6.恥ずかしながら、初めてオーソン・ウェルズの監督作を観た。 冒頭の長回しは勿論のこと、随所に散りばめられた映画手法は、まさに革新的かつ秀麗。 50年前にこのような多彩な映画手法を生み出した天才が、もし今現在に蘇ったなら、一体どんな「革新」を打ち出し、映画という表現を進化させて見せてくれるだろうか。 そんな夢想をしてしまう。
ただ、この作品のストーリー展開そのものは、大味というか曖昧さが目立った。 特に主人公二人のキャラクター性があまりに大雑把に思えた。 チャールトン・ヘストン演じるメキシコの麻薬捜査官は、輝かしい実績を持った英雄らしいが、どうにも箔がなく、相手役の大物ぶりも相まって小物感が払拭しきれていなかった。 一方、その相手役であるオーソン・ウェルズ演じるアメリカのベテラン刑事は、その豪胆な存在感は抜群だが、結局過去の栄光にすがった小悪党の域を出ず、展開に伴いトーンダウンしてしまっている。 この二人の人間性が、ストーリー上でも濃密に描き出されていれば、同じストーリーテリングであったとしても印象は大きく変わっていたことだろう。
しかし、そんなストーリーそのものへの”ケチ”も、オーソン・ウェルズという映画史に燦然と輝く巨星は、自らの演出と演者としての存在感で蹴散らしているようにも思える。 緻密に計算され尽くされた画作りによる緊張感と緊迫感は、ストーリー展開すらも無視して観る者を圧倒する。 この巨星が、現在の「映画」そのものを生み出したと言っても決して過言ではないのだろう。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-26 21:21:58) |
5.オーソン・ウェルズの作品は挑戦的というか、攻めですね。有名な冒頭や、凝ったプロットなど。興行的には当時駄目なのは分かりますね、今観て影響を受けている映画を思い浮かべると、今、評価できる佳作じゃないでしょうか。 【min】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-10-25 21:12:39) |
4.演出が相当にネチっこい。 最初の長回し、「わかった、わかったから早く爆発させろや」と焦れまくり。 中盤で「コレ『サイコ』の別バージョン?」と思えて仕方のないモーテル場面。奥さんジャネット・リーだし。でも演出がネチっこいので、『サイコ』より引っ張られる。 終盤。「メキシコガイのヘストンが街のチンピラと対立する」ってな構図はどこへやら、地味に張られた伏線が功奏して「初老の刑事二人が人生を振り返る」という明後日な方向のクライマックスに突入。とにかく決着がつくまでネチネチ、ネチネチ、ネチネチ…うぁ~!(ネタバレ無のため謎) …噂には聞いていたけど、初めて見るザ・ザ・ガボールは美しいネエチャンでした。アディオス! 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-06 00:07:48) |
3.「市民ケーン」以降ぱっとしない作品ばかりですが、これもまたいいですねぇ。「市民ケーン」に引き続き天井がひょっこりどころかかなり登場しますねぇー。さすが、映画史上初めて天井を写したウェルズだけに納得です。ほとんど正面から映さないのも同じく納得。オープニングの長回しもなかなかのもんです。今じゃあんまり見られないから新鮮味に感じる。前半はなんかイマイチやったけど後半はよかったぁ!まぁウェルズらしいさを存分に発揮されてるいい映画かな。 |
2.やっぱりあのオープニングシーンに尽きますね、それからこれほどモノクロが似合う映画も珍しい。あとはただややこしくて凡庸という気がしなくもなかったけど…(ファンの皆様、失礼)。終盤へ向かうに連れてどんどん尻すぼみになって行くのがちょっと残念。オーソン・ウェルズの悪漢ぶりは正に圧巻! 【かんたーた】さん 7点(2005-01-14 00:33:19) |
1. 【虎尾】さん 7点(2003-10-28 04:28:38) |