4.《ネタバレ》 みなさんおっしゃってますけども、これが初監督だなんて信じられない。なんという完成度の高さ。脚本、演出、キャスティング、美術、どれも文句なし。 ビートたけし演じる主人公・吾妻の、静かで冷たい氷のような狂気。頭がおかしくなってしまった妹の、無垢な狂気。白龍の、闇を思わせる底知れぬ狂気。岸部一徳の、一見穏やかな狂気。ラスト近くの台詞どおり「どいつもこいつもキチガイ」なんだけど、どいつもこいつも哀しく切ない。退廃的という言葉がよく似合う、なんともいえない世界観だった。 ラストの、倉庫のシーンは圧巻。死んでいる吾妻のカットは、白と濃い藍色のような闇と血の赤が印象的で、一枚の絵画のようだった。 第1作で誰にも真似できないところまで到達してるなんて、北野監督はほんとに天才なんだと思う。ちょっと怖くなるほどの。 【クリロ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-02-27 20:50:54) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ホームレスをリンチした少年の帰宅シーンにおいて、少年の帰宅からタケシがやって来るまでのショットが固定されていて何やら不穏な空気が満ち満ちており、頭っからもうこの映画はただ事ではすまされないぞという予感をさせます。事実、ただ事ではすまされず、例えば我妻と岩城が最後に会っているシーンでは会話を完全に省略してしまっていますし、妹についても全く説明がありません。しかしそんなこと説明せずとも物語はちゃんと成立していますし、映画としては素晴らしい出来栄えなのです。 例えば歩くシーンが頻繁にありますが、タケシさんの歩き方というのは別して格好良いものではないですし、カッポカッポいう靴の音にしたって響きが素晴らしいわけではありませんが、ここでは凄まじく魅力的です。・・・ただ、ラストに悪人を殺しても何も変わらないというオチをもってくるは良いのですが、菊地刑事がまるで我妻のように歩くショットを挿んでしまっているので、彼が我妻ではなく岩城の代わりになるのは妙な気もします。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2010-02-03 18:14:44) (良:1票) |
2.これは面白い。まず武と白竜の演技。二人とも大したことは喋ってないんだけど、表情と動作と声色で凶暴で勘の鋭い人物像がよく伝わってくる。特に武のせかせかした歩き方だけでなんとなくその人間性が伝わってくるあたりは本当に見事だと思った。それから二人のボス(佐野史郎と岸部一徳)が両方冷たそうなインテリっていうのも面白い組み合わせだと思う。初監督作品ってことでどれだけ下手かと思ってみたらとんでもなく面白い。北野武って監督でも演技でもお笑いでもできるって、いったいどんだけの才能なんだと思った。 【54dayo】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-11-18 01:23:38) (良:1票) |
1.北野作品では文句なく一番の出来。そして、日本映画界を揺るがす事件性をも持った傑作。では、以後の作品とは何が違うのか? それは野沢尚の骨子がしっかりとした脚本の有無だろう。ラストでは、北野は野沢脚本に手を加え改竄しているのだが、それも撮影前にビジョンを作れたからこそ成しえたこと。すべてにおいて無駄のないシャープな映像を作り得た本作の撮影時のことを、北野監督には思い出してもらいたい。 【恭人】さん 9点(2003-12-02 21:03:39) (良:1票) |