《改行表示》 11.《ネタバレ》 劇中、何度も出てくる蓮の花(Lotsu)などのメタファ等からも明らかなように、この映画は、女優というものは様々な役柄を演じる事により過去現在未来1000年の間を輪廻転生を繰り返していく…という事を描いた映画なんだというのはわかります。 (多分、この想像は正しいはず) そして、その推測が正しいならば、この映画はそれをきちんと描けているとは思います。 一時代を描いた銀幕の大女優の半生をその熱烈なフアンの目を通して描くという点では成功していると思うのです。 しかし、それを理解した上であえて言うなら「それがどうした」と。 ぶっちゃけ、この空想上の女優についてこっちは何も知らないわけで(そりゃ存在しない人だから知らなくて当然なんですが)、その半生、女優としての宿命を映画としての面白さを交えて語られても、こちらとしてはそもそも興味がもてない事について延々と見せられているだけ。 映画で語られる内容そのものに全く興味がもてない以上「だからどうしたの?」という感想しか僕としては持てないのです。 【あばれて万歳】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-12-27 20:59:33) (良:2票) |
《改行表示》 10.《ネタバレ》 日本のアニメ作家は所謂メタフィクショナルなテーマを好む傾向がある。特に今敏監督はそれが顕著だ。 本作は今監督が描いてきた作品の中でもとりわけメタ構造が巧みに作用している。 過去と映画が入り交じり、さらにインタビュアーポジションの2人が併存する事で事実とも虚構とも判別のつきにくい展開が続く。 しかし、やはり構造的にクライマックスの一連の映像の為に必要ではあるが、同じ様な場面が何度も繰り返されるのは難点ではある。 物語は千代子の回想が大部分を占めており、一貫して「鍵の君を追いかける千代子」にフォーカスを当てている。 肝心の「鍵の君」の顔は出さず、千代子自身も思い出せない。出会いのシーンや物置の場面でも、カメラはリアクションをとる千代子ばかり映しており、千代子自身が、「想い人を追いかける自分」しか思い描いてない。 少しでも勘が働くなら「この人は自分に酔っているんじゃないか?」と気付く筈である。 ナルシシズムの美しさ。そのあたりがまさしく"女優"なのだと言える。 どの場面で作画の力が入っているか注視すると、監督が重要視している部分も分かるだろう。 「満月は次の日から欠けてしまうけれど、十四日目の月にはまだ明日がある。」という鍵の君のセリフはまさに千代子の心情を表現している。 想い人と出会ってしまっては、"追いかける自分"が終わってしまう、という訳だ。 本作に限らず、今監督が描く女性は、思い入れがあるというよりも、何か"女性という生き物を外から生態観察した結果"といった印象を受ける。 その反面、本作における源也の様な中年男の描写は些か本人の趣向が反映している部分がある様に思われる。 薄目で全体をぼやかして観てみると「幻の湖」に見えてくるのは私だけではあるまい。よく走るし。 今監督は本作を戸川純の「遅咲きガール」のPVから着想を得たと語っているが、無意識のうちに根底には「幻の湖」があったのでは?と思うのは考え過ぎだろうか。 【¥$】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-14 18:49:59) (良:2票) |
《改行表示》 9.《ネタバレ》 リアルな画風だが、これが実写映像だったらかなり違和感があるだろう。何しろ虚実入り混じった回想をその場の数人で共有するという、冷静に考えたら相当に破天荒な視点だ。なまじ写実的な絵なだけに、アニメーションが通常とは異なるリアリティの分法を持っているということがよくわかる。 実は構成が『PERFECT BLUE』に引き続き、ミステリとなっている。映像と音楽で多少は誤魔かせているが、致命的に人間を描けていない。心理描写がプロモーションビデオ並みに浅く、87分の尺も長く感じられるほどだ。最後の台詞が必要なのはミステリの文法で脚本を書いているからで、ドラマ部分がちゃんとしていればあそこまで明示する必要はなかったし、仮にそのまま書いたとしても重みが全然違っただろう。 この内容ならいっそのこと一時間以内の短篇に凝縮してくれた方が、端正な秀作に仕上がったんじゃないだろうか。 【no one】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-06-15 23:58:35) (良:2票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 往年の名女優の若かりしときの記憶をたどるドキュメンタリー?作りのストーリー。彼女の過去をそれまでの出演作を織り交ぜながら振り返っていくという形。いろんな役になりきりながら、ある一人の男性を追うという演出をひたすら繰り返します。正直このスタイルが良かったと言えるかというと、私には合いませんでした。いろんな役に切り替えながら多様に見せようとしていますが、結局やっていることはずっと千代子が男を追って会えず、また男を追って会えず、、、が何度も何度も繰り返されます。場面や描写が変わるだけで根元のストーリーがそこからほとんど進まないため、けっこう飽きてきます。映画自体も80分程度のかなり短めな映画なのに、悪い意味でけっこう長く感じました。 結局なんだったんだろうという感じですね。このドキュメンタリーの監督さんのように、その女優さんに心底惚れているような人じゃないとあまり楽しくなかったんではないでしょうか。当然この映画を見た人たちはこの千代子という人に一ミリも思い入れがない状態から始まっているので、なかなか難しかったように思います。結局あの鍵は何だったのか、あの絵には何が描かれたのか。そこは最後まで明らかにされず、そしてあのタイミングで千代子さんも亡くなってしまう。逆にシンプルなストーリーだなと思いました。80分という短い時間のうち50〜60分程を上述のような同じパターンの繰り返しに費やしてしまったことはワタシ的には失敗だったかなと感じました。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 4点(2023-01-18 16:46:32) (良:1票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 今敏作品の中だけでなく、今まで見てきた全てのアニメ映画の中で一番良かったかも。 絶頂期に突然姿を消した大女優を30年ぶりに訪れるという設定が、もうワクワクするし、何しろ音楽がずば抜けて良い。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-11-27 22:52:32) (良:1票) |
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《改行表示》 6.《ネタバレ》 千年生きるという予言は現実にはありえないが、女優としてなら可能だ。成就することのない虚構世界の恋を、千代子は千年の時空を超えて演じ続ける。 ■千代子は宇宙船のシーンで、ヘルメットに映った呪いの老婆の目の下に、黒子があることに気づいた。永遠に続く因果の呪いを彼女にかけたのは、彼女自身だったのだ。 真の恋の相手には永遠に巡り会えず、スクリーンの中の虚構の恋を永遠に続けることを己に課したという筋書きは、ファンにとっても「永遠の恋人」という虚構であり続けることに通じる。ロケット基地が蓮の花の形をしているのは、彼女がスクリーンの中で永遠に輪廻し生き続けることを象徴しているのだろう。 ■映画はまさに虚構である。時代や舞台が頻繁に変わるのはそれが虚構であることの証左であり、芝居の中にカメラマン二人が入り込むのは彼らがファンだからだ。源也は千代子の熱烈なファンだからこそ、彼女を追っかけ、ピンチには手を差し伸べる。千代子が演じたシーンは、蜘蛛巣城や無法松の一生など映画のオマージュに満ちている。「映画を愛するとはこういうことだ」と、監督が語りかけているかのようだ。 ■「あの人に老いた姿を見られたくない」としてスクリーンから引退した千代子は、まさに映画女優の象徴であり、「ファンに老いた姿を見られたくない」としてスクリーンから引退し鎌倉に隠棲した「永遠の処女」原節子がモデルだという。 【高橋幸二】さん [インターネット(字幕)] 6点(2015-05-16 10:29:40) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 走る!走る!戦国時代から、幕末、戦中、戦後、そして月まで。とにかく走りまくりの87分間です。立花の、一度でいいからここまで追いかけられたいという言葉に賛同。男冥利につきますよね。ストーリーは、思いを寄せる顔も分からぬ男を探しに行く。それだけ。単純明快な映画です。普通なら飽きてしまいそうですが、くるくる変わっていく躍動感あふれる映像、張られては丁寧に回収されていく伏線、蜘蛛巣城や無法松の一生へのオマージュ、どんどん今敏の世界に魅せられていきます。映画は「絵」で語るんだ。アニメ映画を作るならば、アニメでしか表現できないことをするんだ。このような今敏監督の覚悟がひしひしと伝わってきました。立花に「今度はきっと会えますね。あの人に。」と問われた千代子の「どうでしょう・・・でもどっちでもいいのかもしれない。だって私・・・あの人を追いかけてる私が好きなんだもん。」という最期の言葉の深さ。体は年老いても、心はずっと青春時代のままなのですね。一人の女性の一途な恋を描いた素敵な作品でした。 【スノーモンキー】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-12-22 23:00:15) (良:1票) |
《改行表示》 4.この監督は映像的ギミックにしか興味ないんだろうな、と作品を観る度に思う。 なんとも素人っぽい内容。 【カラバ侯爵】さん [DVD(邦画)] 2点(2007-11-18 17:41:45) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 最後の一言が不評なようですが、僕はハッとされました。矢面に立たされることの多いナルシシズムですが、それを見事に擁護し、ナシシシズムをバッシングして、物質的なもの(人も含む)を賞賛する人達に、一撃食らわせる、見事な展開だったと思います。 ナルシシズムに生きる人生もありなのでは、いや、それこそ幸せなのではないか。求めるものが手に入る入らないは関係ない、それを求めて生きる人生そのもの自体が、幸せな人生なのではないか。手に入ってしまえば、もう追い求めることもなく、ただ老いさばらえていくのですから。「満月ではなく、その一日前の月が好き」と鍵の君が言っていましたが、それこそがこの千代子の生き方、そして監督の幸福についての思想を形容しているのでしょう。よくやった監督!! ・・・と、その点だけでみれば10点つけられるのですが、映画としてみると似た展開が多すぎて正直途中で飽きてしまうので7点です。 |
2.《ネタバレ》 キャッチコピーの、「その狂気にも似た純愛(確かそんな感じ)」の「狂気」の部分は、中盤ずっとピンと来なかったのだけれど、あれはラストの千代子の一言に全てが集約されるのですね。あの台詞は凄いですよ。ゾゾゾっと来ました。ああ、全て本質的な欺瞞か、と。一気に観客に真理を見せ付ける一言。人生全て演舞台。天晴れな自己洗脳。女優なんて自己愛あってなんぼのもの、だからこそ女優たり得る、と。凄いですね。あの台詞は効いた。 【ひのと】さん 7点(2004-01-15 16:04:58) (良:1票) |
1.最初は おもしろいかも?と思ったんですが どんどん 話しが ごちゃごちゃしてきて ん?って感じでした。はっきりいって おもしろくなかったです。 【ゆず】さん 2点(2003-05-11 01:08:38) (笑:1票) |