4.これは映画というよりも芝居に近い。、、、、、がけの下、崩れかけた小屋の中の濃密な空間、母屋とその外。、、、、狭い、掃きだめの空間を使って、黒澤は何を表現したかったのだろう。、、、、下層の人々が置かれたリアリティ、そしてそこに理想的なものの存在する余地がどれほど乏しいのか、ということだったのだろうか。、、、あるいは、全く希望も、理想もない世界がどのようなものかを描くことだったのだろうか。、、、三船は若い女、山田は三船に明るい未来を見いだそうとするが、それは破れ、東野は妻の弔いに仕事道具も失う。、、、そして、アル中の老人は、覚醒して未来がふと見えると、死にしか、もはや救い、理想を求めることができなくなってしまう。、、、、、、この世界は、求道者・黒澤が、人が道を見失うとどのような存在になるかを描いたものだったと僕には思えた。、、、だけどそれは、黒澤が、実は民衆の世界を描くことが不得手であったことを物語っているのではないだろうか。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-28 16:59:04) |
3.貧乏長屋でどん底暮らしの人々に、人生を悟ったようにささやかな安らぎや希望を与えるお遍路老人、そんな人でもいざとなるとケツをまくって逃げ出す始末。長屋の人々は相も変らずその日暮らしを続ける。みんな何をすべきかなんて自分で解っているが、苦しくとも楽な生活に慣れてしまっている。誰かが背中を押してくれるきっかけを待っている、本当にどん底から抜け出すためには自分自身の自己改革が必要である。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2003-11-16 15:56:56) (良:1票) |
2.ラストの台詞が強烈。このためにあったような映画。落語の「らくだ」を思わせる部分もある。 【ひろみつ】さん [DVD(邦画)] 8点(2003-11-06 22:45:47) |
1. 黒澤明監督は1951年にフョードル・M・ドストエフスキーの「白痴」を松竹で映画化した前歴があったが、今回はマクシム・ゴーリキーの名作の映画化に挑んだ。余程ロシアというかソ連文学に造詣が深かったのだろう。原作を全く知らなくても役者の演技のアンサンブルが楽しめるという意味では佳作の域には充分達しているとは思うが、江戸の棟割り長屋に舞台が固定され、黒澤的なダイナミズムを求める向きには余りに躍動感に乏しいと感じるかもしれない。しかし、役者の演技レベルは高く、今日の邦画界にこれだけの芸達者な名脇役はとても揃えられまい。因業な大家役の中村鴈治郎が中でも出色の上手さ。黒澤らしからぬ超低予算&超短期間で作り上げた見事な手腕と出演者のハイレベル演技に…8点! 【へちょちょ】さん 8点(2003-02-13 17:55:38) |