4.毎年八月が来るたびに見よう見ようと思っていましたが今年ようやく視聴しました。まずいちばん最初に感じたのが、八月のあの局面になっても政府、軍の上層部がうだうだ小田原評定を続けていたことへの怒りです。そうこうしているうちに原爆を落とされ、それでもまだうだうだ閣議を続けて・・ようやくポツダム宣言受け入れが決まったと思ったら玉音放送の文章でまたうだうだと・・。その狭間の映像でうまそうに最後のぼた餅を食べて、なにか吹っ切れたような特攻隊員たちの顔とそれを無念の顔で見送る伊藤雄之助の顔。もっと迅速な決断あれば多くの人間が助かったのに。まったくやりきれない。さらに、この期に及んでクーデターを仕掛ける青年将校たちにいたってはなんともはや・・国民を大量死させてまで守りたい国体とは何なのか?戦争の狂気をとことん教えられたという点で一生忘れることのない映画でしょうね。それにしてもでてる役者さんはみんな迫真の演技。死神博士が怖すぎる・・。 【陽炎】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-09-02 21:11:24) (良:2票) |
3.昔一度観て面白かった記憶がある。最近原作が大宅壮一編から半藤一利著に変更されたらしいが、そのおかげで偶然読む機会を得た。あまりの面白さに、さて映画ではどうなっていたのだろうと確認したく大急ぎでレンタル屋に走った。良い。これだけの大作、最良の時期であろう岡本喜八が丹念に映像化しており、この劇的な史実に余分な脚色を加えていないことが逆にとても好感。それにしても東宝35周年記念作ということで、豪華出演陣に舌を巻く。中でも阿南大将が乗り移ったかのような三船敏郎の圧倒的存在感に絶句。ついでながら、その時代まで邦画を支えてきた黒澤組の三船と小津組の笠が対峙する場面は妙に感慨深い。展開としては日本版元祖「24」。深遠な史実の内容にはここでは触れないが、もしこの映画を観る方は新たに判明した事実を加えた本を読んでからが絶対にお薦め。 【monteprince】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-03-13 22:23:22) (良:1票) |
2.この手の映画は点数をつけにくいんですが、是非多くの人に見て欲しいという願いを込めて9点です。こんな映画、いろいろな意味で現在では作れないでしょう。娯楽性はほとんど無いですが、ある意味、現在の日本の第一歩となった1945年8月14~15日玉音放送の録音版を巡る陸軍を中心としたさまざまな人々の動きがドキュメンタリー調に画かれているので、是非、すべての日本人が一度は見て欲しい作品です。 【はやぶさ】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-11-27 23:01:35) (良:1票) |
1.俳優達の演技力の裏づけは、やはり彼らの戦争体験が大きいと思います。この頃の俳優達は、語るべき実体験を持っています。南方ニューギニアで飢餓地獄にあった俳優。陸軍士官学校に在籍していた俳優。この映画の阿南陸相を演じた三船は当時陸軍航空隊に属し、熊本の飛行場で25歳の終戦を迎え、毛布2枚の支給だけで娑婆に放り出される経験をしています。三船は映画中に出てきた特攻隊の飛行兵達とほぼ同年代です。くらべて最近の中堅俳優達(多感な青春期はバブルと重なっているでしょう)が物資乏しい大戦期を”また聞き”をもとに演じては土台無理ですね。私が特に印象に残っているのは、高橋悦史演じる井田中佐の近衛師団長への訴え、「中途半端に戦争止めるくらいなら、これは玉砕、殉国した前線の兵士・一般人に対し、ぬくぬくと内地にいた連中の裏切り行為ではないのか?重臣達は天皇に責任を押し付けて逃げ口上を正当化していないのか?」です。”武士に二言は無い”ということから言えば、優柔不断な上級司令官を斬り、徹底抗戦しようとした、その望みがかなわぬ時には潔く自決した畑中少佐ら青年将校達は、恥を知る真の武士です。陸相とかれら(その他にも自決者はいる)一握りの武士の存在によって大勢の”生き長らえた”皇軍将兵に”栄光ある敗北”が与えられたのだと思います。 【Waffe】さん [ビデオ(吹替)] 9点(2005-08-05 23:07:31) (良:1票) |