5.原作はキングの著書の中でも好きなほうです。少年が大人に成長する過程で潜在的に持っている闇の部分が少しずつ開眼してゆく様の緊迫感がたまらない傑作です。キング原作の映画化作品には期待を大きく裏切る作品が多々あることを知っている私としては、当然落胆することを覚悟してこの作品に臨んだわけですが、それが良かったのか、けっこう楽しめました。少年の闇を形あるものとして見せない展開にもっていったのはプロモーター上の問題でしょうか?かと言って闇が全く描かれていないわけでもないので、けっきょく焦点が少年の闇なのか老人の闇なのか、はたまた二人の主導権の取り合いにおける心理戦なのかが曖昧で中途半端なところが不満に残りました。サスペンスとしては無難に仕上がっていると思います。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2005-09-30 14:12:52) (良:1票) |
4.互いに心に闇を持った少年と老人のどろどろしい心理攻防に息を呑む。最近のサスペンス映画にはめずらしいスピード感に頼らないじっとりとした展開が秀逸だった。陰影際立つ映像美も良く気持ちを途切らさない。生まれたばかりの心の闇を表現したブラッド・レンフロも良かったが、奥深い年輪さえ感じさせる心の闇を持つ老人を演じたイアン・マッケランの鬼気迫る存在感が凄かった。ラストに盛り下がってしまうのは残念だが、作品としては高いクオリティを見せる。 【鉄腕麗人】さん 7点(2004-01-30 22:09:37) (良:1票) |
《改行表示》 3.すごく好きな原作なのでかなり期待して見た。 上流家庭の青年が、かつてナチスの強制収容所で暴挙を繰り広げていた戦争犯罪者である老人を偶然に街で見つける。 青年は以前からホロコーストに興味を持っていて、その老人が隠れ住んでいる家をつきとめる。 「収容所での話を偽り無く全て聞かせろ!」。老人をゆすって、ユダヤ人虐殺という残忍な殺戮の話を聞きだそうとする。毎日老人の家に通い、話しを聞くにつれて青年自身も除々に精神に異常をきたすようになってしまう。成績は落ち込み、スポーツに見も入らず、更には浮浪者を殴り殺してしまう(原作のみのエピソード)という暴挙に出る。ゴールデンボーイと言われる青年の転落は加速度的に始まった・・・。 原作でのジワジワと洗脳されていく青年の描写が好きなのだが、映画では足早に表現されていて物足りない。収容所での表現が全然足りていないのが原因だと思う。 少年が“行き着くところまで落ちてしまう”衝撃のラストシーンも原作と異る。その結果、見事に失敗している。 【おはようジングル】さん 2点(2003-11-26 18:24:39) (良:1票) |
2.非常に心理的な恐怖に満ちた映画だった。相手を支配しようとする少年と老人の攻防は鳥肌がたつくらい異常で恐ろしい。全編通して陰影が鮮やかで秀逸な映像美で画面に引き付けてくる。ブラッド・レンフロも良かったが、老人役のイアン・マッケランの怪演が実に見事で、ナチス軍人の冷酷さを取り戻していく様は狂気に満ちていた。しかし、非常に緊迫感溢れるストーリー展開だったのにラストにかけて極端に盛り下がってしまった。ラストに更に衝撃的なものを期待させる展開だっただけに、少年が自分の学校の教師を脅して終わりでは拍子抜けせずにはいられなかった。まあそれにしても全体的な出来は非常に良いのでもっと世間的に知られていてもいいと思った。 【スマイル・ペコ】さん 7点(2003-06-07 18:30:04) (良:1票) |
1.これは怖い。何が怖いかというと、どんな人間も悪に染まる可能性があると暗示していること。↓後半からラストにかけての展開に不満の人もいるみたいだが、自分は逆に良かったと思う。何食わぬ顔で明日からまた普通の生活を始めるであろう少年。そこに何ともいえない恐怖を感じる。どんなラストよりも恐ろしい。主演二人も文句無く素晴らしかった。あの少年の役はブラッド・レンフロしか考えられない。端正だがどこと無く寂しげで、どこと無く冷たい顔。見事に少年の奥に潜む残虐性を体現してくれた。イアン・マッケランも見事。ナチスの制服を着て行進するマッケランの表情は凄まじい。完全に狂気に取り付かれた表情だ。『ゴールデンボーイ』は自分にとって忘れられない作品になるだろう。 【T・O】さん 8点(2002-03-06 09:31:27) (良:1票) |