8.これほど台詞が少なく、そして台詞をあまり必要としない映画は始めて観た。この映画は穏やかで美しい音楽や二人の息のあった素晴らしい演技や、数々の綺麗な風景など、台詞以外の部分がとても鮮麗されていて思わず見惚れてしまった。そしてストーリーは有りがちな設定だけど、その馴染みやすい平凡なストーリーは食い入るように観れてしまった。その中でも二人で取った証明写真をアリスが見つめ、笑顔になり、そして女の子らしい格好になったあの場面は、少女の“恋”の芽生えを美しく、そして繊細に描いていた。あの場面は、僕の一番のお気に入りのシーンです。そしてその後の展開は切なさがドッと込み上げてきた。大げさに言えば、片想いの恋をしている時の切なさになんとなく似ている。それほどラストは切な過ぎで、胸が苦しくなる。今も苦しい。この苦しさが消えるのに何日かかるかな?あぁ~苦しい・・・ 【ボビー】さん 10点(2004-09-28 22:57:13) (良:2票) |
7.うまくいかない者どおしが、寄り添うというお話。互いに歩み寄りすぎたり、歩み寄ることでうまくいったり、あるいは、性的な関係になったりしないところが、よいところ。 ペーパームーンとは外形的なところ以外全く似ていない。むしろ、パリ、テキサスのミニマル版といったところか。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-01 01:20:01) (良:1票) |
6.すごくドラマチックな出来事が起きるわけではないんだけど、このほんの数日間が二人の人生にとって特別な時間になることがわかる。無気力で弱い中年男と、身勝手な母親にふりまわされる少女の間に、不思議なくらいに深い共感が絆をつなぐ。アリスが連続写真を眺める場面はいい。似たようなエピソードは他の映画でもあるけど、この映画が一番無垢で、嘘がなかった。冒頭は色彩に欠ける寒々としたモノクロだと思ったが、後半になると白い日差しが中心になった温かいモノクロになる。心にしみわたるような、やわらかくて淡い光がある。
また、アリス役のイエラ・ロットレンダーがすごく魅力的な空気を持っていた。気が強くてわがままで、でも寂しがりやで健気。無邪気で可愛らしく、だけど微かに女性を感じさせる微妙な年頃でもある。とても美しい子だと思った。フィルが守ってあげたくなるのもわかる。
優しく、素敵な作品だ。この映画には川原で拾ったきれいな石のような、素朴で手のひらに馴染む柔らかな美しさがある。 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-03-17 15:34:49) (良:1票) |
5.物語は結末も含めてありがちな設定である。しかし、観ていて飽きない。なぜか?それはこの映画が独特の雰囲気を持っているからである。その雰囲気とはどういうものか、それは私にとってとても曖昧なものである。上空からの眺め、ケーブルカー(?)、車から見えるドイツの街並、フェリーと水面、そういった風景群が体の中にスッと入ってくるとでも言おうか。言葉では説明しづらい。確実に言えることは、私はこの映画に対してとても素直な気持ちでいれるということである。個人的に時間をおいてまた観直す必要有。 【はざま職人】さん 7点(2004-09-02 23:22:13) (良:1票) |
4.船の上、幼い娘を抱えて鼻歌を口ずさむ母親、その娘と見つめ合い微笑むアリス、風になびく髪の毛、カメラを構えるフィリップ。他には何もいらない。もうそれだけで、この心は幸せに満ちあふれるんだ。なんとも健気で、なんとも無垢で、なんとも切ない。これは恋を恋と気付く前の少女の恋だろう。白と黒の映像、口少なげな台詞、優しいメロディ。あったけぇ。その全てがゆっくり胸に染み込んでくる。壮大な風景への開放感と離れ行く列車への寂しさが混在するラストシーンは、恐らく映画史上最も美しい。レンタカー、安レストラン、空港のトイレ、電車がうるさいホテル、証明写真、日光浴の公園...。何気ない光景たちがアルバムのように記憶に残る。きっと大人になったアリスの胸の中で、何より大切なものとして輝くのでしょう。 【紅蓮天国】さん 9点(2004-05-25 22:53:42) (良:1票) |
3.これマジいいよ。いやマジで。もーね、泣いてもうたよ。それも、ドワーッじゃなくてジワーッてくる感じで。アリスとフィリップが、なんか観てて、ホノボノしてるんだけど、なぜかせつなくてジワーッてくる。んで観終われば、感動でまたジワーッてくる。思い出して、あったかい気持ちになって、またまたジワーッてくるねん。都会暮らしの孤独に疲れ果てたフィリップが、アリスと過ごすうちに徐々に癒されていくねんけど、ついでに観てる俺らも癒されるてまうそんな映画。最初は、白黒やし退屈な映画かなって思ったけど、まったく退屈じゃなかったよ。二人のコンビ、ズーッと見てたいって気持ちで逆に終わるのがおしいくらいやった。ちなみに俺が好きな場面は、二人で泳ぎなら相手をののしるシーン。笑い泣きしてもーたよ。都会の暮らしに疲れ果てた人には特にオススメな映画です。 【なにわ君】さん 10点(2004-05-11 15:43:49) (良:1票) |
2.淡々と続いてゆくロード・ムービー。だけどとても心地よい。気楽な一人旅からひょんな事から9歳の少女との旅が始まる。はじめの頃少女がポラロイドでフィリップを写し、“これがあなたの顔よ”と見せた時写ってたのは憂鬱そうな寂しそうな表情をした彼だった。それが少女との旅によってだんだんと彼の表情にも輝きが出てくる。海水浴のシーンは二人ともとても楽しそうだった。少女役のイェラ・ロッドレンダーが又とても良い。わがままで、気まぐれで、子供らしくなくて、だけどとても魅力的。帰りの列車のシーンが特に好き。この旅は二人のこれからの生き方を大きく変えてゆくのだろう・・・。 【fujico】さん 8点(2004-02-04 14:05:43) (良:1票) |
1.ついつい応援したくなる映画です。普通「子供の涙」をクローズアップする作品が多いけど、今作のアリスは泣かない。母親がいなくなり、辛いのにフィリップには自分の弱さをひた隠す。そんなアリスがフィリップの運転する車の助手席から移り変わる町並みを見ている表情に寂しさを漂わせます、そう、視聴者にだけ本当の表情を見せてくれています。私にとっては愛すべき作品となりました。 【旅立ちの日】さん 10点(2003-05-19 08:53:33) (良:1票) |