5.『狼たちの午後』を彷彿させる社会派ドラマではあるが、社会派ドラマについてまわるリアリティを追求せずに、登場人物たちを極端にキャラ分けする寓話的とも言える手法で見せてゆくというのは昨今のメジャー映画事情に明らかに逆行していて、そのぶん非常に分かり易い。この分かり易さこそが良きハリウッド映画だったのではないだろうか。主人公はただ子供を助けたい一心で犯罪に及ぶのだが、映画は極端なキャラクターでもって歪んだ社会を次々と露呈させることで主人公の行為を許容させようとする。営利最優先の病院経営者は病気の人間を助けるという病院の本来あるべき姿を消し去り病院システムの問題をさらけ出させる。名声に執着する警察署長は早急さにこだわりより良い解決策を考えることもなく警察の本来すべき仕事をせずに警察システムの問題をさらけ出す。ガードマンも金に見合った以上の仕事をしようとしない姿は金が全ての社会をさらけ出し、メディアの主人公の訴えには腰が重く事件が起きてはじめて動く姿にはやはり金銭および名誉至上主義をさらけ出している。主人公の会社も保険会社も社会問題を露呈させている。この映画のいいところは、ここまで明確なキャラ分けをしているにもかかわらず、さまざまな問題はすべて社会にあるのであって人にはないとしているところ。だから主人公も誰も憎まない。ただ、いくらリアリティを求めないにしても病院長の心変わりは急変にすぎる。もうひと粘りしてほしかった。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-01-25 12:32:02) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 この映画で(まあいつもそうだけど)、「どんな理由があろうと犯罪はやってはいけない。」という考えには私自身はそれほど共感できない。最大の理由は、自分がジョンQの立場となった時に私ならきっと同じことをする可能性があるから。もし息子が死にかけてるのにそれを見殺しにしてこのままじっと耐えるのは多分無理だと思う。その時が来ないと分かりませんがね。 みなさんジョンQに対する辛口意見が多いですが、もし同じ立場になったらジョンQと同じ行動を取らないとは言い切れません。犯罪はいけないと思っててもやってしまうかもしれない。 それに結局ジョンQは急患も警察も誰も死なせなかったし、人質の患者に対する扱いも冷酷ではなくきっちり治療を受けさせるあたり病院中を恐怖に巻き込んだとはいえ彼をただ単に凶悪犯だとは私は呼びたくありません。 【ラスウェル】さん [地上波(吹替)] 6点(2007-11-23 00:34:50) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 医療制度の矛盾を訴えかける意図があったんだろうけど、下手な棒読みの 台詞の向こうに台本が見えてしまって萎えました。それと病院占拠するって アイデアは良いのかもしれませんが、民衆が取り囲んでドンチャン騒ぎで 拍手しまくりっていうのが雰囲気ぶち壊しでしたね。それとそんなタイミング 良くドナーが事故るかって おもいっきりツッコミ入れたくなりましたw 【アキト】さん 6点(2004-09-01 12:50:46) |
2.ハリウッド的王道を踏んだヒューマンドラマで、かなりの確率で泣けるんだけれども。確かに理不尽な社会のしくみには腹が立つが、主人公にはあまり感情移入できなかった。警察の偏った対応を描くことで、あたかも主人公の行いが完全に正当であるかのような錯覚を与える当たり、安直であざといものを感じずにおられない。リアリティを追求するなら、ジョンQ自身の恐怖や迷いをもっと真摯に描くべきではないか。彼はもっと臆病さを見せてもよいのではないか。そうであればもっと、狂おしく、切なく、いたたまれない立場を強く感じられただろう。 【よしの】さん 6点(2003-12-15 20:41:21) (良:1票) |
1.映画としては良く出来ているほうだけど、やはり予定調和・ご都合主義という言葉がちらついてくる。子供を助けたい一心で、人質までとって病院に篭城。挙句の果て自分の命を投げ出そうとする主人公。が、だいたいD・ワシントンの作品ですよ!“とんでもない結末”などあろう筈がないでしょ。そういった観客に気を持たせるような作劇が、なんともあざとく感じられてしかたがない。現在の医療制度の問題や保険システムの矛盾といった社会的側面の描き方も中途半端。 【ドラえもん】さん 6点(2003-03-17 00:03:55) (良:1票) |