40.岡八の傑作のひとつだと思います。玉音放送の直前直後の混乱を非常にクールな視点で描きながらも、登場人物全員の思惑や信条といったものが伝わってきます。だから嫌でも観ている側が冷静で居られなくなり、物語に注視してしまいます。 【奥州亭三景】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-11-22 12:36:28) |
39.昭和20年8月15日。日本が忘れてはならない一番長い日にして大日本帝国最後の日。ポツダム宣言を受諾し天皇陛下の玉音放送があり、戦争が終わった日として日本史の授業で習った。しかしその前日から一刻を争うこんなドラマがあったとは。内閣、陸軍省、近衛師団、東部軍、宮内庁、NHK、児玉基地、厚木基地、横浜警備隊、前日からのこれだけの人間の数々のドラマを全く中だるみの無い緊迫感を持ってよくぞ熱く描き切られたことと感服します。立場や考え方、この一日に取った行動はそれぞれですが、その是非は別にしてそれぞれの根底にあった日本を思う熱き思いを演じた本作の全ての男達の熱き名演技に感動しました。これを機にぜひとも原作も読んでみたいと思います。 【とらや】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-11-20 17:40:10) |
38.もっと堅苦しい作品かと思ってたら、意外にもエンターテインメント作品になっていて、興味を惹かれました。 悲惨な戦争の事実を描いてるわけで、面白いなんて言ったら不謹慎なのかも知れないけど、当時の将校たちの心意気が感じられて、ワクワクさせられます。 もしフィクションだったとしたら、最後の一兵卒まで玉砕覚悟で戦い抜くというプライドに一票を投じたい。 もちろん戦争はよくないと思うけど、今の政治家にもこれくらいの心意気が欲しいですね。 少なくとも、現代の日本を取り巻く状況もこの頃と大差ないように感じます。 このまま無条件降伏してしまうのが本当に正しいのか、ひとりひとりの国民が冷静になって考えてみるべきなのかも知れません。 作風としては反戦ではなく、淡々と事実を描くドキュメンタリータッチで、どこまで真実に近いのかということは抜きにしても、太平洋戦争の1つの側面として、日本人なら知っておいて然るべきことなのかも知れません。 そして、やっぱりラストの玉音放送は昭和生まれの日本人としては、心を揺さ振られるものがありました。 この作品に出会うまでの僕にとって、玉音放送というのは戦争の終結を意味する平和の象徴だったんですけど、今では少し複雑な心境で受け止めるように変化したように感じられます。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-10-27 06:10:51) |
37.《ネタバレ》 妻投稿■「目的が手段を正当化する」と言う言葉があるけれど、それよりももっと悲惨な事になる事が多いのが、「手段が目的を支配する」時。往々にして未来の事を考えるのが怖い人間はそういう状態になりやすい。■よく、戦争反対映画で「戦争の狂気」とか「戦争が人間を狂わせてしまった」という描き方で、「人間を免罪する」ような映画があるけど(私のなかではチャップリンの「独裁者」がその一例)、この岡本と言う監督は、そんな生易しいヒューマニズムは見せない。彼は映画のなかで徹底的に「手段が目的を支配している」状態の人間を描く事で、「悪いのは戦争ではなく人間」ときっぱり言い切ってしまっている。私はこの戦争を「大日本帝国が悪者で、連合国やアジアはイイモン」という風に単純にみる事は出来ないのだが、「悪いのは戦争ではなく人間」であるという事が本当ならば、改憲派も護憲派も右も左もとにかく日本国民なら共通する問題だと思う。■岡本監督アナドレン。ラストの皇居のシーンは本物の皇居を勝手に撮影したらしいが、どうしてそこに拘ったかと言うと、映画のなかの皇居と、1970年前後の当時の皇居と同じ映像にする事によって、それと同じ世界を生きている私たちに、映画のなかの狂気と言うものは私たち自身の心と隔絶されたものではない事を訴えているのだと思う。■映画とは関係ないけど、私は一度だけ国会図書館近くで(国会議事堂を見学しに東京に出ていたので)、半蔵門から出てきた天皇陛下の車に遭遇した事がある。見えたのは一瞬でお妃さまが手を振ってくれたのだけど、一体どうなったらここまで穏やか(すなわち意志が強い)人になれるんだろうというオーラがあった。この映画を見て何となくわかった気がした。 【はち-ご=】さん [レーザーディスク(邦画)] 9点(2010-10-03 17:44:13) (良:1票) |
36.《ネタバレ》 他のサイトのレヴューの「セリフが結構聞き取り難い」というアドバイスから字幕付きで観た(よりドキュメンタリーっぽく観られた)。テーマがテーマなので当たり前だが終始ピリピリ感があって演技も迫力があった(特に三船敏郎)。日本人なら、やっぱり1度は観ておかないと、と思う作品だった。 【より】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-10-03 00:28:30) |
35.『昭和天皇論』を読んだあと、観たくなってレンタルしました。とくに矛盾するところもなく(なかったように記憶している)、丁寧に丁寧に製作されたんじゃないかと思いました。映画の舞台となった昭和20年8月15日と、この映画を製作した昭和42年、そして現在の太平洋戦争のイメージを重ね合わせると胸が熱くなる。あのころの未来に僕らは立っているのだと。 【ようすけ】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-10-02 23:50:55) |
34.《ネタバレ》 大作。そして傑作。玉音放送にまつわる終戦のエピソードを実にうまくまとめて見せてくれます。娯楽の要素は一切無いのに、とても面白く、勉強になります。初めて知ることばかりでした。終戦を受け入れられず、本土決戦に固執する陸軍の狂態ぶりがよくわかります。本土決戦が行われていたら、さらに多くの人命が失われていたに違いありません。ミッドウェイの大敗北以来、日本国民を欺きつつ、敗戦濃厚にも関わらずだらだらと戦争を継続したツケはあまりにも大きかったと思います。 【ジャッカルの目】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-08-15 01:38:43) |
33.阿南陸相の自決前の言葉は身に沁みました。阿南惟幾の真意については諸説あるようなので、本当に本土決戦を望んでいたかどうかは分からないみたいですね。なんとも興味深い人物だ… 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-05-01 22:08:37) |
32.《ネタバレ》 この作品は、数年前のNFCの特集で鑑賞したのですが、その後、半藤一利さんの幾つかの著書を読んだり、日露戦争・満州事変の本まで手を出したり・・・ 「東京裁判」もしかりですが、いかに戦後の教育(特に戦争に関する情報)が歪んでいたものか、私自身教えれた、その契機となった作品です。
戦争を扱った作品は、特に観るものの感じ方が違ってくるのでしょう。8月15日正午を終点とし、そこへ向かう様々な人間のドラマといえばそうですが、日本がはじめて「負け」を認め、迎えようとしている未曾有の事態を国のトップから軍人・庶民にいたるまで、様々な行動と思想が凝縮されている。かなり難しい題材で、よくぞ岡本喜八監督がやり遂げたといった印象があります。
また、俳優陣のテンションが凄かった。三船・笠・山村らの堂々としつつも、国の重圧をずっしりと背に受けたかのような演技の素晴らしさ。高橋悦史と島田正吾(森師団長)の緊迫感、天本英世の芝居を超えたといえるハイテンション。等々、きりがありません。
「アメリカに勝つ可能性はゼロ」という事は、誰しもが解っているのに何故・・・日露戦争のように「6対4で講和に持ち込む」という政治判断が、軍部によって完全に機能停止。軍部も一番軍隊で必要である組織としての体制がなっていない。ほんと、はじめから玉砕の運命だった・・・ある意味、その幕をよくぞ下ろしてくれた・・・いや、何故もっと早く・・・ 複雑な心境でありました。
日本がかつて持っていた気概というものが、戦後アメリカの影響で大きく失っていく現状(勿論、恩恵も沢山受けているのでしょうが)。明治から昭和、戦後から現在までの変遷を知らない事には、この先、日本は日本でなくなってしまうのではないかと真剣に考えてしまいます。映画から追っていくというのも有りかと思います。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-04-06 22:12:32) |
31.《ネタバレ》 歴史ドキュメンタリーで何度も耳にした玉音放送「耐えがたきを、、、、耐え…」の直前にこんなドラマがあったことは知らなかった。今さらながらだけど、観て良かったと思う。日本人なら観ておくべき、とは言わないが、観て損はしない映画だと思います。国家が一丸となって臨んだ戦争を終わらせることの大変さ、特に「敗北」を受け入れることの難しさがよく伝わってきました。巨大な荷重がかかるテーマを受け止めるに足る東宝男優のオールスターキャスト。ほとんど全ての出演者が重要な役割を担っている。それが太く大きな流れとなって玉音放送本番へと繋がって行く構成に、タイトル通りの切れの良いまとまりを覚えます。明治時代から続く連勝が組織としての軍部・特に陸軍を肥大させて行った結果としての敗戦には、バブルが弾けたような印象を持っていましたが、今作ではその断末魔を観た想いです。勝手に個人賞を授与します。敢闘賞に黒沢年男、殊勲賞・笠智衆、技能賞・天本英世、審査員特別賞として小林桂樹、MVPは三船敏郎。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-29 23:38:13) |
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30.何について触れるべきか。正直、難しいとこですね。さしあたって、陸軍大臣を演ずる三船敏郎、鈴木内閣総理大臣を演じる 笠智衆さん この御二方の貫禄、演技魂によって 内容に値する重みが ずんと増してる事は間違いありませんね。その他、横浜警備隊長の天本英世さん、記憶に残る演技です。 あと、どうでもいい事ではありましょうが、外来語をあまり取り入れていない時代にあって、 マイクはマイクなん だ・・ と思ってしまった。あとラジオもラジオ。気になった ^^; 記憶の上でカタカナ発言及びカタカナ混じりの台詞は、ポツダム宣言、ミッドウェー海戦敗北、その他、国名にてイギリス、アメリカ、ソ連、と数えるほどしかなかったのですが。 しかしながらというか、なんちゅうか、意外なところで出てきたんが、その・・、マイクなのでした だからナニって言われてしまえばそれまでなんですが。 とにかく気になってしまったんです マイクという単語。 【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-02-03 22:45:00) |
29.《ネタバレ》 登場人物の衣装に浮き出た汗ジミが印象的な映画でしたね、出てくる人が、みんな、必死。ただ、なんていうんでしょうか、一人として感情移入できる登場人物がいませんでしたね。戦争が終わってほっとした軍人、あるいは今後の身の振り方素早く計算した人間だっていたんじゃないですか。そういう人とのコントラストで、反乱軍を描けば、身勝手なヒロイズムで突っ走ったみなさん、という評価だけで終わらなかったンじゃないでしょうか。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-01-02 08:45:51) (良:2票) |
28.《ネタバレ》 本年は『坂の上の雲』がついに映像化されましたが、『坂の上の雲』の行きついた果てがこの映画に描かれた日本だということは悲しくなりますね。反権力・庶民派の岡本喜一が日本の最高権力者たちを主人公とした群像劇を撮ったということは皮肉ですが、終戦前夜に児玉基地から出撃する特攻隊搭乗員たちの幼い顔は、何度観ても泣かされてしまう名シーンです。これはこの映画の価値を損ねるものではないのですが、当時の陸海軍の高級軍人や政治家たちは『戦争の終わらせ方』ということを本当に判ってなかったのだということです。『英霊たちに申し訳がつかない』という情緒的な言い訳を駆使して、惰性で本土決戦まで引っ張ろうとした軍人たちの無能ぶりにはただあきれるばかりです。青年将校たちのクーデター騒動にしても、『国を思う』という言葉とは裏腹に、実際には『戦争に負ければ自分たちの組織(陸軍・海軍)が消滅してしまう、責任を追及される』ことを回避するためだったことに彼ら自身も気がついていなかったのでしょう。戦争はやるからには勝たなければならない、勝つ見込みがなければ戦争をしてはいけないということでしょう。明治の元勲たちはそれが良く判っていたが、昭和の軍人たちは全く理解していなかったのです。 【S&S】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-12-30 22:03:20) |
27.実に硬派な作品で、いわゆる「名作」のテイストで、「岡本監督」ということを考えなければ、かなりいい映画だとは思う。娯楽映画風の映像表現や役者の演技の誇張振り、馬鹿馬鹿しいことに一所懸命な姿を大げさにテンポ良く描いてみせるというスタイルは岡本テイストがプンプンするのだが、テーマが重くてストーリーに笑いどころがなく、なんとなく違和感が残ったというのが正直な印象。「血と砂」のように、重いテーマでもコミカルを織り交ぜて仕上げるのが持ち味なのに、原作物のしがらみか、世間への遠慮か、誇張を笑えるほど滑稽にまで持って行けなかったのが最近岡本監督のファンになった私にとっては残念。岡本監督作品という枠をはずして見たら、名作です、と断言できるかも。 【nobo7】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-15 17:47:49) (良:1票) |
26.天皇は、日本一のカリスマであった事がよく表わされた1日だったと思う。閣議でも、なかなか意見がまとまらない所を、天皇の一言で、終戦へと一気に決まり、それを国民へ発表するのも、当時の総理でも、現場の司令官でもなく、天皇がする。日本のいちばん長い日の主人公は間違いなく、天皇陛下その人である。 【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-07 23:06:10) (良:1票) |
25.いやぁ、三船敏郎の鬼気迫る演技が素晴らしい。画面からムンムンとした狂気と熱気が伝わってくるそんな映画でしたね。一種の洗脳に近い負けるはずがないと言う自負こそが大日本帝国の躍進の要因であり敗戦の原因の一つなのである。今の日本は上辺の平和と引き換えに日本人としてのプライドを無くしてしまったのであるとかなんとかかんとか。誰かさんがそんなことを言ってたなぁと思い出しながら見てました。しかし、戦争もの実話もの分かってはいましたが息苦しいというかズシリと重たい作品でした。余計な事を一言言うと畑中少佐が最後までうるさかったです。 【雪駄】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-06-27 05:32:56) |
24.豪快かつスピーディーな展開。濃密なストーリー。画面越しに伝わる緊張感。戦争の狂気。血しぶき。流れる汗。大日本帝国としての誇り。傑作です。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-06-14 13:23:12) |
23.傑作。宮城事件を中心に玉音放送がラジオ放送されるまでの様々なドラマが見事に描かれている。この日があって、若いてはこの戦争における多くの犠牲があって今の日本の繁栄があるのだと改めて身に沁みました。汗の描写がこの映画の熱気をまさに物語ってたなー。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-01-02 17:35:06) |
22.《ネタバレ》 戦争の悲惨を伝えるにも色々な表現方法があるが、この映画では一部の陸軍の青年将校が戦場で死ねなかった自分の死に場所を求めて、お国や天皇の為、ましては一般国民の為とは真逆の行為に走る狂気を描いています。 したがって私にとってこの映画の主演は三船敏郎や笠智衆など有名俳優=政府高官ではなく、クーデターを起こそうとする青年将校達です。 この映画で描かれる自分達の死に場所を与えられなかった青年将校たちはひたすら不快で正視に堪えません。 どの場面でも目をひんむいて、口から唾を飛ばし、ひたすら怒鳴りまくり、自分達の正当性を訴えかけます。 (この時点で広島、長崎の原爆は投下されているにもかかわらず。) この映画の転機は森近衛師団長を殺害するところです。 軍は命令が絶対などと言う将校が、上官を殺害してしまう。 さらに絶対的なトップである天皇が終戦を決断してのに、 これを天皇が周囲の人間に惑わされたからなどと妄想して決起するなど考えられるでしょうか? この映画では何人もの軍人が死ぬ。しかもオールスターキャスト映画の範疇を超えて非情にリアルにその死を描かれている。 皇居前のカメラに脳みそを吹き飛ばすシーンや、三船の切腹や森近衛師団長の殺害場面など椿三十郎なみの血吹雪である。これは監督の単なる娯楽作品に終わらせないぞという意思を感じる。 私はこの映画を見てからここのサイトのコメントに目を通してたが、 映画の質が高いだけあってコメントも熱のこもったものが多いと思います。 但し(勿論私の個人的意見ですが)この映画の青年将校の迷走、陸軍大臣の切腹を 大和魂、武士道、サムライなどの旧来の日本の美しい伝統文化と同一視して美化して欲しくはありません。 日本人は平和ボケしていると言われて久しいです。平和であることが否定的に言われるほど平和なのでしょう。では我々は何処に行けばいいのか?この映画ではその行く先は描かれてはいませんが、決して戻ってはいけない時代を克明に記録していると思います。※この映画には原作があり、その内容に誤りがあるなど指摘もあるようですが、このでの評価はあくまでこの映画の内容によるものです。 【仏向】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2008-11-14 23:22:20) (良:2票) |
21.日本にとって長い長い24時間を多角的に描いたずっしりとした作品。主役なし、女優も一人(ちょろっと)しかでてこない、事実とは思いたくないぐらいさまざまな立場の男たちの苦悩と暴走が凄まじい。軍国主義の思想はほんとに恐ろしい。戦争なんてやるもんじゃないね。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-07-07 14:09:46) |