4.バビロンの巨大セットで繰り広げられる戦闘シーンに目が行きがちになるが、それよりも“人間の悪意”について探求したグリフィス入魂の熱いメッセージを称えるべきであろう。 死刑制度を題材とした現代の物語・宗教間でのもめ事(バビロン、ヨーロッパ)・キリストの物語・・・、と、過去におこった悲劇を題材にすることで“人間の愚かさ”を浮き彫りにし、現在も続く悲しい行為(イラク戦争など)、なぜ人間は愚かな行為に走るのか? その原因の源を“不寛容”という言葉に集約した、哲学的な作品である。 “寛容でない”“許さない”・・・。 かつて、キリストが台頭してきた時、その奇跡を起こす力を妬んだユダヤ人宗教者はローマ帝国に彼を売った。キリストの存在を“許さなかった”のだ。ローマ帝国も彼の行為を“許さなかった”。つまり“寛容でなかった”のである。しかし、キリストは十字架に貼り付けられ絶命する間際、「神よ彼らを許したまえ」と言い残す。つまり、キリストは自らを欺いたユダヤ人宗教者ならびに、不当な拷問を強いたローマ人を“許した”のである。“寛容であった”のです。 これを安っぽい偽善ととるか、教訓とするかで意見は分かれると思うが、つまりは『人間の許さない心(不寛容)が悪の根源』なのだということをこの作品は強く語っている。 その他のエピソードも、それぞれ統一したテーマで描かれていて「これでもか!」と言わんばかりに(しつこいぐらい)“イントレランス”を語っている。決して難しい作品ではないはずです。 【おはようジングル】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-05-26 00:20:18) (良:2票) |
3.イントレランスとは「不寛容」という意味です。「寛容」を広辞苑で引きますと、2番目に「他人の罪過を厳しく責めないというキリスト教の重要な徳目」とあります。つまり、その反対の意味ですね。物語は4つの時代と舞台を自由に飛びまわり、人間の不寛容がもたらす悲劇を描き出します(間をつなぐ赤ん坊の揺りかごは、寛容の対象を象徴しているのでしょうか)。4つの話が並行して進むので、序盤はけっこう退屈ですが、バビロンの戦闘シーンに入ってからは、息をつく暇がありません。ため息が出るほどの壮大なセット、凄惨な戦の描写。また現代編のクライマックスが、それに負けていないのがすごい。しかもこんな傑作が、映画の発明からわずか20年で誕生したとは!まさに奇跡といっていいでしょう。 【円盤人】さん 10点(2004-02-21 19:19:26) (良:2票) |
2.「“映画の父”D・W・グリフィスの代表作という枠にとどまらず、サイレント映画、いや全映画の中でも避けて通るわけにはいかない歴史的傑作。」ということで、鑑賞することに決めた。 180分(実際は160分ちょいだった)ということと、4つの時代が平行して描かれる難解なプロットであることと、古い時代のサイレント映画という点から、かなりの決心が要った。 しかしながら、予想していたよりもすんなり作品に入っていくことができた。 そして何より、普通に楽しめたのが意外だった。
4つの時代が平行して描かれているとのことだったが、そのうち<バビロン篇>と<現代篇>しか、しっかりとは把握することができなかった。 その他の2篇は、最後の最後でやっと話を理解できた感じ。 逆に言えば、それだけ<バビロン篇>と<現代篇>に時間が割かれているわけである。
ちなみに、この作品の最大の見所は<バビロン篇>の“超巨大セットによる空中庭園”である。 正直、この巨大セットを観たくて、この作品を借りたようなもんだ。 映画通の批評を調べてみると、“現代のCGをもってしても、この巨大セットの大迫力に勝るものは創れないであろう”という意見が多かった。
そういうわけでドキドキしながら、観ていたのだが・・・ あまりにも凄すぎた・・・ というのが、率直な感想。 荘厳な音楽(この作品に付けられた音楽は、総じてかっこよかった)と共に、悠然と空中庭園が登場。 “俯瞰ショット”により、遠目から丁寧にその全貌を捉えていく。 わけのわからない、やたらに巨大な“像”が何個も庭園の中に建てられている。 そして、ことわるごとに、“この庭園は1辺が1.6KMある”とかいう、その巨大さを過剰なまでにアピールする字幕が挿入される。 この巨大さをアピールする字幕のしつこさも、なかなか笑えるポイントであり、この作品の肝でもある。 CGと違って、そこに実際あるものを撮っているという事実に基づく迫力は凄いの一言。 まさしく圧巻である。 私の様な好奇心旺盛な人間にとっては、大満足できる作品であった。
このセットを観れるだけでも、この“歴史的大作”を観る価値は十分あると思われる。 好奇心旺盛な方は、是非、ご覧になって下さい。 ただし、90年前の作品ですので、多少は体力を使いますが・・・ 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-01 21:48:02) (良:1票) |
1.う~ん、皆さんの評価が高い!昔ヤングジャンプに連載されていた『栄光なき天才たち』という漫画にグリフィスが登場していました。その最高傑作ということで見ました。しかし……。よくわからなかったなぁ。浅薄な映画ファンでは太刀打ちできない映画だと思います。ただ、映画史上に残る記念碑的作品ということで、見てもいいとは思います。平均点下げてごめんなさい。 【きゃら】さん 4点(2003-05-22 23:22:03) (良:1票) |