5.ショーケンのキャラの見せ方が神代監督的というか。物語に沿ってキャラが確立してゆくのではなく物語から独立した台詞や心の声によってキャラが語られてゆく。遺作『棒の哀しみ』はより顕著だったけど、主人公の台詞が最も雄弁に語っているのは主人公のキャラクターそのものなのだ。そのあたりは独特で面白いのだが、これについてはどうも作品を被う初期ゴダールへの目配せが他の作品よりも色濃いせいでいちいち鼻についてしまった。手持ちカメラで捉えられる青春劇といい、歩行者天国でのゲリラ撮影(?)といい、喫茶店の長回しといい、政治的背景をちらつかせたりといい、せっかくの神代色が安っぽい模倣で台無しにされたように感じた。見直せばまた評価が変わるかもしれないけど、とりあえず見た当時の点数で。 【R&A】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2011-02-17 15:13:52) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 これは映画館でリアルタイムで見た。 最近、テレビ放映で見直してみたが、決して色あせてはいなかった。ショーケンももちろんいいが、 再評価したのは、桃井かおりの演技。何気ない仕草、 細かい部分までもんのすごい。撮影当時は22歳?天才的とはこのこと。 今、この若さでこんな演技のできる女優はいない。あえていうと現在の彼女ですら及ばないと思う。 長谷川和彦の脚本もいいし、なにより井上堯之の音楽が素晴らしい。神曲だ。 この低評価は悲しい。紛れもなく邦画史上屈指の名作だと思う。 【うさぎ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-04-04 14:40:07) (良:1票) |
3.1974年の青春映画。確かこの年か前年に中東戦争が起こって石油危機が叫ばれ、高度成長に終止符が打たれた。戦後から青春映画と云うと、健全な上昇志向や内面の葛藤を扱ったもの主流だったはずで、こんな「だるい」映画は斬新だったと思える。豊かでもないが貧困でもない世の中と、経済成長の終焉がもたらした空気感が「だるさ」なのでしょう。その後、この種の「だるさ」は日本社会を捉える際の常識的な側面のひとつになって行く。その意味で、桃井かおりが発散する「だるさ」は、そのままこの映画のテーマだ。蹉跌とは辞書によると「つまずくこと。失敗し行きづまること。挫折」とある。この主人公は何かに挫折したのか? 学園紛争の時期と被ってるし、その類いの先輩もいたが、さほど気合を入れて活動していたように見えない。必死に何かをやっていた姿がもう少し描写されれば、タイトルらしい映画になったと思えるが、自分の見立てはただのナマケモノだ。目の前にあることに背を向けた「えんやーとっとぉー」は解り易い心の声で面白かった。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-07-25 23:18:12) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 鑑賞は“試写会”にしてるが、公開から数年後、当時住んでいた近くの大学の大学祭で上映していたもの。私(当時小学生)・姉・その友人(中学生)・母・姉の友人の母という女5名で観に行ったのだが・・・なんか濡れ場が恥かしくって、子供3人、机(上映してたのが講堂だったので)につっぷした覚えが一番強い^^;70年代の若者風俗に浸るには子供過ぎ、まだ若い桃井かおりが、気だるくエロっぽい女優であることのみ強く印象に残った。よく考えるとミスキャストのようだが、桃井かおりのキャラが子供目にも強すぎ、そういう話なんだ、と思い込んだ。つまり、これは「青臭い学生運動から足を洗い、司法試験に受かってエリートの道を歩みだした青年が、育ちのいい婚約者をも得、妊娠して邪魔になった気だるい恋人を殺してしまうが、それによって自らも破滅していく話」なんだな、と子供にしては上出来の解釈をしたのだが、この「気だるい」ってとこ今考えると全く筋立てに不要なんだよね。桃井かおり、恐るべし。 【あっかっか】さん [試写会(邦画)] 5点(2009-02-05 13:31:11) (良:1票) |
1.この作品は2年前にテレビで観ました。いまや冴えないおっさんと成り下がった、あの「反逆児のカリスマ」ことショーケンが輝いていたとされる時代の主演作。「えんやーとっと、えんやーとっと・・・まつしーまー・・・」というあのショーケンの歌声を聞いた瞬間、不覚にも笑ってしまいました。(斉太郎節というのですね) 鑑賞後に、なぜこんな歌をショーケンに歌わせるのかなぁ~とか、この作品におけるこの歌の意味は?などといった疑問を持たずにはおれなかった青二才です。たぶんアレは、ショーケンの無関心、無気力さみたいなものを表現しているのかと感じたのですが・・・。あとホコ天で「100円でええねん・・・」と見知らぬ人にしがみつく女性にも笑ってしまいましたが。あの人はシンナー中毒だったんですね。繰り返して観るほどの思い入れはこの作品にはありませんが、あの場面だけは機会があればもう一度見てみたいものです。74年には学生運動も下火になっていたそうですが、この時代を知らない私にとっては、あらゆる場面が新鮮に感じられる映画でした。ショーケンよりもむしろ脇役の桃井かおりの演技が光ってみえましたね~。あの独特の台詞回しがたまらんかったとです。いろいろと楽しめた作品でしたけど、あのラストには少しがっかりしました。ラストや「えんやーとっと」はともかく、頑張っていたあのシンナー中毒の女に1点追加して5点献上。 【☆Tiffany☆】さん [地上波(邦画)] 5点(2007-08-19 08:14:05) (良:1票) |