4.《ネタバレ》 おさんという一人の女のことを思う。人生の九割方を不憫に生きた人だなと思った。嫁ぎ先のみならず、実家の兄や母親ですら彼女の苦労を慮ってやらない連中ばかりだ。当時の風潮だからか「女は耐えるもの」と刷り込まれていたかのような おさん。けれど、自分を真に想ってくれた男の出現で、これまで眠っていた激情が人生の最後で噴出したかのよう。 疲弊するばかりの逃避行に一旦決着がついても、夫が(世間体の手前)許すと言っても、以前までの平穏だが理不尽な我慢人生を拒否して公開処刑へと突き進む彼女。その横顔たるや、うっすらと微笑みすら浮かべて凄絶ですらある。だんだんと瞳に狂気が宿ってゆく香川京子の演技は怖いほど。自らの人生に復讐をしているようにも思えた。 【tottoko】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-08-03 00:25:21) (良:2票) |
3.香川京子の魅力が満載。 特に香川京子の“かかと”に惚れた!(危) 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-13 10:53:11) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 古典の映画化として全くケチのつけどころのない完璧な世界観と構図。物語は乱暴に言ってしまえば、ただの不倫&逃避行。人の迷惑を顧みず、自分勝手で、人前でもイチャイチャする姿はまったく腹立たしいというか、羨ましいというか…。 恋をしてるやつらってのは全くおめでたいもんだ、と現代の話なら鼻で笑っちゃうようなものですが時代が時代だけに命掛けで大袈裟な話となっているのですね。そんな二人の恋情が屁に思えるほど、親父の海より深い愛情にやられました。 俺なら、お玉ちゃんを選ぶ。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-23 17:38:03) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ストーリーの暗さと長谷川一夫のねっとりした感じがどうも許せないけれど、映像作品としてはすごい力を持っている。どのシーンでも奥行きを持たせた画が絵画のようで、琵琶湖の心中や竹藪のシーンは、植物のしなやかな美しさが最大限に引き出されていた。鈴を転がすような声の香川京子、おきゃんっぽい南田洋子も適役。どこかあざとい男衆もいい顔してる。でも長谷川一夫だけは浮いて見えた。主役が浮くとは…。物語は、成り行きで行動を共にした二人が恋の魔物に取り憑かれて昇天していく話。こういう話で町人の涙を搾り取るのが江戸時代のストーリーテラーの仕事だから、暗さに文句を言っても仕方ないが、まあなんと周りの人間の勝手なこと。そしてそれを突き抜けて進む二人の恐ろしい姿。だけどやっぱり長谷川一夫がなぁ。 【のはら】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-03-26 22:43:23) (良:1票) |