6.《ネタバレ》 アクション俳優としてのニコラス・ケイジの代表作といえば、本作になるんじゃないでしょうか。
とにかく主人公のポーが強くて恰好良くて、初見だったとしても「この俳優さんは要チェックだな」と感じさせるような力がある。 ニコラス・ケイジの存在を知っている上で観たパターンでも、他の映画では中々見かけない長髪なので物珍しさがあるし(こんなに肉体派な俳優だったのか……)という驚きを味わえるしで、掘り出し物に思えるんじゃないかと。
ヒロインとなる奥さんと娘さんが両方美人で可愛らしいものだから「早く刑務所を出て、家族の許に帰りたい」と思っている主人公に感情移入しやすい点も良かったですね。 捕まった経緯に関しても「こんなの完全に正当防衛じゃん」と思えて、応援したくなる形になっている。 刑務所で黙々と身体を鍛えつつ娘と文通しているシーンも良かったし、囚人仲間のオーと仲良く話す場面も微笑ましくて、仮釈放に至るまでの流れが非常にスピーディーに纏められている点も、上手かったと思います。 この手のアクション映画は、やはり導入部が大事なんだなと、再確認させられましたね。
敵となる凶悪犯達も「濃い」面子が揃っており、特にジョン・マルコヴィッチ演じるサイラスの存在感は、圧巻の一言。 他の連中だってかなりの面構えの持ち主なのに、もう登場した時から(こいつがラスボスだな……)と直感させるだけのオーラを放っていましたからね。 凶暴なのに知的さを漂わせる悪党って、演じるのはとっても難しいと思うし、正に「怪優」たるマルコヴィッチの本領発揮といった感がありました。 ハイジャックした飛行機で何処を目指すのかと問われた際に「勿論ディズニーランドさ」と切り返す場面なんかを魅力的に演じられたのは、この人だからこそだって思えます。
そんなサイラスに主人公のポーが気に入られ、仲間の振りをしつつもポーは何とか人質を殺さないようにサイラスを誘導していく辺りも、さながら「潜入捜査官物」のような面白さがあって、良かったですね。 飛行機内に裏切り者がいると敵も気付いて、それを探っていく流れになるのは緊迫感があったし、そんなシリアスな魅力の一方で「飛行機から突き落とされた死体が地上の車に激突する場面」をユーモラスに描いたりして、必要以上に肩に力が入らないよう配慮しているバランスなんかも、ありがたい。 ベガスに不時着したら、スロットからコインが溢れ出すシーンを挟んでいるのも「お約束を分かってる」感があって、観ていて嬉しかったです。
で、そんな本作の不満点としては……やっぱり、スティーヴ・ブシェミ演じる「殺人鬼ガーランド」の肩透かし感が挙げられそうですね。 如何にも大物っぽく登場したのに、主人公側にも敵側にも与しないまま、飄々と一人だけ脱獄に成功しちゃうだなんて、流石に予想出来なかったです。 彼に関しては「予想を裏切られた快感」よりも「期待外れだったという失望感」の方が大きくて、今こうして文章を書きながらも(結局なんだったんだ、アイツは)と答えが出て来ないくらい。 「幼い少女の死体とドライブした」という台詞があり、その後に少女と二人きりになる場面を用意して、観客に(女の子が殺されちゃうんじゃないか?)とドキドキさせておきながら、特に何の理由も無く殺さずに別れて終わりってのも(何じゃそりゃ!)って戸惑うばかりだったんですよね。 ベタではありますが「こんなに優しくされたのは、生まれて初めてだ」的な台詞でも言わせておけば、少女を殺さなかった理由も納得だし、一人勝ちする結末に関しても「さりげなく主人公達を助けてあげた」的なシーンを挟んでおけば、それに対するご褒美のような形で逃げ延びる事が出来たって事で納得だしで(もっと、こうすれば良かったのに……)と思わされる部分が多かったです。
ちなみに、本作の小説版においては、そんなガーランドが捕まる場面まで描かれているのですが……それがまた非常にアッサリした逮捕劇なので「映画の続きが気になった人にはオススメ」とも言い難いのが辛いところですね。 キャラとしては独特の魅力があって嫌いになれないだけに、こんな事を書くのは心苦しいけれど、正直彼は登場させなかった方が、シンプルなアクション映画として完成度が高まっていたんじゃないかって思えました。 【ゆき】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2019-01-24 21:20:12) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 いかにもブラックカイマーがプロデュースした様なパニックアクション映画で、気楽に観れてそれなりに面白い作品でした。乗り物パニックとして王道をキチンとこなしている点がGOOD。こういう映画でありがちなキャラクターの没個性も特に見当たりません。一昔前に流行したレクター博士の様な異常性を持つインテリをこういうパニック映画に登場させるアイデアは面白いなーと思いました。しかもジョン・マルコヴィッチとスティーヴ・ブシェミがその役柄に良く似合う。ただヌルイなーと思った場面も結構ありました。数々の突っ込み所に関しては、バカアクション映画だから置いといてもいいのですが、最大の問題は前述したサイコパスのジョン・マルコヴィッチとスティーヴ・ブシェミでしょう。ハッキリ言ってスティーヴ・ブシェミが登場した意味が本当に分かりません。事件が発生した時点でサイラスというサイコ野郎がいるのに、もう一人サイコ野郎のガーランド・グリーンが乗ってくる。別にそれ自体に問題は無いのですが、それならガーランド・グリーンがサイラス以上のキチガイっ振りで、サイラスの計画を破綻させそうになるとか、何かガーランド・グリーンが登場した為に引き起こる事態になるとかしないと面白く無いでしょう。でも何も起きない。スティーヴ・ブシェミの演技が良かった為に、最後まで彼がストーリーに直接絡んでこなかったのは非常に残念です。 【民朗】さん [地上波(吹替)] 6点(2011-03-30 23:39:24) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 飛行機というのは、大仕掛けの割りに、もひとつ面白味に欠けるなあ。列車や車と違って、窓外の風景が生かせない。一生懸命速く飛んでても、スピード感が出せない。飛行中は外に出られないから、車のドアにつかまったりとか、列車の屋根に上ったりとかの、アクションの工夫の余地がない。けっきょく閉じ込められた環境という一点だけ。オリガミが後で生きるのかと思ってたら、ただツルが飛行機を予告しただけだった。マルコヴィッチやブーシェミといい顔を揃えているのに、極悪人という役柄の宿命か、物足りない。思わずうなるアイデアがないので、退屈はしないが空回りの印象。車を引っかけたまま飛行機が飛んでいく図はよかった。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-03-18 12:02:56) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 物々しく現れるブシェミに強く惹かれ、そしてやはり怪しい行動を見せる彼。 今か今かとその一挙手一投足を見守るが、何もしない。 そのまま長髪が似合わない男ケイジがそこそこのアクションを見せ終了。 ちゃっかり一人勝ちのブシェミ、何してる!オチかよ! キャストは豪華だが、効果的にその魅力を発揮する展開は無くゴタゴタアクションに。 一番いい感じだったマルコヴィッチも凄い最期を遂げ、いわばギャグ要員。 勢いで押し切られた感がある、そう・・コレは体育会系アクションコメディーだ。 【HIGEニズム】さん [地上波(吹替)] 6点(2007-02-09 23:12:53) (良:1票) |
2.そのむかし、当時の職場の仲間の家に集まって、鍋食って酒飲んでやがて夜も更けてきて、たまたまレンタルしてきてたこの映画のビデオがあったので、見ることになりまして(その時間、TVでは『リップスティック』をやってたので皆ソチラを見たがったんだが私が強硬に反対)。いいかげん酒も回ってるので、こういうイキのいい映画は見ててイチイチ盛り上がる・・・ハズが、どうも盛り上がらない。まあ、こんなもんかねえ、と。しかし、ブシェーミのイカした表情だけは、アルコールの回った頭に妙にフィットして、彼の登場シーンだけは盛り上がったなあ(もちろん最後は皆一斉にツッコミを)。シラフの時に見たら、別に騒ぐほどのもんでもないんですけどね。ところで、かつて、ダイ・ハードを観て大喜びしていた私、続編ができたら今度はきっと飛行機を舞台にするに違いない!なんぞといい加減な予想を立て、大ハズレに終わったのですが、この予想が何だか中途半端な形で実現したのがこの『コン・エアー』と言えなくもなく、うれしいやら残念やら(どっち?)。『ダイ・ハード2』と『乱気流/タービュランス』と『コン・エアー』、どれも単体ではイマイチだけど、全部足し合わせたら結構おもしろい映画になったんじゃないの~なんぞという得体の知れない想像を働かせたことも一度ならず。 【鱗歌】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-05-06 23:43:59) (良:1票) |
1.一見冴えない普通のオッサンに見えて実は結構(かなり)やってくれるニコラス・ケイジ、やけに悪役がしっくり来るジョン・マルコヴィッチ、本当に病気なんじゃねぇかと思うほど(ある意味)イっちゃってるスティーヴ・ブシェーミ。とにかくこの3人の存在感が凄い。囚人護送飛行機版ダイハードな展開は、それぞれのアクションは今となっては今更ながらそれでもなかなか見ごたえがあり、最後まで飽きない。しかし、ここで気付いた事が一つ。俺…前にもこれ、見たことある…。 |