13.料理がひとつの芸術であり、優れた料理がいかに人に影響を与えるかが、これ以上は望めないくらいの説得力をもって伝わってくる。晩餐のシーンのこれ以上でも以下でもいけない抑制の効いた素晴らしい演出から、見事なオチへと持っていく。ガブリエル・アクセル監督の映画文学。アシール・パパンとレーヴェンイェルム将軍の人生を見つめる作者のまなざしが、人生の酸いも甘いもかみわけたような人の寛容さと愛情を感じさせて暖かい。 【アンドロ氏】さん 9点(2003-01-02 00:00:42) (良:3票) |
12.わー、もの凄く暮らすことを躊躇しそうなわびしい19世紀のデンマークの寒村だ、とまず寒々しいロケーションに圧倒される。そこに生まれ、出ることなど夢想すらしない敬虔な姉妹。二人の“何事もなかった”それぞれの人生に降って沸いた二つのできごと。この二つのことが年月を経て、不思議な発酵力を見せる。こんなに何も無い場所にも人生の妙は訪れるのかあ。バベットは神様が遣わしてくれた「世俗の喜び」なのかも。質素な食事も良いけれど、美味しさで心を満たすこともそれはとても幸福なこと。 厨房でのバベットの所作が凛として、出来上がる料理も目を奪われるほどに美しい。あ、でもうずらが籠の中でぴよぴよ鳴いていたのにはひるんでしまった。私は軟弱だ。 こんなにも地味で難しいテーマを映像化した、その懐の深さと滋味溢れる味わいに脱帽しました。 【tottoko】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-01-17 00:40:52) (良:2票) |
11.《ネタバレ》 これは、素朴でおっとりとした、味わい深い映画。北欧の海辺の村で慎ましく信仰心厚く暮らす人々が、召使いバベットの計らいにより晩餐会を開く、とストーリーはいたってシンプルだ。晩餐のシーンにたどり着くまで、青みがかった海辺の村での抑揚の無い人間関係が続き、多少の退屈は否めない。しかし、神の教えにより最低限の質素な食生活を送る彼らが、心のこもった料理を口にするシーンは本当に素敵だった。ろうそくの火の中でみんなの顔が輝いている。目が美味しいと言っている。台詞はあまり無いけれど、みんなの心が料理によって満たされていくのが手に取るようにわかる。バベットの心づくしが豊かな時間を生み出す様子は、派手さは全くないのにギュッと引きつけるものがあった。また、テキパキと料理を作り、背筋を伸ばして空いた皿を片づけるバベットがとても凛として見えた。ラストも、感動という感じではなく、暖かい空気を送ってもらったような、押しつけがましさが無いのが良かった。小さいけれど見つけると嬉しい、早春の草花みたいな映画。 【のはら】さん 8点(2004-03-21 02:28:38) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 凄く可愛いお年寄り達。信仰と共に暗く小さく寒い村に住む人々。食べるのは海からあがった魚。閉ざされた世界に住む彼らにしてみればフランス料理の材料は見たこともないふしぎなものばかり。魔女に見えてしまうのも仕方ないが、その発想が悪意のかけらもなく純粋なのがなんともほほえましい。そして魔法のごときバベットの料理たち。約束どおり料理については話さないけれど味は素敵な笑顔が物語ってくれる。そして信じることの素晴しさや懐かしむことのできる幸せを胸に家路につく。なんとも暖かい作品。秀逸! 【momonoki】さん 9点(2004-03-10 15:46:19) (良:2票) |
9.5番目の方のコメントでありましたけど、それに全く同じくで、もうさ、理屈抜きで好き。最後は期待してた程の大感動までには至らなかったのですが、それがかえって良かったのかも。じわ~~っと来るあの暖かさがとても好き。更には、料理の味に全く触れようとしなかった爺さん婆さんたちのボケぶりもまたお見事で。そしてみんながみんなとてもお茶目でかわいらしくって。とってもほのぼのって気分にさせてくれました。 そして最後に私が替わって言っておいてあげましょう、バベットご苦労さん。結局、誰からも美味しかったよとは言ってもらえなかったねっ。けどさ、あれで良かったのだよ。わたしゃ感動したよ、しましたよ。ご苦労様でした。。 【3737】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-03-06 00:23:47) (良:2票) |
8.じいさん、ばあさんと、こういうハッピー・サッド系には弱いのだ。登場人物ひとりひとりの表情までよく出来ていて、これ以上足さず引かずのバランスが絶妙だと思う。 【羊飼い】さん 10点(2003-11-07 00:28:00) (良:2票) |
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7.もう理屈抜きで好き。なんでかよくわからない位自分的にはまってしまって、小劇場に3度通い、NHK放映分をビデオに撮って数え切れないほど観ました。抑制の効いた映像、音楽、ナレーション。宗教的ではあるけれど決して啓発ものでもなく、上品なユーモアがそこここに溢れていて・・・とにかく好き~(*^^*) 【Rei】さん 10点(2003-04-15 13:38:58) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 敬虔なクリスチャンである老姉妹と亡命してきて家政婦となった未亡人バベットの交流を描いたデンマーク映画。これはすごい掘り出しものの隠れた名作に出会ってしまった気がする。自分でもなぜなのか分からないけれど終盤のあたりから涙がこみ上げてきて堪えるのが大変だった。小汚いジジィとババァが飯食ってるだけのシーンなのにどうしてこんなに感情を揺さぶられるんだろう。小気味よい手際のバベットの“もてなし”が猜疑心や虚無感に満ちた人々の意識を鮮やかに塗り替えていく。この上ないほど地味で素朴だけどとても強くて奥深いメッセージを持つ作品だと思った。「貧しい芸術家はいません」、迷いなくそう言い切ってしまえる情熱とプライド。これは料理人に限らずすべての作り手に通底する普遍的なテーマなんじゃないかな。いやー傑作です。良いもん観せてもらいました。 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-06 00:16:33) (笑:1票) |
5.《ネタバレ》 良い映画だ!料理は人の心までも温かくし、笑顔にしてくれる。私も宝くじが当ったら(いつになったら当るか分らんけど)そのお金でこの映画のバベットさんのようにレストランを建てたい。デンマーク映画というと私自身、今までは嫌なイメージしかなかったけどこんなにも素晴らしく心温まる映画があったとは、いやはや、喰わず嫌いはいけないね。出てくる料理の本当に美味そうなことと、それを作る人達、晩餐会に集まってくる人達の笑顔もこの映画の素晴らしさを物語っている。こういう映画がもっともっと観たい。人間の心の温かさを料理を持って描き切ったこの映画に拍手!そして、乾杯! 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2011-01-04 20:29:58) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 映画もそうなんだろうけど、食べ物もお客さんに喜んでもらおうという、作り手の姿勢が分かりやすく伝わる文化だよね。お客さんは、そういう姿勢にも感動して、みな幸せになる。これがお店だったら、店も繁盛する。素晴らしき哉、食文化! 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-03-29 21:41:32) (良:1票) |
3.淡々と進むお話の最後にあったオチは、ひとつの真理です。うまい食い物は人を幸せにする。 【アンドレ・タカシ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-12-18 05:49:25) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 こんなに淡々としたつくりなのに、晩餐会の準備が始まる頃から一気に話に引きずり込まれる。村人達の悪意のない無知さから生まれる一挙一動の滑稽さから本当に美味しそうな食事シーンを通して、全てを包み込むような優しさを感じられるラスト。鑑賞後は自分の気持ちも何か優しいもので満たされる。 【bizen】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-24 00:34:12) (良:1票) |
1.エンドクレジットが流れ出すまでに、一言でも「美味しかった…」と云う言葉を探していたが、それは“言葉”と言う形を取らずとも、晩餐の場に満ちた“気持”と云う形で表され。バベットの“誇り”は尚のこと輝き。テーブルを囲んだ人々の顔には“至福”が満ち。そして、観る人の心に淡色の感動をもたらした。
ゆるうり..と流れてゆく中盤には、まるで“色”を持たぬ様に静かに、彼らの村を支える北海の如く頑な空気を漂わす。それは、信仰心であり、己自身を縛る“想い”。姉妹の元に突然流れ着いたバベットは革命の糸。その一夜、人々の心に変化を織りなす為の…。
今まで観て来た「シェフ」が活躍する映画の中で、彼女ほど格好良いと思ったシェフはいなかった。それと同時に、彼女ほど厨房で美しく見えた人はいなかった。今後、私の中でこの作品を上回る作品を見付けるには時間を要するだろうと思う。 【MAZE】さん 10点(2004-05-22 17:35:14) (良:1票) |