕方ないやり方だ。 マーカスは母を喜ばせるためのスクール・ロック参加。(…ちなみにそれを知らせる時のフィオナ、ソファーで電源入ってないTV見てて怖い。)これは親に自分が虐められてる現実を見せる意味もあるんだろう。 Killing Me Softlyは邦題『やさしく歌って』だけど、KILLが入っている通り、本来の意味は“ゆっくり(真綿で首を絞めるように)じわじわ殺される”になる。 殺されていくのはマーカス。殺すのは母親。だったが、ウィルの手助けで、何やかやでハッピーエンドになって、良かった良かった。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-21 13:09:23) (良:1票) |
7.まさにヒュー・グラントという感じの映画。ヒュー・グラントと中学生が奇妙な友情で結ばれるというのを想像したら、その想像通りの感じの映画。いじめという重くなりそうな題材も、ヒューグラントテイストで、深刻にならないところもよい。ともあれ、いかれた親をもつ子供は苦労する。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 7点(2015-05-21 13:57:05) (良:1票) |
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6.いかにもブリティッシュなマーカス少年、これがまたうまいんですよね、心温まる1本です。もちろんぼくたちのヒューも変わらずチャーミングです、作品当時と今では彼も父親になったわけだから、また感じるところが違うのでしょうかね。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-02-12 14:53:23) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 中年男と少年の友情物語。中年男は独身のプレイボーイ、少年は学校で苛められているし母親は情緒不安定だしで普通なら何か事件が起こりそうな設定なのに、少し不器用な男の性格とポジティブな少年の性格がそれらの要素を見事にスルーしている。暴力表現もなければセックス表現もなしの安心して見れる映画。見始めたら最後、彼らの生活がついつい気になって最期まで見てしまった。ただし、映画としては少し物足りない感じなので7点、で。 【なな9】さん [地上波(字幕)] 7点(2007-01-02 19:47:07) (良:1票) |
4.38歳で独身で人とは深く関わらず、親の財産で暮らす男って俺にとっちゃ全く憧れや理想なんか無い。そんな男が1人の少年と出会い、変わっていく姿には何故か深く感情移入してしまいました。とにかくこの主人公にヒュー・グラントを起用したのは大正解だったでしょう。彼がいなかったらこの映画の魅力は間違いなく著しく衰退してたと思います。今のところ点数は7点にしてますがこの先、俺が38歳になった時にこの映画に対してどんな感想を抱いているかがヒジョーに興味深いです。あと22年後か・・・よーし!(何が「よーし!」だよ>俺) |
3.《ネタバレ》 ウィルとマーカスの関係が2人にとって居心地よさそうで良い。最近ウィルみたいな人がたくさんいると思うし、その生活が悪いとは言えない。でもこの映画で、人と人の交流とか支え合いとかの良さを見せられると、ウィルみたいな考えがもったいないことに気付く。最後、マーカスのためにウィルが一緒に歌を歌ってあげるとこなんか涙なしでは見られなかった。それにしてもヒュー・グラントのあの魅力はどこから出てくるんだろ。作品選びうまいし、この人が出てると観てみようって気になるんだよね。あとウィルの住んでる家はちょっと理想。 【ヒョー$】さん 7点(2004-01-26 21:04:53) (良:1票) |
2.ストーリーは悪くないが、結末のパンチが弱い気がした。ヒュー・グラント演じる金持ちの独身男、適当な遊び相手にバツイチ女性ばかりを狙う軽い役は彼にぴったりだと思った。友人になる男の子は料理下手の母親が作った固いパンを公園のカモに投げて死なせてしまったところがウケた。この映画をみて、クイズミリオネアが外国のテレビ番組のパクリであることに気づいた。ヒューグラントのショートヘアがなかなかさっぱりしていて好きです。 【パンプキンパイ】さん 7点(2003-10-21 21:11:20) (良:1票) |
1.そこそこお金もあって、都会でお気楽極楽な独身生活を送っていると、寂しさや不安など感じることはありません。好きな映画を観て、たまに飲みに行き、休日に惰眠を貪っていれば、そんな暇はない(最近は何故か、試写会に行くのにも忙しいし)。しかし、それは寂しさや不安を感じないのではなくて、知らないだけなのです。一度でも団らんや恋人の温もりなどを知ってしまうと、一人になった時に、どーしょーもない孤独感と無気力感に襲われてしまう事があります。これは結構、身につまされる。映画では12歳の少年が物語のポイントになりますが、あくまでヒュー・グラントが主役なのが良かったです(因みにレイチェル・ワイズは役名レイチェル、もろゲスト出演って感じ)。そして後半の唐突な展開も、甘々のラストも不思議と許せてしまった…。そんな訳で、かなりの主観的評価になりますが、7点献上(「ブリジット・ジョーンズの日記」を観た同年代独身女性の気持ちって、こんな感じなのかいな?)。 【sayzin】さん 7点(2002-08-10 19:41:49) (良:1票) |