5.《ネタバレ》 30分にも満たない作品ですが、この短い時間に作者の個性が凝集している印象です。密度、濃いですね。 「恒星間の距離」を題材にした作品は過去に観た記憶がありません。「トップをねらえ!」は距離ではなく、光速で移動することによって起こる時間のパラドックスを題材にしているので、本作とは出発点が違います。かつて「宇宙戦艦ヤマト」がアニメに初めて「光年」という距離感を持ち込みました。その圧倒的で絶望的な距離概念を、本作は設定の中心でテーマに絡ませます。シリウスまで8光年。その言葉が示すものは「距離」ですが、通信に要する「時間」でもあります。私たちはシリウスの8年前の姿しか見聞きすることが出来ない。それは8年の時を遡るタイムマシンでしか行き来出来ないということ。この距離と時間が若い男女の間に横たわる。そのとき、彼らはどんな気持ちでお互いを想うのか。 この監督の個性とは、ハードSF的に設定を固めても表現したいのはティーンエイジが抱く感情だけ、というところです。そこに帰結させるために、相当に極端なことをやっています。女子中学生が国連軍のパイロットに選抜される、登場人物は二人だけ、ワープ航法はあっても超光速通信はない、アンカーポイントを使わないとワープ出来ない、8光年の彼方から携帯にメールが届く、等々。デビューしたての漫画家のような人物作画と、こなれたモビルスーツの戦闘描写にも大きなギャップがあります。彼らの気持ちを、あまりに気分的な描写で終わらせることもマイナスポイントです。ほとんどの人には独りよがりの「オタク趣味」と映るのでしょう。 でも、オタク趣味色が強い私にはとてもとても味わい深く、志の高さに感心しました。インサートされる新聞紙面などで丁寧に設定を説明していますが、そんなカットを一時停止させて注目している人は少ないでしょうね。私はその設定自体に空想を遊ばせ楽しませていただきました。立派なSF作品だと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-05-15 21:25:27) (良:2票) |
4.起承転結を有する物語というよりは、言葉(単語)とイメージ映像で世界を紡いでいる印象。いわば詩のような。内なる心の世界の具現化。究極の遠距離恋愛で描かれるセンチメンタリズム。その切ない世界観に共感できた人にとっては、この上なく甘美な作品だろうと推測します。一編の詩に心を奪われるのと同じ。ただしその反面、間口は狭いと思います。国民的ベストセラーになる詩集があまり無いように、ポエムというジャンル自体が市民権を得ているとは言いがたい。かくいう自分も正直苦手です。そういう意味で、そもそも一般受けし難い作品なのだと思います。“アニメーション”として評価した場合、その背景美術の美しさは特筆するに値します。文句なくすばらしい。ただ、キャラクター造形は×。単純に作画力が足りていません。技術があるのか無いのかよく分からない。最大の難点はオリジナリティが感じられないこと。何処かで見たような景色で、人を感動させるのは難しいと思います。ただ、光る要素は確かに感じます。次回作に期待したいです。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 5点(2007-10-31 18:26:03) (良:1票) |
3.この作品がヒットしたのは絵の美しさは勿論のこと、 人の心の繋がりや、日常の中の切なさ、痛み、ぬくもりを 叙情的な語り口で描いたところにあります。
一見よくあるいかにもなロボットアニメのスタイルを取っているので オタクっぽいとの向きもありますが、 巨大ロボットやエイリアン、宇宙戦艦などはスターウォーズなどの SF映画やSF小説にも出てきますし、 モノローグ主体の語り口やヒロインのキャラクターも リリカルな作風の少女漫画や実写の青春映画・TVドラマで 見られるものなので別に珍しくはありません。 主人公のキャラクターも劇中でしっかり成長が描かれているので問題なし。
ちなみに突っ込みの多いヒロインの制服についてですが、 あれは軍にフォーマルな服装が望ましいという規定があるのと、 主人公とヒロインの開いていく年齢差を強調するためだそうです(DVD特典参照) したがってこの作品のSF要素も決して無駄ではありません。
人物の作画に難があるのと、漫画版の完成度が高いことを踏まえると 総合的には6点くらいですが、酷評が多いので+3点。 【.】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-01 07:07:14) (良:1票) |
2.少女、ロボット、宇宙、コンピュータなど作者の妄想を出し切った自慰映画としか思えません。とやかく言うつもりはないけどオタク映画やな。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2007-06-30 21:09:06) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ほぼ「トップをねらえ!」の後半w。独自の着想はゼロ。特に基本的な舞台設定と演出全般は完全に模倣。いくらなんでもパクりすぎ。こういう元ネタの影響モロ分かりの劣化コピーを恥ずかしげも無くやってしまう感覚が、「オタク的」と酷評をされてしまう最大の原因だということをもう少し認識してもらいたい。ただ、ひとりでこれだけのものを作ったという事は十分スゴい(これをどこかのスタジオが集団作業で作ったのなら間違いなく駄作だけど)。ちゃんとしたスタッフと資金に恵まれれば、大化けする可能性はある。その点は正当に評価すべき。
今作はどちらかと言えば、SFアクションではなく、宇宙という広大な世界にお互いの仲を遮られてしまう少年少女の「遠距離恋愛ドラマ」がメイン。相対論的効果により、「もう同じ時間を生きることは出来ない」という切ない演出は、普通の単純な恋愛ドラマでは出せないだけに、よりドラマチックなものにしやすいという利点がある。短編である分、余計な説明や人間描写は省略し、始めからその辺のテーマを中心に持ってきている割り切った作り方は正解。
近未来の舞台や宇宙人との戦闘は、それを引き立てるための素材でしかないわけだから、その辺の突っ込みはヤボ。セーラー服での戦闘も同じ。リアリティよりロマンでしょ。「宇宙でセーラー服」なんてトンデモ設定だからこそ、戦いにファンタジーとロマンとノスタルジーが同時発生するんじゃないかな(笑)。
【FSS】さん [映画館(字幕)] 6点(2004-11-09 16:30:10) (良:1票) |