4.《ネタバレ》 ステラ・スティーブンスはこの映画が撮影された当初、腹を括ってヌードになったにも拘らずそれを汲み取ってくれない、現場ではただ撮影を進めていたペキンパーに対して不満があったそうな。ところが時が経ち改めて映画を見ると「本当に自分のきれいな体に敬意を持ち、スクリーンの上で『聖女』として扱ってくれた」として最大限の感謝を持っているという話を本で読んだ。(アリ・マッグロウ、イセラ・ヴェガと並ぶペキンパー3大聖女と私は名付けたい)この映画を包むのは大いなる「優しさ」と西部劇の持っていた「大らかさ」。だからこそ自動車に引かれて死んでしまう男の最後ですら尊厳さの漂う不思議な映画になったのではないでしょうか。ペキンパー映画の純粋なエッセンス。 【Nbu2】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-27 11:15:42) (良:2票) |
3.僕にとっては「ビリーザキッド21歳の生涯」や「昼下がりの決斗」に次ぐペキンパー作品。この監督の作品はよく「暴力の美学」という表現をされるけど、それはおそらく2次的なものであって、もっと端的に「生きること(死ぬこと)に対する美学」と言って構わないと思う。そういう意味では、失われつつあるフロンティアの時代に擬え、現代的喪失感の中で誠実であるということはどういうことかを問うニューシネマのハシリであり、実に哀しく、それでいて生命力溢れる映画なのである。 【onomichi】さん 10点(2003-01-19 01:01:01) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 まさか「暴力監督」サム・ペキンパーにこんなトボケた一作があるとは思いもしませんでした。なにしろペキンパー作ということで中盤くらいまでずっと、いつケーブル・ホーグが血の雨を降らせるのかと待ってましたよ。あれ、でもこのオッサン復讐だなんだと口にしててもさして怨念の熱量は高くなく、標的の一人にはなんかぐだぐだと情にほだされ(というか復讐が面倒になったみたい)、せっかく築いた自分の事業もくれてやる始末。おい。 惚れた女に再会したと思ったらあっけなく天に召されて、その最期すらどこかへらへらとお気楽で。なんとまあ。好きなことやってぽっくり死ぬ、これもペキンパー流の「漢の美学」なのかも。 ホーグの死の元になったのが次の時代の主役であるクルマだ、というのもね。彼らの時代の終焉を告げる象徴にも見えます。道なき荒野を馬と共に往き、自由に生き方を選べた時代はケーブル・ホーグと共に終わりを迎えました。 生も死も自己責任で、その分生命力も強くスケベ心も隠さず、「おっかなくない」本作のペキンパーの男たちはとりわけ魅力的でした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-03 23:34:42) (良:1票) |
1.水とロバを奪われ数日間砂漠をさまよう主人公に悲壮感はなく、その過酷な状況を主人公自らの言葉で説明してしまう。しかし自分の見せるべきものを心得たペキンパーゆえにこちらもあまり気にならない。それどころか、バイオレンスの巨匠のこれまでの作品と主人公のキャラが明らかに違うこと(キャラが変われば作風も変わる)をここで察知させる。その後、水を手に入れた主人公と我々の目に飛び込んでくるのは柔らかそうな胸の谷間。ドレスで軽く持ち上げられ、そのカタチと柔らかさを最善の形で見せた胸のアップ。もっと見ていたいという気持ちを汲み取ってか何度も何度も繰り返し映し出される胸のアップ。やはりペキンパーは男の映画を撮る人だった(笑)。そんな嬉しいシーン(他にもいっぱいある!)をおりまぜながら最後には「男」を見せてくれる。不要な暴力の一切無いペキンパーの傑作。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-24 15:53:42) (良:1票) |